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不完全性定理
かつて僕は信じていた
無理難題に直面しても
どこかに答えはあるはずだ
努力さえすれば辿り着くはずだと
嘘と欺瞞に満ちた世界で
何度も騙されてきたけれど
どこかに真実はあるはずだ
神様だけは知っているはずだと
ゲーデルという数学者は言った
"完全で無矛盾なものなど無い"
"世の中には証明できないことがある"
"自己の矛盾は証明不可能"
完全にみえるものには嘘があって
矛盾を無くそうとすれば綻びが出る
仮に証明できる事実があったとして
その正しさを誰も証明できない
僕の信念は打ち砕かれた
辿り着ける答えなど無かった
信じる者は救われなかった
全知全能の神などいなかった
努力と言う名の水の泡
真実は嘘に上塗りされ
自分の心さえ信じられなくなって
いつしか僕は考えるのをやめた
かつて僕は信じていた
どんなに強い雨だって
いつか晴れる日が来ることを
願いはいつか叶うことを
かつて僕は信じていた
愛と慈しみに満ちた世界を
汚れなき真実があることを
救いはいつかあることを