『夢野くんのぬいぐるみ、想像以上に尊かった件。』
こんにちは、坂下あかりです。27歳、恋に全力、沖縄出張中。
そして今──私は、
想像もしなかった“恋の爆弾”に出くわしました。
それは朝のロビー。
夢野くんが、ちょっと大きめの段ボールを受け取っていたんです。
「家から送ってもらった荷物です」とか言って、さらっと。
(え?なにその日常感。尊くない?)
中身、なに?着替え?洗面用具?
それとも……推しグッズ?(←それ私と同じ思考)
で、事件はそのあと起きました。
廊下で、彼が段ボールを開けてるのを、
私は、たまたま(本当にたまたま)目撃してしまったのです。
白くて、ふわふわで、丸い耳。
……って、え? え????
──シロクマの、ぬいぐるみ?
(ちょ、ちょっと待って。情報量の暴力)
(夢野くん+シロクマ=反則級ギャップ!)
(私の理性、今まさに鼻血ブレイク寸前)
思わず口に出しかけた言葉をなんとか飲み込んで、
代わりに壁の影から、そっと見つめる。
ぬいぐるみは、小ぶりなサイズで、
夢野くんの手にすっぽり収まるくらい。
目はつぶらで、鼻がちょっと曲がってて、
どこか使い込まれた感じがした。
(よし、勝手に命名。“しろまる”。私の恋敵……)
──しかも、その耳の裏側に、ちょっとだけ、縫い目。
(え、これ……自分で縫ったの!?)
(修理して使い続けてるって……尊っっっ!!!!!!)
「……落ち着くんです、これ」
思わず聞こえた彼の声に、私は背筋が震えた。
今の、誰に言った? 空気? シロクマ? それとも……私?
夢野くんは、ほんのすこしだけ口元を緩めて、
そのまま、ぬいぐるみを胸に抱き寄せた。
(あっ、もうダメ。理性、崩壊)
(この場でプロポーズしていい? 今すぐ結婚届出したい)
(でも待って、あれ私じゃなくてシロクマじゃん!?)
その夜、私はノートにこう書いた。
『夢野くんの寝る相手が“ぬいぐるみ”でよかった。
人間じゃなくてよかった。ありがとう、シロクマ。』
まだ知らない。
彼のそのぬいぐるみに、どんな意味があるのか。
どれだけの時間を一緒に過ごしてきたのか。
でも、私は知ってる。
「大切にされてるもの」には、人柄が出るってこと。
そして──
ぬいぐるみの頭をそっと撫でる夢野くん。
「私も、そんな風に大切にされたい」って、
はじめて、本気で思った。
【To be continued】
今回、個人的には最強ギャップ回です。
ぬいぐるみ×無表情男子って、どうしてこんなに尊いんでしょうか。
でも本当に言いたいのは、
**「人を大切にする人って、何かを大切にしている」**ってこと。
夢野くんのシロクマ=あかりの恋の引き金。
次回、研修最終日。
ついに“帰り道の事件”が待ち構えてます……!
ブクマ&感想、めちゃくちゃ励みになってます!!
シロクマに名前つけるなら……何がいいと思います?(ぜひコメントで♡)