プロローグ
煌びやかなダンスホール、そして集う貴族たち、それぞれに豪華な衣装を着ている。
「エリザベス・ダレン・ド・フォンティーニ!お前と婚約破棄する!!そしてお前はテレサを殺害しようとした!!国外追放として二度とこの場に戻るな!!」
エリザべスと呼ばれた輝くような金髪に空色の澄んだ綺麗な瞳、そして可憐な顔立ちをした美女は少し前に立っている少年を見た。
エリザベスはため息をして綺麗な唇から言葉を放った。
「あらそうですの?グレイ様、私はテレサさんを殺害しようとはしてませんが...
まあ、私を敵に回したことをせいぜい後悔していてくださいね。へっぽこ王子。」
エリザベスが笑いながら言うとグレイと呼ばれた緑の髪をした少年は顔が真っ赤になっている。
そして腕にくっついているテレサと言う茶髪の少女もエリザベスの言葉にあんぐりしている。
エリザベスは思う。
ありがとうお母様―
お母様はきっとこのことを気づていて私に死ぬ前に未来のことを教えてくれたのね―
そう、エリザベスの母親は実は異界の転生者っだったのである。
異界でやった乙女ゲームの悪役令嬢が娘だと気づいた母親はエリザベスに16のサマーパーティーに婚約破棄と追放されると死ぬ前に伝えたのである。エリザベスはそれを知った瞬間に未来を変えようと覚悟したので今日の出来事を驚いてはいないのだ。
エリザベスはパチンと指を鳴らした。
水色の煌びやかなドレスを着ていたエリザベスは赤い海賊の船長が来ている服に着替えた。
そして大きな鳥の羽がついた全体が三角形っぽい大きな帽子をかぶって言った。
「グレイ様、覚悟してください。だって私の正体は...
最強の海賊団カイトのボスですわ。せいぜい海側の防衛を鍛えておくべきですね。」
そう言い残してエリザベスは転送した。