『すれ違う鼓動、近づく想い』
こんにちは、坂下あかりです。
27歳、全力片想い中──。
この前の“初デート”が楽しすぎて、
なんだか今も、心がぽかぽかしてます。
……なんだけど。
でも……夢野くんって、やっぱりわかりにくい。
わたしだけが浮かれてるのかなって、不安になる時もあります。
今日は、そんな“モヤモヤの一日”でした──。
(昨日のデート……わたしだけが楽しかったのかな……?)
なんとなく、今朝は胸がそわそわしてた。
でも、いつものように夢野くんの分もお弁当、作っちゃう。
きっと、また屋上で……一緒に食べられるよね?
そう思って会社に来たのに──
「あれ? 夢野くんなら、朝から外回りだって。部長に呼ばれて」
そう言われて、ホワイトボードを見た。
《夢野》の名前の横に、“直帰”の文字。
(……直帰……ってことは、今日はもう会えない……)
両手に下げた、おそろいのお弁当。
ぽつん、と置かれたふたつのお弁当箱を、屋上で見つめる。
(……顔が見られないって、こんなに寂しいんだ……)
胸の奥が、じんじんと痛む。
そのとき──スマホが震えた。
* * *
《今日も、ぼくのお弁当ありますか?》
(……え!?)
画面を見て、思わず声が出そうになる。
《もちろん♡あるよ。しろまる、今日も入ってるよっ》
すぐに返信を打った。
……そしたら、またすぐ返ってきた。
《会社に取りに行ってもいいですか?》
えっ……! もう、えええっ!?!?
テンパりながらも、すぐにメッセージを送る。
《いま、どこなの? わたしが届けるよっ!》
《じゃあ……住所、送ります》
(住所……住所!? え、これって……恋人みたいじゃない!?)
なんか……なんか、ドキドキ止まらないんだけど!?
* * *
夕方。
夢野くんの住むマンションの下で、彼は待っていてくれた。
「……あかりさん」
「わっ、夢野くん! えっと、これ! お弁当! まだあったかいよっ!」
「……ありがとうございます」
(もう無理……笑顔、破壊力ありすぎ……)
ちょっとの沈黙のあと、夢野くんが口を開いた。
「……今度、よかったら……動物園、行きませんか?」
(……えっ……)
「うんっ♪ 行く! 絶対行く!!」
思わず、声が弾ける。
(やった……やった……! 次も、あるんだ……!)
「じゃあ、また会社で──」
そう言って、駅に向かって歩き出す。
ふと、気になって振り返ると……
夢野くんの隣に、知らない女性が立っていた。
長い髪、綺麗な人。
その人が、彼の右腕に、そっと手を添える。
そして──ふたりで、マンションの中へと消えていった。
(……え……?)
わたしの胸が、すぅっと冷えていく。
心臓の音が、遠ざかる。
“さっきまでの笑顔”も、“動物園の約束”も──
ぜんぶ、嘘だったんじゃないかって。
頭の中が、ぐるぐる回って止まらない。
(……夢野くん、あの人──誰?)
やっほー、坂下あかりです。
……ねぇ、ちょっと……ちょっとだけ、泣いてもいい?
今日の最後、ほんと無理だった。
すっごく嬉しかったの。
お弁当、喜んでもらえて、会えて、次の約束もできて。
でも、あの最後……
夢野くんの隣にいた“あの人”が、ずっと頭から離れない。
どうしよう。
この胸のモヤモヤ、どこにぶつければいいの……。
……次回、あかり暴走寸前!?(恋も涙も止まらない)
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それでは、また次回お会いしましょう!
──坂下あかりより!