『同棲前夜のちいさな約束』
こんにちは、坂下あかりです。
同棲準備がいよいよ本格スタート。
段ボールを前にしただけで……胸がドキドキ。
今回は、“同棲前夜”の小さな約束。
どうか最後まで見守ってくださいね♡
部屋の中は、段ボールの山。
詰めても詰めても……まだまだ終わらない。
でも、箱を閉じるたびに思うんだ。
(これって、未来に向かって進んでる証拠だよね……!)
手を動かしながら、頭の中は妄想フル回転。
朝、二人で歯を磨く私たち。
夜、テレビを見ながらソファで寄り添う私たち。
(やばっ……もう完全に新婚生活シミュレーション!)
——ふと、手が止まった。
「……しろまる」
段ボールの隅から顔を出した、
シロクマのぬいぐるみ。
初めて夢野くんにもらったプレゼント。
彼の大好きなシロクマで、
そして私たちの“思い出の証”。
二人だけで行った北海道旅行——
あの時の温度まで思い出す。
シロクマって、たった一人の相手を見つけて、
ずっと添い遂げるんだって。
(あぁ……その“たった一人”が、
夢野くんで、この私なんだよ!?
やばっ!! 尊死どころか暴走案件っ!!)
抱きしめたしろまるは、
ふわふわであたたかくて、胸までぎゅっとなる。
「……シロクマってね、
たった一人の相手と一生を添い遂げるんだって」
ぽつりとつぶやいた瞬間、
自分でハッとして顔が真っ赤。
(胸の中では爆音ウェディングマーチが鳴り響き中!!)
私はしろまるに顔を埋めたまま——
ゴロゴロ転げ回っていた。
(やばいやばいやばい……!
もう推しと一緒に暮らせるとか、
妄想が止まらないんですけどぉぉぉ!!)
「そうた……♡ 大好き」
思わず声に出しちゃった。
一人で顔を真っ赤にして、ぬいぐるみをぎゅうっと抱きしめる。
(やばいやばい! 尊死どころか即死案件……!)
しろまるを箱に入れながら、心に誓った。
「絶対に幸せにする。推しを夫にするって、こういうことなんだ」
——段ボールの山を積み終えて、
私の部屋の引っ越し準備はひとまず終了。
未来へ進む荷物を抱えて、
私は夢野くんのマンションへ向かった。
新しい玄関の匂い。
見慣れないけど、これから私の“帰る場所”になる部屋。
荷物を開けながら、
私はまたしろまるをぎゅっと抱きしめる。
「……絶対に幸せにするね、聡太くん♡」
思わず小さく呟いた。
でも胸の奥でずっと引っかかっていることがある。
結婚するための条件。
どうしても、聞かなきゃいけない“大切なこと”。
私は勇気を振り絞って、
夢野くんに向き直った。
「ねぇ、聡太くん……すごく大事な話があるんだ」
「聡太くんは……今の仕事って、
ずっと続けたい?」
「えっ……?」
夢野くんは驚いたように私を見て、
それから——無言になった。
……沈黙。
胸の奥がぎゅっと痛くなった。
(あ……やっぱり聞いちゃいけなかったかな……?)
息をのむ空気の中で——
私はさらに続けてしまった。
「もし……専業主夫になってくれるなら。
私は、もっと安心して夢を追えるの」
部屋の空気が、一瞬で張りつめる。
夢野くんは答えない。
その瞳が揺れているのだけが、はっきりと見えた。
(聡太くん……なんて返事するんだろう……!?)
——その答えは、
私たちの運命を大きく変えてしまうものだった。
息をのむ私——次回へ。
ここまで読んでくれてありがとう。
……正直ね、
聡太くんの返事を聞くのが、ちょっと怖い。
“無理だよ”って言われたらどうしようって、
頭の中でぐるぐるしてる。
でも、聞かないと進めないの。
この答えが、私たちの未来を決めるから。
物語も、ついに残りあと【6話】。
完結まで、本当にもう少し。
どうか最後まで——
私と聡太くんの運命を見届けてください。
──坂下あかりより




