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第5話 エクトプラズムと蝉少女。


「……………………またこの夢か」


 いつからかは覚えていないが、昔からこの「蝉に襲われる悪夢」を、忘れたころに見てしまう。なぜか舞台はいつも山の中のお墓。そして知らない女の子が一緒に居るのだ。


 蝉が嫌いだという思いが自分に見させている夢なのだろうか。


 昨日はサー子に目の前で蝉を放たれてしまったので、それがストレスになってこんな夢を見てしまったのかもしれない。サー子め、覚えてろよ。二学期になったらきっと……。 

何か嫌がらせをしてやりたいと思ったのだが、特に有効そうな嫌がらせは、思い浮かばなかった。あいつは最強すぎるのだ。


 まあそれはいいとして。


 かなり大声で叫んでしまったような気がするのだが。

 隣の部屋の妹に、聞かれたかな。今の。

 高校生にもなって、おかあさああああん……。

 聞かれてたら、ヤバいな。

 ていうかもう絶対聞かれてるよなこれ。


「…………アチぃ」


 全身が、汗でびっしょり。部屋の中はびっくりするくらい蒸し暑い。とりあえずリモコンを手繰り寄せて冷房をかける。


「今何時だ……」


 枕元の目覚まし時計を見る。もうすぐ午前十時。完全に寝過ぎ。どおりで軽く頭が痛むわけだ。

 だが、良かった。十時なら両親は既に仕事に出かけているし、妹も午前中から部活の練習だと言っていた。家には今、僕しかいないはずだ。


 しばし、ボーっとする。クーラーが身体を冷やしてくれるまでは、動く気がおきない。


 ああ、嫌な夢だったなあ。思い出すだけで鳥肌が立ちそうだ。あんな夢まで見るなんて、僕は病気かもしれない。でも、そうすると病名は何だ?


 蝉鬱? 


 セミウツ。蝉により鬱状態に陥ることを指す。蝉鬱の患者は蝉が盛んに飛び交う七月から九月末頃までにかけての外出が精神的負担となり症状を悪化させることから、この時期の外出にドクターストップがかかることが多い。


 ああ、早く医者から蝉鬱との診断を下してもらいたい……。これだけ精神負担になっているんだから、してもらったっていいはずだよな。


 セミウツ。蝉鬱。逆から読んだら鬱蝉……空蝉?


 なんて、くだらないことを考えていたら身体が冷えてきたので、そろそろ朝食でも食べに台所へ向かおうかな、と立ちあがって……。

 僕は自分の学習机の上に、妙なものがいるのを発見した。


「…………んだありゃ」


 机のほうへ一歩近づいてみる。

 黄金色の、丸まった……。巨大なノミみたいな。


 え………………。

 うそだ……。

 うそだろ…………。


 僕は、後ずさる。

 一歩、二歩、三歩。


 三歩下がったところで、後頭部を壁に打ちつけた。痛てぇ。でも、痛みなんか気にしていられる状況では、ない。


 あれは、蝉の、抜け殻の、中身が、詰まってるやつだ。

 ということはつまり、あれは、蝉だ。


 ――パリパリ。パリ。


 「ひっ……」

 思わず小さく声を上げる。殻の背中の割れ目が、さらに開き始めている。


 「え…………なんでっ?」


 なんで、僕の部屋なの?

 なんで僕の部屋で、羽化しなくちゃならないの?

 真昼間だよ?

 普通深夜とかにするんじゃないの?


 ていうかどうしてここにいるの? 地面から出てくるんだから、一軒家の二階の部屋の中にある机の上にいるなんて、おかしいんじゃないの?


 だが、そんな質問を心の中から投げかけたって、蝉が答えてくれるわけもない。

 彼か彼女か知らないが、とにかくそいつは遠慮なしに、バリバリやっていた。

 気持ちが、悪い。


 ……逃げるか。


 情けない話だが、妹が帰ってくる夕方までこの部屋には入らないようにして、リビングで過ごそう。そして帰ってきたら、蝉を捕まえて窓からポイしてもらおう。


 ――ん?

 ――ん?


 思わず、二度見した。

 奴の割れ目から、白い靄のようなものが、モクモクと立ち昇り始めている。


 「え、なに?」

 突然の怪奇現象に、僕は混乱する。


 それは、煙とも違うし、湯気とも違う。例えるなら、エクトプラズムみたいなもの。それが、蝉の殻の割れ目から続々と噴出し続けているのである。


 「ひぃ……」


 あまりの恐ろしさに、僕は腰が抜けてその場にへたり込んだ。身体に力が入らない。もう逃げることさえ出来なくなってしまった。


 これは夢の続きなのだろうか。

 しかしそれにしてはあまりにもリアルだ。


 エクトプラズム的な白い靄は、ゆったりと蠢きながら徐々に形を表し始めていく。それはまるで、人間のシルエットのようでもあった。髪、首、肩、胸……それも豊満なお椀型の……そして腕、指先、くびれたウエストライン、腰、尻、足。


 つま先まで形が整ったところで、それは色を持ち始めた。

 生きた、人間の肌の色。艶やかな髪の色。弾む潤いリップ。ピンク色をしたパジャマ。


 ――女の子だ!

 エクトプラズムは僕の目の前で、寝間着姿の女の子へと変貌をとげている。

 その質感は実にリアルで、彼女のふんわりとした甘い体臭さえも、僕の鼻先に伝わってくるほどだ。


 ……本当に良く出来た夢だなあ。


 思わず僕は関心してしまった。これだけ夢の世界の出来が良ければ、現実世界でリア充になれなくても満足できそうだ。

 だってまるで、夢じゃないみたいだし。


 ボブヘアーで、僕と同い年くらいの女の子。背は普通。胸はでかい。くりくりとした目が印象的で、小動物のような顔立ち。


「あ、うわっ!」


 女の子が、目の前の僕を見て小さく叫んだ。どうやら距離があまりにも近いことに驚いていたようで、どぎまぎした表情を浮かべつつ、一歩二歩と後ずさりしている。

 逃げなくっても、いいのに。

 でもそれも、逆に恥じらいがあっていいかもしれない。


「あ、あの……えっと、どうしよ」


 突然現れておいて女の子はいきなり戸惑い始める。

 その様子を見ていると、なんとか声をかけてあげたくなった。女性をエスコートするのは男性の役目だろう。っていっても蝉の抜け殻から出てきたエクトプラズムにまでそんな気を使う必要性があるのかどうかはわからないが。


「うう」


 戸惑いながら涙目になっている女の子に、僕は一歩、近づく。


「あ、す、座る? とりあえず」


 緊張と動揺で息が荒くなるのを押さえながら、なるべく冷静な声で僕はそう言った。すると女の子の瞳がまっすぐに僕を見る。


 ……これ、夢? なのか? 本当に。

 夢の中の出来事で、こんなに激しい動悸がおきたりするものだろうか?

 視線が合うだけで、全身の細胞が磁石に反応するように、彼女に引き寄せられてしまう。


「ど、どこにすわ、座っても、いいのか……」

「え、全然! 全然適当でいいよ! あ、そうだ、ここは?」


 僕は咄嗟に、ペシンペシンとベッドを叩いて示してみせた。ん? なんかこれじゃ、ベッドに誘ってるみたいでもしかして卑猥?! なんて不安が頭をよぎったが、幸い彼女はそういう風には受け取らなかったようで、「それじゃあゴニョゴニョ」とかなんとか言いつつ、ソロソロとベッドへ近寄り、ストンと腰をおろした。


 すると、枕元に置きっぱなしになっていた僕の宝箱が、ガサリ、と音を立てる。


「なにこれ」

「……あ、それは!」


 僕が止めようとするのも気にせずに、彼女は怪訝な顔をしながら箱の中身を取り出しはじめた。星型のパッチンどめやら、ヘヤピンやら、カチューシャやら。それらを手に取って髪に当ててみたりなんかしている。


 と、イチゴゴムを手にした彼女は動きを止めた。


「あ、これ……」


 そう言ってそれを、髪に結んだ。


「あの、それ、僕のモノなんだけど」


 女の子相手だからあまり神経質な一面を出したくはなかったのだが、なにせイチゴゴムは僕の宝物オブ宝物なのだ。気安く他人に触れられると、ついつい気が立ってしまう。


「…………僕のモノ?」

 女の子は首をかしげる。

「これ、コタのものじゃ、無いでしょ?」

「え……」


 なんで僕の名前、知ってるんだ? それに、コタっていう呼び方、いつか誰かにされたことがあったような気がするんだけれど。


 もう一度彼女は、じっとヘアアクセたちを見つめ始めた。その顔はどこか不機嫌そうにも見える。


 ああ、確かに。こんなどこから見ても女性物のアクセサリーを自分のものだと言い張る男子高校生とか、怪しすぎるもんなあ。

 早くどうにか、言い訳をしなくては……。

 しかし僕が言葉を口にするより先に、彼女は顔を上げ、ニッと笑った。

 ちょっといじわるな笑顔だった。


「これも見せて~。あ、こっちのもつけてみたいな」


 そう言って彼女は、前髪をピンで止め、腕にシュシュをつけ始める。ガシガシと荒っぽい手つきでいじるので、見ていられない。


「や、やめてくれ! 壊れるだろ!」


 僕は彼女のもとから箱を遠ざけ、彼女が髪に付けた分も取り返そうと手を伸ばした。


「…………返さないよ?」


 また意地悪くニヤリと笑って、彼女はピっと僕の腕に指をふれた。するとなぜか、腕は僕の意思に反して自分の膝の上に行儀よく戻っていってしまったではないか。


「な、なんだこれ……」


 もう一度、彼女の前髪のパッチンどめに手を伸ばす。しかし彼女に触れられると、やはりその手は膝の上に戻って来てしまった。


「どういう、ことだよ」

「コタの両腕は、コタより私のことが好きなんだよ」

「んなわけないだろ」

「両腕に、訊いてみたら?」

「……わっ」


 僕の両腕は勝手に持ちあがり、女の子に向かって指先でハートマークを作ってみせた。

 ……身体が、彼女に乗っ取られている?


「そういうわけだから、これを取り返すのは諦めたら?」

 冷たい口調で彼女は言った。

「そんな……」


 僕の宝物が、こんなわけのわからん女に奪われてしまうことになるとは。昨晩、きちんと机の引き出しの奥に戻しておけば良かった。


「これ、どうやって集めたの? 使用感のあるものばっかり……まさか、コタが盗んできた品々?」


 ギロリと、睨みつけられる。


「…………………………………………そうとも、言える、の、かも」


 その強い視線に負けて、ついつい認めてしまった。


「今までに出会った数々の可愛い女の子の持ち物?」

「……まあ、そんなとこ」

「そんな収集癖があるなんて、気持ち悪いね」

「………………ああ、そうだよ。そうだよそうだよそうだよ!」


 やけくそになった。ああ恥ずかしい。こんな恥ずかしい癖がバレてしまったら、もうお嫁に行けない。


「あーあ。盗みは泥棒の始まりだよ?」

「いや、むしろ泥棒そのものだと思うけどさ……。あ、ていうか僕は別に、盗んだとかそういう感じじゃないから」

「感じじゃないって曖昧だね。盗みっぽいことを仕出かしちゃったってことに変わりはなさそう」

「うぐ……」


 なんとも弁明のしようが無かった。

 しばらく、俯いて黙り込む。

 そんな僕を見て彼女は口を開いた。


「ねえ、これ、返してほしいの?」

「え……うん」


 だけど、どうせ返してくれないんだろう?


「返してあげてもいいよ」

「ほんと?」

 

 少しホッとする。


「ただし、条件があるの」

 彼女は不敵な笑みを浮かべた。

 

「蝉を、好きになって」

  

 ――蝉を、好きになって?


「……………………無理」

 

「ちょ、待って!」

 

 そっぽを向いた僕の肩を、焦ったように彼女は両手でがっちりと掴んだ。


「即答? いいの? どうせこの髪飾りの中にはコタが片思いしてた女の子のものだってあるんでしょ?」

 

 もちろん。ていうか全部そうだけど。

 

「でも、蝉は……」

 

 どう考えても無理だった。だって僕は蝉が理由で部活を選んだり部活を諦めたりするくらいの、生粋の蝉嫌いなのだ。宝物たちも返してほしいが、条件が厳し過ぎる。


「私が、サポートする。それでも無理? ねえ、無理?」


 やけにしつこい。顔が近い。第一、蝉が一体どうしたというのだ。僕が蝉を好きだろうが嫌いだろうがこいつには何の関係もなさそうなものだが。


「無理なもんは無理。ていうかずーっと思ってたんだけど」

 

 顔をぐいっと近づけてみる。鼻が当たりそうな程に、距離が縮まる。彼女の瞳の中に、僕の影が見えた。


「お前、一体何者?」

「…………えーっと。あの……その」

 

 さっきまで強気だったくせに、女の子はとたんにしどろもどろになってしまった。


「せ、蝉でーす!」


 今思いつきました感丸出しで、彼女は言い切った。


「………………嘘だろ」

「嘘じゃ、ないミン」

「語尾、わざとらしいぞ」

「そんなことないミン。わたしは蝉だミン。本当は蝉なんだけど、人間とお喋り出来るように特殊能力で擬人化されてるだけだミン」


 あくまでも蝉で通すつもりらしかった。なにがミンだ。ふざけてる。


「ほんとだミン」

「じゃあ、鳴いてみろよ」

「みーんみんみんみんみんうえあー」

 

 ほう。なかなか上手いじゃないか。

 

「蝉であることを、信じていただけたでミンか?」


 上目遣いに僕を見る。その顔がなかなか可愛らしかったので、思わず僕は見とれてしまった。


「ど、どうでミンか?」

 

 無言のまま呆けている僕を見て不安になったのか、彼女は泣きだしそうな顔になりながら僕の言葉を待っている。どうですもこうですも無いだろうと思ったが、その顔を見ていたら、しばらく話を合わせてやってもいいか、という気分になってきた。


「ああ、信じざるを得ないな」

「そうでミンか」

 

 嬉しげに蝉は頷き、座ったままベッドの上でバウンドした。蝉が跳ねるのと共にその見事なバストもぷるるんと躍動感豊かに上下したので、内心おお、と感激したが、悟られないよう無表情を貫いた。


「でも、お前が蝉だってことなら、一刻も早くこの部屋から出ていってもらいたいもんだな」

「え?」


 女の子は顔をこわばらせる。どうもまずいことになったと思ったらしい。そしてしばらく考えてから、申し訳なさそうに切り出した。


「さっきのは、違ったミン。元は蝉だけど人間の姿になった、わけじゃなくってその逆だったミン。蝉はみんな、本来わたしのように人間の姿なのですミン。そのへんを飛んでいる蝉の姿の方が、仮の姿なんだミン」

「……へえ?」

 

 とりあえず返事を返したものの、一体なにがしたいのか訳が分からない。ていうかややこしい。


「実は私のような美少女が、蝉の正体だったんだミン。だから蝉は怖くないでミンだし、わたしはここにいてもいいですミン。分かっていただけたでミンか? これなら安心でミンね?」

「僕は蝉も怖いけど、お前も怖いぞ」

「…………え?」

 

 蝉の顔が、凍りついた。


「なぜでミン」

「当たり前だろ。蝉の抜け殻の中から出てきたエクトプラズムが変形してお前になっていく過程を、僕はこの目で見たんだからな。そんなおばけみたいな奴が怖くないわけあるか」

「そうで……ミンか。そうでミンよね。うん、うん」

 

 寂しげに、蝉は俯く。


「うん。だから、もう帰ってほしいと思ってる。夢なら覚めてほしいと思ってる」

「うぇ……。でも、そういうわけには、いかないミン」

 

 固い決意の表情を見せる、蝉。


「私はコタの蝉嫌いを直すために、ここに来たでミン。だからその目的を達成するまではここにいるでミン」

「迷惑なんですけど」

「このイチゴちゃんのゴム、返して欲しくないんでミンか?」

「…………」

「このシュシュも! この紺色のゴムも! カチューシャも! 星のも!」

「…………」

「いらないなら早速トイレに流してくるでミン」

 

 蝉は箱を持ってベッドからパフン、と床に着地する。


「まてまて! 分かったよ! 直すように努力するって」

 焦る僕を見て蝉は意地悪く笑った。

「やっとやる気になったでミンか」


 


 それから蝉は、まずは蝉嫌いを直すために蝉という生き物についてよくよく学んでもらいたいと言いだし、講義を開始した。


 蝉の種類とそれぞれの住む地域、大きさの違い、色や模様の違い、鳴き声の違い、出現するシーズンの違い。


 さらに、蝉は食用にもなり、中国では煮物、揚げ物、炒め物などにして食べられていること、薬効があることも教えられた。蝉味噌という料理もあるらしい。特に知りたくは無かったが。


 さらに講義は続く。今度は、文化における蝉。蝉は季節を感じさせるものとして、俳句にもたくさん用いられてきたこと、ドラマやアニメでもその鳴き声が効果的に使われていること、童話「アリとキリギリス」は、原作では「アリとセミ」であったことなど……。


 そうして蝉の講義開始から二時間もたった頃……。さすがに僕も、我慢ができなくなってきた。


 蝉蝉蝉蝉って、なんで蝉嫌いの僕が蝉の話ばかりされて蝉で頭をいっぱいにしなくちゃならないのだ。むしろそれまでより増して、蝉が嫌いになった気がする。


「なあ、そろそろ休憩にしてくれないか。朝からまだ何も飲まず食わずなんだ」

「あ、そうだったの。じゃあ、一端休憩にしてあげる」

 

 そう言って蝉は、カーペットの上にペタリと座り込んで、テーブルに肘をついた。蝉は蝉で頑張り過ぎて疲れていたみたいだった。

 

「お前にも何か持ってきてやるよ。冷たい麦茶とシュガートーストでいい?」

「うん、ありがとー」

 

 既に、語尾にミンがつく設定はすっかり忘れ去られてしまっているようだった。


「あい、あい」

 

 部屋を出て、台所へと向かう。

 

 ふぅ、と長めに息を吐いて伸びをする。ああ喉が渇いた。早く麦茶が飲みたい。全く蝉のやつはスパルタなんだから。

 

 しかしあいつ、本当に何なのだろう。順応性に優れているのか、ただただ脳味噌が怠惰な故なのか、僕は既にあの得体の知れぬ、どこの馬の骨ともわからぬ女とお友達同士みたいになってしまっている。それでいいのだろうか?

 

 でも、実際いるのだから仕方がない。そして大事な宝箱を奪われてしまったのだから仕方がない。

 

 どうせ僕が麦茶とトーストを持って二階に上がっても、あいつはまだいるだろう。そして食事が終わったら、講義再開だ。そのくらい当然のようにあいつは確かに存在しているのだ。

 

 で、トーストを温めて、マーガリンを塗って、ざらめを振りかけていたら、ふと我に返った。

 

 ――えっ。何これ、夢じゃないの? あいつ本当に存在してるの?



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