『帰り道、それは突然に。』
こんにちは、坂下あかりです。27歳、恋と妄想の暴走列車。
沖縄出張、ついに最終日。
なんかもう……いろんな意味で帰りたくない。
だって昨日、見ちゃったんだよ?
夢野くんが――
あの夢野くんが――
シロクマのぬいぐるみを大事に抱いてたんだよ!?
(情報過多すぎて、私の理性のキャパオーバー)
しかも、それがめちゃくちゃ使い込まれてて、
耳の裏、ちょっとだけ縫ってあって、
「……落ち着くんです、これ」って小声で話しかけてたの。
(好きにならないわけなくない?)
(……っていうか、もう好きとか超えてる気がする)
それはそれとして、今日の私は朝からしろまるにお礼。
(おはよう、しろまる。昨日は私のメンタルを救ってくれてありがとう……)
(ちなみに今日もライバル認定です。よろしくお願いします)
研修最終日は、特にトラブルもなく淡々と進行。
だけど私、なんとなく夢野くんと距離を取っちゃってた。
(昨日のあれが頭から離れないし……なんか照れる)
彼は変わらず淡々としてて、書類配って、話も聞いて、メモとって……。
完璧すぎるって。
逆に怖いんですけど、何者なの夢野くん。
(前世、哲学者とか?)
夕方、空港。
「坂下さーん、飛行機、2時間遅延だってー」
という同僚の声。
え、マジで!?
って思ったけど、実はちょっと嬉しい自分がいる。
(だって、もしかして……夢野くんと話すチャンス!?)
……と、そんな期待を胸に、ロビーで席を探していると、
夢野くんがベンチに座って、ノートを広げてた。
(あ、例のやつだ……)
私は、勇気を振り絞って話しかけてみた。
「……それ、小説ですか?」
「はい。“帰り道で何かが変わる話”を書いてます」
(……なにそれ。まさに今の私たちの状況じゃん)
数分後、偶然にも、隣の席が空いた。
(座っていいかな?いや、話しかけた直後はうざい?いやでもさりげなく……)
結果、私は座った。自然な風を装って。
そして、ずっと気になってたことを、思い切って聞いてみた。
「夢野くんって……恋愛とか、興味ないんですか?」
彼は少しだけ目を丸くして、それから視線を落としながら、答えた。
「……嫌いじゃないです。でも、よくわからないんです。
小説で書いてるのは、たぶん……知りたいからだと思います」
(それって、恋に興味“あり”ってこと!?)
彼は淡々とそう言って、またノートを見つめた。
その横顔が、すごく静かで、でもなんだかあたたかくて。
(……この人の“わからない”を、私が教えたい)
(だって、恋って、もっと楽しくて、もっとやばくて、もっと――)
飛行機がやっと飛ぶことになって、機内に乗り込む。
奇跡的に、隣の席がまた夢野くんだった。
(神よ……ありがとう)
彼はすぐに寝てしまって、私はひとりでそわそわしていた。
ふと、彼のノートが鞄から少しはみ出ていて、
そこから1枚の紙が落ちかけていたのを、私は反射的に手に取った。
──そこに、こう書かれていた。
『彼女の目が、よく合うようになってきた。
でもまだ、たぶん自分が“好き”なのかはわからない。』
(それって、それって、それって──)
私はそっと紙を戻して、微笑んだ。
(いいよ。わからないなら、私が教える)
(私の恋の作戦、帰り道から始めよう)
──To be continued──
今回、夢野くんの“わからない恋”に、あかりが動き出します!
次回はいよいよ“東京に戻ってから”の作戦編!
しろまるも再登場(!?)
ブクマ&感想、とっても励みになってます♡
あなたなら、恋の“わからない男子”……どうやって落とす?♡
コミカライズ化?アニメ化!?
……そんな未来が来たら、私、神社じゃ足りないから、宇宙に感謝電波飛ばしますっ!(ガチ)




