人生の底辺
俺、椎木蓮夜は人生のどん底のちょっと上くらいにいる。その理由は至ってシンプル、いじめられているのだ。だが、いじめくらいで人生のどん底付近なんてお豆腐メンタルかと思うかもしれないが、まだほかにも理由がある。まあそれがきっかけでいじめられているのだが。
俺は幼馴染である工藤楓に恋をしていた。彼女は頭脳明晰で成績もよく性格もいい運動は少し苦手だったがそこがギャップ萌えだとかとか言って男子にはすごい人気だった。だが、高嶺の花だと誰も告白はしなかった。俺だけどね。だが心の中では幼馴染だから俺が一番有利だと思っていた。必ず楓は俺に振り向いてもらえると、そう勘違いしていた。だからあの日も楓を一緒に帰ろうと誘いにいくところだった。
「楓、一緒にかえ」
「好きです。付き合ってください!!」
俺の声にかぶせるようにしてその声は教室中に広がる。その声を発したのは、海崎洸太だった。彼は楓と同じく成績優秀せ、性格もいい、顔はモデル並みにイケメンで運動もできる。女子から見たら白馬に乗った王子様だろう。そんな奴に告白されたら誰だってOKしてしまうだろう。彼女も例外ではなかった。
「はい、喜んで!!」と嬉しそうな顔で答えていた。こんなうれしそうな顔今まで見たことがないってくらいに嬉しそうだった。
俺は絶望した。ずっと好きだった女がほかの男とくっついたのだ。心の中で何かが崩れ去っていくような感じがした。頭の中が真っ白になって気付くと声が出ていた。
「なんで…なんでそんな奴と…」
かなり大きな声で言ってしまっていたのだろう。野次馬全体がこっちを見ていて楓は俺を睨んで言った。
「そんな奴って誰の事?」
楓の声には怒気が含まれている。そりゃ怒って当然だ。今さっき付き合い始めたばっかりの彼氏をそんな奴呼ばわりされたら誰でも起こるだろう。その声に怯んで弱弱しい声で
「いや…その…」
と何も弁解できなかった。結局怯んだまま、何も言い返せないでいると、野次馬のどこかから声が発せられた。
「こいつ、楓ちゃんのことが好きなんじゃない?」
そのピンポイントな答えに驚き顔が少し赤くなる。
「やっぱそうじゃん、うっわキモ」
「お前みたいなのが釣り合うわけないだろ」
「モブの分際ででしゃばるなよ」
黙れ、お前らもモブだろうがと思ったが俺への罵声は止まず、楓は憐れんだ目で俺を見ている。洸太は止めようとしているが止まらすさらに悪化していくだけだった。
そこで我慢ならなかったのか、洸太が声を荒らげて言った。
「彼は好きだった人を取られたんだよ、ちょっとくらい考えてあげてもいいんじゃない?」
いや、お前自分でそれ言うか?と思ったが洸太には何の悪気もなく言っているようでさらに敗北感を感じた。そこで涙がこらえきれなくなりそうになったので、教室からダッシュで逃げた。そのままどこに寄ることもなく家に速攻で帰宅し、部屋に閉じこもった。
次の朝携帯を確認してみるとおびただしい数のメールが届いていたもちろんすべて悪口。朝から学校に行く気がなくなり閉じこもっていると母親から発せられる咆哮のせいで一喝入れら結局入れら、学校、学校に行かなければならなくなった。
いつにもなく重い足取りで下駄箱に向かうと案の定、靴がなくなっており仕方なく来客用のスリッパを履き教室に向かった。教室に入ると周りがざわざわと騒ぎ出し中にはクスクスと笑っている奴も何人かいた。
腹立たしくは思はなかった。いじめを受けている側がこんな感じなんだ、自殺もしたくなるわなと思っていた。机の上には花瓶が置いてあり、それをどけるのですら面倒くさかった。何のやる気も感じず、ただただ呆然としているだけ、そんな表情をしていると、性格の悪さで有名な佐名木恭介が俺の前に来た。
「残念だったねー、幼馴染取られちゃって」
微塵も思ってないことを言うようをな口調で話しかけてきた。
「そんなこと思ってないだろ?」
すこし怒った口調で言うと
「心外だなー、ちゃんと思ってるよ。君の大好きな幼馴染がとられちゃってかわいそ」
全部言い切らせる前に、俺の体は動いていた。全身の体重が乗った右ストレートでぶん殴ろうとしたが難無く躱されてしまった。
「うわーサイテー、みんな―こいつ僕に殴りかかってきたんだけどー」
そのおどけた口調で放った言葉は教室にいた全員に俺の事を人間のクズだと思わせるのには十分だった。
全員から罵声を受けて人生に絶望していたところちょうどその時だった。
教室全体がキラキラと光る魔方陣に囲まれた。そこにいた生徒達はパニックになり叫びだす生徒もいたその中で洸太だけが冷静で
「みんな落ち着いて、騒がないで」
と必死に訴えかけていたがその言葉を聞く者はおらず、やがて魔方陣は消えた。生徒達とともに。
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