『出会いは、突然に。──そして、過去が動き出す』
こんにちはっ、坂下あかりです♡
前回……ちょっとだけ、夢野くんとの距離を感じちゃったんです。
両想いのはずなのに、どうしてこんなに胸が苦しいんだろう……って。
そんな中、突然現れた“綺麗な女性”。
今回は、まさかの出会いから始まる──
夢野くんの“過去”に、あかりが一歩踏み込む回です!
どきどき妄想と、ときめきマカロンと、ちょっと切ない本音。
全部まるっと、お楽しみくださいっ♡
「坂下さん、ですよね?」
息を切らせながら駆け寄ってきたその女性は、
どこか夢野くんと似た雰囲気だった。
ぱちぱちとした瞳。
落ち着いているのに、あたたかい声色。
「はじめまして。わたし、夢野聡太の母です」
「すみません、少し……お時間いただけますか?」
わたしは戸惑いながらも、頷いた。
「実家、すぐそこなんです。……少しだけ、お茶でも」
***
通されたのは、静かな一軒家。
「ここ……あの子が育った家なのよ」
その瞬間。
(えっ、ここが……!?)
わたしのテンション、爆発!!!
部屋のあちこちを見回して、キョロキョロ。
ぬいぐるみ!写真!木のぬくもりっ!
もう、脳内で“ちび夢野くん”が走り回ってるんですけどおおお♡
テーブルには、お茶と色とりどりのマカロン。
まるで雑誌の中みたいなティータイム。
「……アルバム、見る?」
その言葉に即答で「はいっ♡」
開かれたページの中に……
「し、しろまるぅぅぅう!!!」
あの子、ちび夢野くんが、ぬいぐるみをギュッとしてるぅう!
可愛すぎて、思考停止。
隣で微笑む母親の言葉が静かに響いた。
「坂下さん。どうして、あなたかなって思ったか……わかるかしら?」
「え? えっと……わかんないです」
「“あの子のノート”よ」
!!?
あれ……まさか、あの謎の“ノート”?
夢野くん、絵が下手だから、人物なのか謎だったけど……
「坂下さんのことが細かく書かれてあってね。……この子だって、すぐ分かったわ」
(……え、どんな生き物で描いてたの?)
母親は笑った。
「なんだか、おもしろそうな女の子だなって」
***
そして、ふと話題は変わった。
「息子……最近、楽しそうにしてるの。でもね……ちょっと、変なのよ」
その表情は、どこか不安げだった。
「すぐ近くで一人暮らししてるのも、ちょっと不自然でしょう?」
たしかに。
あんなに家が近いのに、実家じゃなくて一人暮らし。
「坂下さん。……“ASD”って、聞いたことあるかしら?」
「ん?……あんまり、わかんないですけど……」
「人とのコミュニケーションがちょっと苦手だったり、感情表現が上手くできなかったりするのよ」
母親の言葉が、静かに胸に落ちた。
「“笑わないね”って言われて……あの子、すごく傷ついてたの。
自分でも、“笑い方を忘れたんじゃないか”って……悩んでた時期があってね」
その声には、母親としてのやさしさと、長年見守ってきた痛みがにじんでいた。
(わたし、夢野くんの笑顔に安心してばかりいたけど……
その奥に、気づこうとしていなかったのかもしれない)
「大学入学と同時に一人暮らしを始めてね。“何でも自分でできるようになる”って言っていたけど……本当は、人との関わりを避けたかったのかもしれない」
わたしの頭の中に浮かんだのは──
北海道で、静かに笑ってくれた夢野くんの姿。
(……夢野くん、もしかして……わたしに嫌われるのが怖くて、ずっと悩んでるのかな?)
「でも、あなたに出会ってから、“変わったな”って思ったの。ありがとう、坂下さん」
「坂下さんは、聡太のこと……好きかしら?」
「──はいっ♡ 夢野くんのこと、大好きなんで!!」
大きな声で言ったら、母親はふふっと笑って、
「まっすぐなのね。……ノートに書かれてたヒロイン、そのままだわ」
(……え、ヒロイン……?)
その時──スマホが震えた。
《明日、夜……時間ありますか?》
夢野くんからのメッセージだった。
(……行くに決まってるでしょ♡)
でも、どこか――胸がざわついた。
いつもの“やさしい誘い”なのに、
その奥に、まだ知らない夢野くんの「本音」が隠れている気がした。
この出会いが、過去を少しずつほどいていく。
──そして、未来がそっと動き出す音がした。
こんにちは♡
ここまで読んでくださって、ありがとうございます!
今回は、まさかの──
夢野くんの“お母さま”登場回でした!!
まさかのマカロン&アルバムに、あかりもうテンション上がりっぱなし!
でも、ちょっとだけ……胸がぎゅってなる話でもあって。
“夢野くんの過去”と“いま”に触れて、
もっと、ちゃんと向き合いたいって思いました。
次回はいよいよ──
夢野くんからの“夜の誘い”♡ですっ!
恋って、嬉しいだけじゃないけど。
それでも、まっすぐ伝えたい想いがあるの。
また次回、お会いしましょうっ♡
──坂下あかりより♡♡