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序文
不定期更新の短編集のようで繋がっている話です。
離島の山沿いに建つ、古びた見た目の病院。数年前に政府に買い取られた町のつぶれかけた病院は、医者不足を解消するために国営となった。
つい最近からは、国の特定感染症の患者を受け入れ、自然豊かな環境での治療が行われている。十名の患者に対し、院長を含めた十五名の医療スタッフが常駐し、異変を見逃さないよう万全の体制を取っている。
感染症の症状は、十名すべての患者で異なる。しかし、同時期に発生し、記憶障害という共通の症状も表れていることから、同じ病に侵されていると判断されている。
症状はそれぞれ異なるため、症状と体質に合った治療を各自受けており、現在は小康状態を保っている。
以上の情報が、半年前に政府から公開された、特定感染症に関わる、民間が知りえる全てである。
患者・十名
医療従事者・十五名
四階建て屋上付き