表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/37

『恋する北海道、あふれた本音』

こんにちは、坂下あかりですっ!

27歳、片想い歴……長いけど幸せ記録、更新中〜!


でも今回は、そんなわたしでも思わず叫びたくなる……そんな回です。


なんといっても!

ついに!! 夢野くんと……!!


 


\ 北海道旅行ですっっ♡ /


 


──え?

これって、もう……デート通り越して、ハネムーン未遂じゃないですか??(黙れ自分)


しかもね、わたし……

やらかしたの。


まさかの……「大好き。付き合いたい」宣言を、口からぽろっと。


 


うわぁああああああああああ!!!!!!(地球に穴があったら入りたい)


 


……と、とにかく。

今日のすべて、報告させてくださいっ!


朝の空港。

集合時間より早く着いた私の目に飛び込んできたのは──


 


白シャツにネイビーのアウター。

キャリーケース片手に立つ、さわやか爆弾・夢野くん。


 


(……えっ、なにその旅先スタイル。破壊力高すぎない??)


 


心臓がバグったのは言うまでもありません。


 


「……おはようございます」

「お、おはようございますぅ……!!(裏返り)」


 


そして始まった空の旅。

隣の席で、夢野くんは静かに本を読んでたけど──


 


私は、機内でしろまるをこっそり取り出し。


「連れてきちゃった♡北海道、寒いからさ」


 


「……あ、それ。」


 


夢野くんの声が、ほんの少しだけ、弾んだ気がした。


私のバッグの隅から、ちょこんと顔を出していた“しろまる”。

前に夢野くんがくれた、あのシロクマのぬいぐるみ。


 


夢野くんは、嬉しそうに微笑んだ。


 


言葉にはしなかったけど、

その表情が、何よりも雄弁(ゆうべん)に語っていた。



──大事にしてくれてるんだなって。

──持ってきてくれたんだなって。


 


まるで、プレゼントを渡した日の気持ちが

いま報われたみたいに──夢野くんの目が、やさしく緩んでいた。


 

(えっ、えっ、そんな顔する!?)


 

……大事にしてるって、ちゃんと伝わったんだよね。

わたしが、どれだけこの“しろまる”を連れて歩いてるかって。


 


(うんうん、そうだよ!この子はただのぬいぐるみじゃないもん!

 “夢野くん印”の大切な、宝物ですからっ!!)


私は何も言えなくて、

ただ、しろまるの耳をぎゅっと撫でた。


 


──あなたがくれた“この子”。

ただのぬいぐるみじゃ、ないんだよ?


だって、だってね、

この子には……夢野くんの“やさしさ”とか、“想い”とか、“気づかい”とか……


もう、そういうのぜんぶぜんぶぜ〜〜んぶ、

ぎゅうぎゅうに詰まってるの!!


 


だから、わたし、抱きしめるたびに思うの。


 


(わたし、こんなに大事にされていいのかな……

 ううん、ダメとかそんなの関係ない!

 だって好きだもんっ、もう、すっごく、好きなんだもんっ!!)


 


にこっと笑った夢野くんに、着陸する前に心が着火しました。


 


* * *


 


そして念願の──旭山動物園!


 


「わああああっ!!いたっ、いたよ夢野くん!シロクマ!!」


「おお……意外と、迫力ありますね」


「ね!? しろまるのご先祖様って感じ!!」


 


ぴょんぴょん跳ねながら写真を撮りまくるわたしに、

夢野くんがカメラを向けて──ふいに手が触れそうになって、


 


お互い、そっと目をそらした。


 


(……ねぇこれ、青春映画じゃない!?)


 


 「シロクマって、一生に一度のパートナーを探すんですよ」


 


夢野くんが、ガラスの向こうでゆっくり歩く白いクマを見ながら、

ぽつりとつぶやいた。


 


「……そうなんだぁ。

 なんだか……素敵だね。そういうの」


 

私も、そのシロクマをじっと見つめながら答えた。


厚いガラスの向こう、白くて大きな身体が、

静かに、でもどこか目的があるみたいに歩いている。


なんだか……“誰か”を探してるみたいに見えて──


 


「うん。……だから、ぼく……好きになったのかもしれない」


 


「……え?」


 


思わず、顔を向けてしまった。

でも夢野くんは、ずっとシロクマだけを見ていた。


 


「こういうところが、いいなって。

ちゃんと“この子だ”って決めて、

まっすぐに向かってく感じ……大好きなんだ」


 


静かにそう言って、ほんの少しだけ微笑んだ。


 


(……あれ?)


(いまの、“好きになった”って……シロクマの話、だよね?)


でも、なぜか心臓がどくんって鳴った。


理由はまだ、わからない。

だけど、胸の奥があたたかくなるのを、止められなかった。


 


(……夢野くんって、やっぱりずるい。

 ほんと、やさしくて……好きにならずにいられないよ)


そのひと言に、心がふわって浮いた気がした。


 


* * *


 


午後、雪の降る展望台。


ふたりでホットココア片手に、ベンチに並んで座る。


目の前には、真っ白な世界。

幻想的すぎて、言葉を失うくらいの風景。


 


「……夢野くんって、さ」


 


「はい?」


 


「どうして……そんなに、優しいの?」


 


ぽつりと出た私の問いに、

夢野くんはほんの少しだけ間を置いて──


 


「……あかりさんが、大事だからですよ」


 


その瞬間、胸の奥に

ふわっと、あたたかい雪が降り積もるような気がした。


やさしい気持ちが、こぼれ落ちそうになって、

気づいたら──言ってた。


 


「……夢野くん、大好き。付き合いたい……」


 


言うつもりじゃなかった。

タイミングも、勇気も、用意してなかったのに。


 


でも、いまのこの瞬間だけは、

心が先に動いてた。


 


 


──それに対する夢野くんの答えは、

少しだけ視線を落としてから、出た。


 


「……僕なんかでいいんですか?」


 


 


一瞬、言葉の意味がうまくのみ込めなかった。


「え……?」


 


でも夢野くんは、ふわっと笑って、

「冗談です」みたいに空を見上げた。


 


私も、それ以上は聞かなかった。

だって──その言葉の奥にある“何か”に、

このときの私は、まだ気づけていなかったから。


 


 雪が静かに舞う空の下。

それでも私は、世界でいちばん幸せを感じていた。


 


(夢野くんと一緒にいると、こんなにも心が温かくなるんだって。

 もう、これ以上は望んじゃいけないくらい──うれしかった)


 


* * *


 


帰り道。

並んで歩く距離は、いつもと同じくらい。


手はつないでない。

でも、心は──もう、とっくに重なってる。


 


(……ねえ、夢野くん。

 この歩幅で、これからもずっと一緒に歩けたらいいな)


 


──あの時のわたしは、まだ知らなかった。

あの背中に、そっと隠された“迷い”の気配に。



やっほー!坂下あかりです♡

今日の回、読んでくださって本当にありがとうございました!


 


ついに……

ついに……っ!!


あかり、爆発しました!!(語彙も感情も)


あの展望台でのセリフ……

わたし、絶対一生忘れないやつです。

夢野くん、最高です。いやもう、反則レベルでしょ……。


 


──なんだけど。


ちょっとだけ、気づいてるんです。


あのときの夢野くんの「笑顔」の奥に、

なんだか“言葉にできない何か”があったこと。


 


両想いになれたはずなのに、

彼の心のどこかには、まだ届いてない場所がある気がして。


 


次回は──そんな“彼の本音”を、ちゃんと聞きに行くお話です。


営業続きで、お弁当を一緒に食べられなかった日。

わたし、ついに彼のマンションに届けに行きますっ!


 


……夢野くん、あの時、どんな気持ちだったの?

どうして、あんなふうに目をそらしたの?


 


ちゃんと聞くって決めました。

わたし、この恋、まっすぐに向き合いたいから。


この恋に、迷いがあるなら──わたしが、まっすぐ照らしてあげるから。


 


それではまた、次回お会いしましょうっ!!


──坂下あかりより♡

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ