『“お泊まりデビュー”と、おそろいの夜』
こんにちはっ♡
坂下あかりです!
ついに──
夢野くん、お泊まりデーっっ!!
姪っ子のお世話もあるけど……
でも! 今日は“彼”と過ごす初めての夜。
ドキドキが止まらないよぉ……♡
どうか、最後まで見守ってくださいっ!
土曜日、お昼過ぎ。
「ごめんね〜! ほんと、助かるっ!」
姉はテンション高めに、
小さなキャリーとともに姪っ子を連れてきた。
「ごはんも、持ってきたからね!
夕食は決まった時間に食べさせて。
お風呂は済ませてきたから、あとは歯磨きだけ!
お願いね♡」
「え、あ、うん……まかせて……?」
(え、ちょっと待って。
これって、けっこう本格的なお泊まりなのでは……!?)
キャリーの中には、パジャマとお気に入りのぬいぐるみ、
そして、お弁当とフルーツの詰まったタッパーたち……。
完全に“一泊二日・フルサポート付き”ですやん……!
「ありがとね〜! じゃ、パパとラブラブしてくる〜♪」
(はいはい、バイバイごちそうさま!)
***
それから夕方。
姪っ子ちゃんは、ママ持参弁当を堪能中。
姪っ子ちゃんは、タッパーの中身をキラキラした目で見ながら、
ひとりでママ弁当をパクパク。
「ねぇ、これなぁに?」
「ぶどうある? いちごある?」
「デザートはあとでねっ!」
「えぇ〜〜〜〜〜」
「これ、食べる?」
「……」
(ちょ、あたしの煮込みハンバーグ……完全に無視された……!?)
私は夕飯の準備をしながら、
タッパーを囲む姪っ子とのやり取りに、
ついつい笑みがこぼれていた。
(夢野くん、そろそろ来るかな……)
ちらちら時計を見ながら、内心そわそわ。
ちょうどそのとき──
ピンポーン♪
(……きたっ!!)
わたしの心臓が、
テーブルに置いたスプーンくらい跳ね上がった。
「はぁいっ♡」
玄関までダッシュ!
全力の“あかりスマイル”も準備OKっ!!
そっと扉を開けると、そこには──
「こんばんは」
白シャツにジーパンという、
どこまでも爽やかな夢野くんの姿があった。
(え……なにこの人……
ラブコメのイケメン主人公、召喚された!?)
後ろから姪っ子がモグモグと口を動かしながら、
じーっと夢野くんを見つめて言った。
「……お泊まりするの?」
(それ……お前が言う!?)
「そうだよ。今日は絵本も持ってきたよ」
夢野くんは、にっこりとやさしい声で答える。
(は、はいっ!!
“いいお父さん”確定でーすっ!!!)
***
姪っ子は、ごはんのあとに歯磨きをして、
決められた時間にはちゃんとベッドへ。
そのお布団の中から、
眠そうに目をこすりながら、夢野くんを見上げる。
「絵本……読んでくれるの?」
「うん、いいよ」
夢野くんは、姪っ子の隣に座って、
持参した絵本を、やさしい声で読み始めた。
ページをめくるたびに、
姪っ子の瞼は少しずつ閉じていって──
読み終える頃には、
すやすやと、気持ちよさそうな寝息が聞こえていた。
夢野くんは、そっと毛布をかけ直してから、
ふっと微笑んでつぶやいた。
「子供って……どうしてこんなに可愛いんだろうね」
その優しい横顔を見つめながら、
わたしの心臓はまた、スプーン並みに跳ねた。
(……ほんとにもう……
やっぱり“夢野くん”が大好き……!)
姪っ子が眠ったあと──
リビングの照明を少し落として、
わたしは夕食の後片付けをしながら、
そわそわと、ちらちら……洗面所の方を気にしてた。
(そろそろ……出てくるかな……)
そんなタイミングで──
「──あかりさん、ありがとうございました。
お風呂、借りました」
その声に振り返ると──
……いた。
夢野くんが、
わたしが選んだ“あの”パジャマを着て、
タオル片手に立っていた。
黒地の半袖シャツに、ゆるっとした長ズボン。
胸元には──ちょっと不機嫌そうな顔の、ふて寝シロクマくん。
(……ちょ、まって、尊いっ!!)
「どうですか? 似合ってます?」
「えっ……」
わたしの目、今完全にハートだったと思う。
(えっ……ちょっ……
ふて寝シロクマ×夢野くんってなに!?
尊さ大渋滞なんだけど!!)
「え、えぇっと……その……」
「……?」
「も、もちろん…… 匂いごと、保存しておきます♡」
──しまったぁぁぁぁあああ!!!
ぽろっと出たひと言に、
夢野くんが、二度見してきた。
「……今、なんか言いませんでした?」
「い、言ってなぁぁいっ!!???」
しろまる抱えて、クッションの中に即ダイブ。
もう、地球ごと埋まってしまいたい。
(尊死……完了……)
***
それから、わたしも入浴を済ませ──
髪をタオルでくしゅくしゅしながら、
リビングに戻った、その時だった。
ソファに座っていた夢野くんが、
ふいに目を上げて、やさしく言った。
「──あかり、こっち」
(……えっ)
今、“あかり”って……呼び捨て……した……?
なにそれ、心臓どうしたらいいの??
そして──
夢野くんは、自分の足元をポンポンと叩いた。
「乾かすよ。
……濡れたままだと、風邪ひいちゃうから」
(う、うわぁぁぁあああああ!!)
足元に座るとか、なにそれ恋愛ドラマ!?
……っていうか、これ絶対に夢オチじゃない??
でも──
わたしは言われるがまま、
そっと彼の前に座って、膝を抱えるように小さくなった。
ドライヤーの音と一緒に、
ふわっと、やさしい風が髪をなでるように流れて──
それと同時に、夢野くんの手が、
とてもやさしく、まるで宝物に触れるみたいに──
(あぁ……この時間……永遠でいい……)
「僕、もし……自分に子どもができたら、
こうやって、毎日ドライヤーしてあげたいって思って。」
──はっ。
(……あのノート)
前に夢野くんがくれた、
あのノートの、あのページ──
“毎日、お風呂あがりに髪を乾かしてあげたい。
その時間が“安心”って思ってもらえたらいいな”って。
(そっか……あのノートには、自分が感じた“安心”が書かれてたんだ)
「……言葉がなくても、愛って伝わるんです。
体に触れることで──」
「……っっ」
(ちょ、ちょちょちょ……!!)
“体に触れることで”って……!?
今、完全に胸キュン爆発ワード、きたよね!?!?
(わたし……もっと触れられたいって……
いや、されたら尊死するけど……尊死したい!!)
「ふふ……髪、さらさらですね」
「そ、そうたくんの手が……やさしい……っ♡」
(ぎゃああああああああっっっ!!)
ふて寝シロクマパジャマの夢野くん。
やさしいその手のぬくもり。
そして、“あかり”って呼んだ、あの声──
今日という日は──
きっと、ずっと、
わたしの胸に、宝物みたいに残るんだろうな。
“ぬくもり”が心まで届いた、夏の夜。
(あぁもう……“夢野くん”じゃなくて──)
「……そうたくん、大好き♡」
わたしはしろまるをギュッと抱きしめながら、
そっと、呟いた。
ここまで読んでくれてありがとうっ♡
今回は、ドキドキのお泊まり初日!!
夢野くんのふて寝シロクマパジャマ姿、
マジで国宝級だったよね!?
しかもドライヤータイムで、
まさかの“愛“を感じるって話……
もうっ、キュンが止まりませんっっ!!
次回は──
“パパチェック”がいよいよ本番。
夢野くん、どんな風にあかり家の父と向き合うのか!?
どうか、あたたかく応援してくださいっ♡
──坂下あかりより♡♡




