交渉
(…ここは?)
何も見えないほどの暗闇の中で僕は目覚めた。
着ていたはずのの鎧や杖もなくなっている。
身体の感覚があまりない。どうやら麻痺しているようだ。
「あれ?ゴブリンさん起きましたか?」
暗闇の中で腕のほどの小さな光が見えた。目が慣れてきたころに見えたのは、妖精たちの長の姿だった。
「…君は?」
まだ死んでいないということは生かす意思があるということだろう。できるだけ敵意を出さずに話しかける。
「なんだか随分余裕そうですね。私たちの仲間を誑かしてどうするつもりだったのですか?」
誑かす…?なるほど、エルは味方の可能性が高いか。
どうするべきか…エルの助けを待つ?いや、あくまで味方の可能性が高いだけだ。自分の村の妖精と僕を天秤にかければ妖精に傾くだろうし。
倒したゴブリンたちの仲間の振りをする?適当なことを言えば生きることはできるだろうが逃げることはできないだろう。あと、エルが味方だった時に信用がなくなるかもしれない。
なら選択は一つしかない。
「誑かす…?何のことだ?エルがゴブリンに襲われているところを助けて、妖精の村に送っただけだが?君たちこそ何でこんなことをするんだ?」
はぐれのゴブリンで何も知らないアピールだ。
「エルに聞いたでしょう?私たちはゴブリン共と抗争中です。そんな中はぐれた仲間がゴブリンを連れてきたらこんなことにもなりますよ」
多少敵意は薄れたな。エルの名前を出したからだろう。
「そうか。君たちは確か幻惑魔法を使って記憶の操作ができただろう?僕に妖精に関する記憶を消して外に出してくれ。それで君たちの争っているゴブリンたちの村に行けばもう一度捕まえればいいそうじゃなかったら見逃してくれ」
「まるで自分はあのゴブリン共ではないような物言いですね。…まぁいいでしょう。その方が私たちにもメリットがありますし。」
妖精の長が僕に向かって手を向ける。
「おやすみなさい。ゴブリンさん」
そういって妖精は去っていく。
虚ろ虚ろとしてきた僕は意識を失う前にあることを行った。
僕は意識を失った。