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金太郎物語 〜出世したら上司が⚫⚫でした。〜

金太郎さんのお話です。

銀太郎さんだったら天然パーマで死んだ魚のような目の主人公になっちゃう所でしたね!

昔、昔、足柄山(あしがらやま)元服(げんぷく)(ひか)えた一人の男の子が住んでいました。


彼の名は金太郎。彼はとても出世欲が強く、常々「いつか偉いサムライになってお金稼いでハーレム作るんだー!」と周りの人に宣言していた程です。


もちろん、口だけでは出世出来ないので、小さい頃から鍛錬(たんれん)をしています。


「1498…1499…1500…っよし!腕立て3セット目終了!次は岩を(かつ)いでスクワット1000回でもしようか!」


…すごく鍛錬してますね。


「うほっ!うほうほっ!」


と、そこにゴリラが乱入してきました。


「ん?あぁ、お前か。もうそんな時間か」


知り合い(?)の様ですね。


「じゃあいつもの相撲(すもう)でもとるか!」


「うほっ!」


そう言って握力500kg、パンチ力2トンのゴリラ相手に相撲をとる金太郎…


いつもの様に片手で軽く(ひね)るとゴリラが吹き飛ばされていきます。


「相変わらずお前は弱いなぁ。ちゃんとメシ食ってるのか?」


「うほー」


そう言う問題ではないのですが、ゴリラさんはしょんぼりしてます。


「まぁそれでもお前はこの山の(ヌシ)のクマを倒したし、素質はあると思うぞ!」


しょんぼりしたゴリラさんを(なぐさ)める金太郎は続けてこう言います。


「そうだ!また馬に乗る練習させてくれよ!」


「うほっ!」


そう言ってゴリラは金太郎に背を向けてしゃがみます。

そこに金太郎がゴリラの背に乗り、乗馬の稽古(けいこ)を始めました。


「ありがとな!お前に乗る事で馬にも乗れる様になるだろ!」


…多分ムリだと思います。


「そう言えば、サムライってどうやれば()れるんだろう?お前なんか知ってる?」


「うほ?うほー……うほうほ…」


「そうかー、分からないかー」


「うほっ!うほうほ、うほっうほ!」


「なるほど!それ良い考えだな!戦している所に乱入してどちらかを滅ぼせば、残った方に(やと)って貰えるのか!」


「うほ!」


まさかのゴリラ参謀(さんぼう)です。


そもそも弓矢や槍で入り乱れている戦に突っ込むのは自殺する様なものなので、良い子は真似しないで下さいね!


「うほっ!うほうほ!」


「分かったぜ!俺様の金太郎トマホークで(よろい)ごと切り()けば良いんだな!」


「うほー!」


金太郎は(まさかり)を担いでいるイメージなんですが、何故か投擲(とうてき)用の(おの)を持ってる様です。


「そうと決まれば、トマホークブーメランの威力を上げないといけないな!」


そう言ってゴリラに乗ったまま投擲(とうてき)の練習を始めました。




1回の投擲で直径5mくらいの岩を2~3個切り裂けるくらいになった頃、一人の男が金太郎の前に現れます。


「そこのゴリラに乗った少年!先ほどの投擲の練習をしばらく見せてもらいました。少し話がしたいのですが良いでしょうか?」


金太郎が振り向くと、そこには線の細い(はかな)げな美少年、少し悪い言い方をすると病弱そうな美少年が立っていました。


「何者だ?」


「私は『源頼光(みなもとのらいこう)』と言う者です。訳あって腕の立つ家臣(かしん)を探しています」


儚げな美少年は、なんと源頼光という源氏のサムライでした。


「家臣?(みなもと)?お前は偉いサムライか?」


何も知らない金太郎はちょっと…いえ、かなり失礼な言葉遣いで確認をしています。


そんな金太郎に対して怒ることなく、


「まぁ清和(せいわ)源氏(げんじ)(つら)なるサムライなので、少しは(くらい)が高いと思いますよ?今を時めく藤原道長(ふじわらのみちなが)公に(つか)えるサムライですし」


と、儚げに微笑みながら返しました。


「俺は金太郎!お前の部下になれば偉いサムライになれるのか?」


全く遠慮(えんりょ)のない言葉遣いですが、金太郎も少しは頼光が『コイツ偉いのかな?』と信じはじめているようです。


「それはあなたの活躍(かつやく)次第(しだい)です。ですが、今のあなたの力を見ると、間違いなく立派なサムライになれるでしょう!」


「ふむ…戦場に乱入するよりは確実かな?」


「うほ。うほうほ!」


参謀(ゴリラ)と相談している様です。

このゴリラさん、一体何者なんでしょうか?


「うほっ!うほーうほ!」


「分かった!ありがとうゴリラ!」


どうやら結論が出た様です。


「頼光と言ったか?アンタの部下になる!俺は何をすれば良いんだ?」


「そうですね。私と一緒に酒呑童子(しゅてんどうじ)と言う鬼を退治して欲しいのです!他にも仲間がいますが、今は酒呑童子の動向を探るべく、酒呑童子の傍に隠れています」


「鬼退治か…かなりの強さだろう…楽しみだな…」


鬼と聞いて、金太郎はニヤリと笑いました。

逆に参謀(ゴリラ)は鬼と聞いてプルプルと震えている様です。


「うほ…!」


「そうか!お前も楽しみか!」


「うほ!」


あ…武者震(むしゃぶる)いの方でした。

どれだけ好戦的なゴリラさんなんでしょう…


「では私の部下になるので、相応しい名前をつけましょう!『坂田(さかたの)金時(きんとき)』でどうでしょう?」


その名前を聞いた時、金太郎は何とも言えない顔をしました。


「坂田金時か…なぜか金髪ストレートヘアなイケメンをイメージしてしまうが…、まぁ良いか!」


「うほっ!」


「ありがとうゴリさん!カッコイイって言ってくれて!じゃあ坂田金時にするぜ!」


参謀(ゴリラ)に説得されて納得したようですね。


「じゃああんたが今から俺の大将だ!よろしく頼む!」


金太郎は全然敬語が使えないようです。




****




金太郎は頼光の配下になり、一同は大江山(おおえやま)に到着しました。


「ここに酒呑童子がいます。まずは私の仲間たちを紹介しましょう」


そう言うと、3人の男達が現れました。


(それがし)渡邉綱(わたなべのつな)と申す。(それがし)の武器は髭切(ひげきり)という刀で、接近戦を得意としておる」


まず、ワイルド系な男が名乗りました。

その風格たるや歴戦の戦士のようです。


拙者(せっしゃ)碓井貞光(うすいさだみつ)と申す。武器は大鎌。鬼の首を刈り取ってやろう」


次に名乗りを上げたのは長身の男でした。

背中に熊の首も刈れそうなほどの大鎌を背負っており、渡邉綱のような歴戦の戦士風ではなく、どこか目の奥に(くら)い光を宿す男です。

(※本来は碓井(うすい)さんが足柄山(あしがらやま)で金太郎を見出して頼光の元に連れて行くそうですが、ウチの金太郎は頼光本人でなければついて行きそうになかったので、役割を変更しています)


「僕の名前は卜部季武(うらべのすえたけ)だよー。僕は弓使いだから、援護(えんご)と遠距離攻撃は任せてね!」


最後に可愛らしいショタっ子が自己紹介をします。

うん!可愛い!


「俺は坂田金時!ゴリさんと一緒にトマホークブーメランの練習をしているところで、大将にスカウトされた!鬼退治楽しみ!」


「うほ!うほうほうほほ!」


「はははっ!流石ゴリさん!ウェットに()んだジョークを織り交ぜながらの自己紹介!さすがだぜ!」


『『『なんて言ったの!?』』』


3人は心の中でツッコミを入れました。

ちなみに、頼光は金太郎とゴリラのやり取りに慣れて、もう何でもいいやと思っている様です。




自己紹介も無事?終わったところで頼光が話し始めます。


「君たちは私の部下でちょうど4人いますし、頼光四天王(らいこうしてんのう)と呼ばせていただきます」


「おぉ!なんかカッコイイ!」


金太郎は気に入った様です。


「この山のどこかに酒呑童子が住んでいると聞いています。私たちはその鬼を退治し、人々の平安を守らなければなりません。交代で見張りを立てながら探して行きましょう!」


と、その時。


「あ!」


金太郎が何かを発見したようです。


「どうしたんですか?」


「ここから3里(約12km)離れたところに鬼のような人影がいる!」


「いやいや、3里離れているのに見える訳ないじゃないですか…」


頼光は呆れたように金太郎を見ます。

すると金太郎はトマホークを大きく振りかぶって投げました。


「トマホォォゥク・ブゥゥゥメラァァン!」


金太郎から放たれたトマホークは一直線に飛んでいき、着弾(ちゃくだん)と同時に激しい爆音が響きました。


ドーン!(ギャーっ!)


ん?悲鳴っぽい声も聞こえた様な…?


「あ、当たった」


金太郎は平常運転です。


ザワつく頼光と金太郎を除く頼光四天王。

当たった発言にも驚いているのですが、その前に斧を投げて3里先まで飛ばす事、着弾すると爆音が響く事、まず普通では想像も出来ないでしょう。

なのに、何事も無かったかの様に平然としている金太郎にドン引きです。


「大将!何でポカーンとしてるんだ?鬼に当たったから、見に行こうぜ!」


「え、えぇ…そうですね…」





金太郎達は大きくクレーターの出来ている所に到着すると、一人の鬼が倒れていました。


「え…ホントに鬼がいますね…」


「そりゃトマホーク当てたんだからいるだろ?」


「うほうほ」


金太郎と参謀(ゴリラ)は当然だとばかりに(うなず)いています。


「何はともあれ、この鬼が酒呑童子でしょうか?」


鬼を良く観察すると、切れ長の目にすっと整った鼻筋。

薄めの唇にキリッとした眉毛。

それらが綺麗に整っており、身体も細く引き締まった細マッチョと言う体型です。


『ゴクリ…』


頼光から(つば)を飲む音が聞こえました。


「コレは中々…」


…あれ?頼光はちょっぴり顔が赤くなっている様な…?


「「「あー、コレは()れたな…」」」


頼光四天王(金太郎を除く)は何やら察した様です。


「ん?大将はどうしたんだ?」


「うほ?」


金太郎と参謀(ゴリラ)は良く分かっていないので、渡辺綱を見ています。


「あぁ、頼光の大将はゲイでな、細マッチョがタイプなんだ」


「え゛!?ウチの大将ゲイなの?俺のお尻大丈夫なのか!?」


何故か金太郎は自分のお尻を心配しています。


「ん?何でお主の尻の心配をしておるのだ?大将はゲイだが男なら誰でも良い訳ではないぞ?大将にも好みがある」


「あー、確かにな!」


「それに、大将は受け専門だ。男の尻に興味はない」


「…」


まぁ良く考えるとゲイの人も好みはありますし、受けの人は相手のお尻よりも前の方に興味がありますしね。


「う…うーん…」


あ、そうこうしていると鬼が目を覚ましそうですね。


「…はっ!斧が飛んで来て爆発した!?」


…何やらテンプレな目覚めですね。


「貴様達は何者だ!?と言うよりも、あの斧は一体?うぅぅ…頭が痛い…」


鬼はそう言うとガタガタと震えて、恐怖に包まれている様です。

さもありません。


「私は源頼光。あなたは酒呑童子で良いのか?」


頼光が鬼に話しかけます。


「あぁ、私が酒呑童子だ。お…お前が…お…斧を…?」ガクガクブルブル…


「いや、私ではなく、この坂田金時と言う男が…「ヒィィ!」…すみません」


金太郎を見て(おび)える鬼を若干…いえ、かなり可哀想に思いつつ、頼光は続けます。


「ウチの部下がすみません。あなたに聞きたいことがあります」


「なんだ?オレに何を…おい!お前は近づくなよ!…すまん、何を聞きたいんだ?」


鬼は金太郎を異常に気にしつつ、話を聞きます。


「あなたは……恋人やパートナーはいますか?」


「は?え?ん?あの…よく分からないんだが…」


鬼は想像していた質問が来なかったので、戸惑ってます。

しかし、頼光は気にしません。


「あ、好きなタイプってどんな人ですか?同性に興味あったりは?趣味ってなんですか?あ、LINE交換しません?」


「え?あ…???一応、恋人はいないし独身。タイプは儚げな雰囲気の人で、オレはバイセクシュアル。趣味は風呂上がりの一杯を飲む事。LINEはしてない。と言うか、そもそもスマホ持ってないから…」


「へぇーそうなんですね!あ、私もお風呂上がりにお酒を飲むの好きなんですよー!良いですよねー。今度一緒に飲みに行きませんか?」


…かなり積極的な頼光さんです。


「あれ?鬼退治は良いのか?」


「うほ」


さすがの金太郎さんも困惑を隠せない様です。


「某にはよく分からぬが…まぁ大将が楽しそうなので良いのではないだろうか?」


渡辺綱さんはもう成り行きに任せる事にしたようです。


「ふむ、まぁ俺としてはどちらでも良いか!」


「うほっ!」


そんな綱さんを見て、金太郎は何やら勝手に納得した様です。

ちなみに、頼光はと言うと…


「あ、酒呑童子だから酒呑くんって呼んで良いですか?ウチに遊びに来ませんか?」


「そうなんですよ!中々良いお酒が手に入りましてね」


「そうそう!今度ウチで利き酒大会をする予定でして…」


「ええ。梅酒は自宅でつける派です。あ、どうです?中々美味しく作れたんですよー」



……


その後のお話を少ししましょう。


結局、頼光の押しの強さに負け、酒呑童子は頼光と恋人同士になりました。


酒呑童子も悪さを辞め、人々が安心して暮らせるように成りました。


また、頼光と頼光四天王はその後も様々な妖怪を退治します。


そこには頼光と非常に仲の良い鬼の姿もあったと言われております。


その功績が認められた頼光と頼光四天王は一躍有名になりました。


人気者になって女性ファンに囲まれる事も増えた金太郎は、偉いサムライになってハーレムを作ると言う夢を叶える事が出来たのでした。


めでたし、めでたしうほ!

サブタイトルの『上司が⚫⚫だった』の⚫⚫はゲイまたは受けです。


あと、この話で伝えたい大切な事。

それは『ゲイの方が好きでもない男の尻なんて狙いません!』と、

『ゲイだからと言って攻めとは限らない。受け専もいるよ!』と言う事ですね!


コレで皆さんも色んなカップリングを想像出来る下地が出来ましたね!(悪い笑顔)

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