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『お母さまと、お茶と、“名前”の距離』

こんにちはっ♡

坂下あかりです!


 


ついに……この日が来てしまいましたっ。


 


夢野くんの、おうち再訪問──!!


 


ちゃんと彼女らしくふるまえるかな?

お母さまと、うまく話せるかな……?


 


いまの私は、“ただのあかり”じゃなくて……

夢野くんの“彼女”として、覚悟を決めなきゃいけないのっ。


 


どうぞ、まるっと見守ってください♡



「……よしっ!」


 


鏡の前で、ポニーテールを結び直して気合いを入れる。


 


(今日は、“坂下あかり”じゃなくて、“夢野くんの彼女”として、ちゃんとしなきゃ……!)


 


お気に入りのワンピースに、差し色のカーディガン。

きれいめメイクもばっちり!


 


だけど……心臓のドキドキは、全然落ち着いてくれない。


 


(……名前、呼べるかな……今日こそ、“そうた”って)


 


「そ、そうた……くん……」


 


口にした瞬間、顔がぱんって音立てて赤くなる。


 


(むり!!)


 


ごろんとベッドに倒れ込んで、しろまるに顔を埋めた。


 


「……あーーーもう! 恋って、しんどい!!」


***


 


夢野家の前。


 


(……インターホン押すだけ、なんだけど……)


 


手土産を持ったまま、深呼吸を3回。


 


「……ふーーーっ……ふーーーーっ……」


 


(……深呼吸しすぎて酸欠なるわ!)


 


ぺちっと自分の頬を叩いて、ついに、指を伸ばす。


 


ピンポーン♪


 


『はーい……あかりさん?』


 


インターホン越しに聞こえた声は、やわらかくて優しくて──


 


(あ、もう、癒される……!)


 


緊張がちょっぴり、ほどけた気がした。


 


ドアが開いて、初対面の時と同じ、

おっとりした雰囲気の女性が出迎えてくれる。


 


「こんにちはっ……! またお邪魔させていただきますっ」


 


ぺこっと深くお辞儀。


 


「まあまあ、いらしてくださってありがとう。ようこそ!」


 


夢野くんのお母さんは、やさしい微笑みで迎えてくれた。


***


 


お茶会スタート──


 


「まあまあ、これ、美味しいですね。どこのお菓子ですか?」


 


「こ、こちらっ! 私の地元で人気の……っ、えっと!」


 


(だめだ緊張で早口すぎる……)


 


「ふふふ。そんなにかしこまらなくていいのよ?」


 


「は、はいっ」


 


夢野母は、おっとりしてるけど、じわじわ距離を詰めてくるタイプだ……。


 


「そうたったら、小さい頃から不器用でねぇ。

好きな絵本を、何度も何度も読み返してて……。たまに絵本の主人公になりきっていたんですよ」


 


「えっ、声真似!?なりきり?」


 


「あら、言ってませんでした?」


 


(うそ……そんな一面が……!)


 


だめ、想像したら笑い止まらない……♡


 


「でも、そんな息子があかりさんと一緒にいて……すごく楽しそうで、本当に嬉しいんです」


 


ぱたりと、カップをソーサーに置いたお母さんが、ふと──


 


真顔で、わたしに向き直った。


 


「──あかりさんは、うちの息子の、どこが好きなんですか?」


 


「……っ」


 


(き、きた……!! これ、試されてるやつ!!)


 


「……えっと。穏やかで優しくて……それで、誰よりもちゃんと相手の気持ちを考えてくれて……あと……」


 


(どうしよう、これ言っていいの!?)


 


「笑った顔が、ずるいくらい、可愛いんです……♡」


 


「ふふ……それなら、安心ですね」


 


お母さんが、ふっとやわらかく笑った。


 


そして──


 


「“夢野くん”じゃなくて、“そうた”って呼んであげてね。

そのほうが、きっとあの子、喜びますから」


 


(……っ)


 


胸が、じんわりあたたかくなる。


 


“そうた”って呼んでいいんだ──

恋人だからって、胸を張っていいんだって、そんな風に言ってもらえた気がした。


***


 


お家を出て、玄関を閉めた瞬間──


 


「あかりさん!」


 


「えっ……!」


 


夢野くん!?

まさか、ちょうど帰ってきたの!?


 


「えっと、今、お母さんと……」


 


わたしは、彼の顔をじっと見て──


 


「……ねぇ、“そうた……くん”♡」


 


夢野くん、目をぱちぱちさせて──


 


「……えっ?」


 


きょとん顔、可愛すぎてずるい。


 


「じゃ、また連絡するね〜っ!」


 


照れ隠しに、わたしは小走りで帰る。


 


後ろから、小さく笑う声が聞こえた気がして……

なんだか心が、ぽかぽかしてた。


 


(……“そうた”って呼ぶの、思ったより、悪くないかも♡)



ここまで読んでくれてありがとうっ♡


 


今回はついに、夢野くんのお母さまと2度目のお茶タイム!


 


まさか、あんな風に背中を押してくれるなんて……

ちょっとびっくりしちゃったけど、嬉しかったなぁ。


 


名前を呼ぶって、すごく照れるけど、

でも、その分、気持ちがぐっと近づく気がしたの。


 


次回は──

あかりの姉がまたなにか、企んでいるらしくて……!?


 


「次はパパチェックね」って、まさか!?


 


次回も、ドキドキの展開になりそうです♡


 


──坂下あかりより♡♡



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