夏色シンフォニー
夏の午後、学校帰りの道を歩く二人の姿があった。蝉の声が響き、木々の間から差し込む陽射しが強く、二人の影が地面に長く伸びている。
「暑いな、ケイ。早くクーラー効いた部屋に逃げ込みたい。」リョウが、汗を拭きながら言った。
「そうだな。家まであと少しだ、頑張ろうぜ。」ケイはリョウに微笑みかける。
「お前んち、クーラー新しくしたんだっけ?冷え方が違うんだよな。」リョウは嬉しそうにケイの家を目指して足を速めた。
「うん。家に着いたらまずアイス食べよ。冷蔵庫に新しいやつがあるから。」ケイもリョウのペースに合わせて歩く。
二人は笑い合いながらケイの家に着くと、すぐにクーラーの効いたリビングに駆け込んだ。冷たい風が彼らを包み込み、リョウは大きく息をついた。
「やっぱり、ここは天国だな。」リョウはソファに倒れ込むように座った。
ケイは冷蔵庫からアイスを取り出し、リョウに渡した。「ほら、これでさらに涼しくなるぞ。」
「ありがとう。」リョウは笑顔でアイスを受け取る。二人は無言でアイスを食べ始めたが、その静けさが逆に心地よかった。
しばらくして、リョウがふと呟いた。「こうしてると、なんか昔を思い出すよな。」
「何が?」ケイが尋ねると、リョウは少し照れたように答えた。
「小さい頃さ、よく二人でここで遊んでたじゃん。なんか、その頃と変わってない気がするよ。」
ケイは優しく微笑んだ。「そうだな。でも、少しは変わったかも。」
「どういう意味?」リョウが不思議そうに尋ねる。
ケイは一瞬、視線をそらし、少し赤くなった。「なんでもないよ。ただ、今もこうして一緒にいられるのが嬉しいって思っただけ。」
リョウはその言葉に驚き、心臓が早くなるのを感じた。「俺もだよ、ケイ。ずっとこうしていられたらいいのに。」
二人の視線が重なり、その瞬間、周りの世界が静止したように感じた。互いの気持ちを確認するように、静かに微笑み合う二人。
「これからも、ずっと一緒にいような。」リョウが静かに言った。
「うん、ずっと一緒だ。」ケイの声には確かな決意が込められていた。
夏の午後の静かなひととき、二人の心は確かに一つに繋がっていた。