『“好き”なのに、なんでこんなに苦しいんだろう』
こんにちは、坂下あかりです♡
前回の北海道旅行……
わたしにとって、ぜったい一生忘れられない時間でした。
──だって、夢野くんと“両想い”になれた……んだもん。
だけど……今朝、会ってみたらね。
なんだか、ちょっとぎこちなくて。
笑ってくれてるけど、どこか心が遠いような気がして。
(ううん、気のせいじゃないと思う)
今日はそんな、月曜日のお話です。
笑顔の裏側にある、ほんとの気持ち。
ちゃんと、知りたいって思いました。
それじゃあ、本編スタートですっ♡
週明けの月曜日。
オフィスには、いつもと同じ空気が流れている……はずだった。
でも――なんだろう。
(……なんか、ぎこちない)
両想いって、こんなに不安になるものなんだっけ。
だって、もう「好き」って伝え合ったはずなのに。
それでも、あの笑顔の奥にある“何か”に、
わたしの言葉が届いていない気がした。
いつものように笑ってくれる夢野くん。
だけど、その笑顔の奥に、ふとよぎる影。
わたしの勘違いじゃないよね?
だって、北海道旅行では……両想いになった、はずなのに。
「おはようございます」
「……おはよう、ございます」
わたしの声が、少し裏返った。
(……ダメだ。緊張してるの、バレる)
だけど、夢野くんの方がもっと……
無理してるように見えた。
***
お昼休み。
「……あれ?」
夢野くんのデスクには、
食べかけの栄養バーがぽつんと置かれていた。
(えっ……ちゃんと、ご飯食べてない?)
営業続きで忙しいのは分かってたけど、
なんだか胸が、ぎゅっとなった。
***
その夜。
(よしっ、お弁当作ったし……)
「今から届けに行くね!」
メッセージを送ってから、
夢野くんのマンションに向かう。
エントランス前で待っていた彼は、
いつも通りの優しい笑顔を向けてくれた。
だけど――
やっぱり、どこか寂しそうだった。
「今日、ちゃんとごはん食べてないでしょ?」
「……あ」
夢野くんは少し驚いた顔をした。
「はいっ、お弁当! あかり特製、ね♡」
わたしは、いつものテンションで手渡した。
この空気を重くしたくなくて……
元気な“わたし”を、頑張って演じた。
でも、夢野くんの手にお弁当が渡ったとき。
その指が、すこしだけ震えていたのに気づいた。
(……夢野くん)
エントランス横のベンチで、並んで座って。
少し話をした。
会話は少なかったけど、
それでも……そばにいられるだけで、幸せだった。
「……明日は、屋上で一緒に食べられるといいな♡」
わたしが笑顔で言うと、
夢野くんはほんの少しだけ微笑んで、こう言った。
「……うん」
小さな声の返事だった。
どこか、“寂しさ”のにじむような――そんな声。
シロクマ模様のお弁当包み。
そのお弁当を持って、
夢野くんは静かに立ち上がった。
「明日……会社でね♡」
「……うん」
少し微笑んで返事を返してくれた。
その表情は、
静かに、だけど確かに、何か不安を抱えているようだった。
わたしは、しばらくその顔が頭から離れなかった。
(なんで……こんなに、胸が苦しいんだろう)
それでも。
笑顔で手を振ってから、駅へと歩き出す。
──振り返ったときには、
もう夢野くんの姿はなかった。
***
その帰り道。
「坂下さーん!」
背後から呼ばれて振り返ると、
息を切らして走ってくる、綺麗な女性が立っていた。
「……え?」
「坂下さん、ですよね?」
ぱちぱちと瞬くその瞳に、わたしは一瞬、息をのんだ。
どこか夢野くんと似ている――
そんな“気配”が、彼女にはあった。
──まるで、澄んだ瞳だけが、
同じ血を映しているような……
(……誰?)
そう思った瞬間、
心の奥に“何か”が静かにざわめいた。
やっほー♡
坂下あかりです!
今日のお話、最後まで読んでくださってありがとうございました!
夢野くんと“両想い”になれたはずなのに、
なんでだろ……なんか、ぎこちなくて。
ちょっと寂しくて、すっごく苦しくて。
でもね、わたし……
気づいちゃったんです。
彼の笑顔の奥には、
まだ届いていない“気持ち”があるってこと。
わたし、ちゃんと向き合いたい。
ちゃんと聞きたいって、そう思いました。
次回は──
夢野くんの“本当の気持ち”に近づく、大事な回です。
まさかの女性の登場!?
あの人、いったい誰……!?
それではまた、次回お会いしましょうっ♡
──坂下あかりより♡♡