第9狩.一方通行?or加速者?
切り裂きジャックは確か令子と契約を結んだ死人だ。何で自分で意識を持ってるんだ?そう考えていたら思い出した。ああ、俺が来たからか…と。
「え、何であんた自分の意思を持ってるの?」
そんな風に戸惑いながら聞く令子に《アクセラレータ》が答えた。
「さぁ?なんか大きな力で呼び起こされたんだよ。」
どうやら《アクセラレータ》まだそれが何かを知らない。まぁ無理は無いか、いつもそれを知るのは中盤ら辺だ。今はまだ準備運動の線にしか経ってないから。
「まぁその話は置いといてお前名前は?」
俺がそう聞くと《アクセラレータ》は悩んでこう言った。
「俺は生まれた時に誘拐されて切り裂きジャックになる為に殺しのトレーニングばっかりされたからコードネームが俺の名前だった。だから名前は無い。」
そう言うと令子が閃いたかのように指を立てて言った。
「そうだ!じゃあ私達が名前をつけようよ!」
俺は同意して「そうだなぁ」と考えると。
「じゃあエリザベスってどう?」
すると令子は「は?」と言ってくるが『アクセラレータ》は「え?」とびっくりした様にこちらを見る。
「だってお前女だろ。」
そう言うと令子はびっくりして《アクセラレータ》を見た。
「何で知ってるの?」
そう聞く《アクセラレータ》に俺は正直に答えた。
「さっき吹っ飛ばされて来た時に、胸の辺りがちょっと柔らかかったから。」
令子は「信じられない、やっぱり変態じゃん」と言うのに対し俺は。
「いや違う!たまたま手が当たったんだよ!」
そんな風に言い訳した俺は実際女だって知ってわざと触ったなんて絶対口が裂けても言えない。
すると《アクセラレータ》はマスクを外して絹帽子もとった。すると帽子に隠された金色でストレートな髪は腰まで届き、マスクを外すとその下には青い瞳に艶のある肌それにピンク色の唇。
「いや〜びっくりだわ。まさか女だってバレたの初めてだよ?」
これが彼女の本来の声なんだろう思った。さっきまでは女だってバレさせない為わざと低くしていたがバレた後は高い地声に変わった。
「ま、いいよエリザベスで。気に入った!」そう言いながらニコっと笑って来た。
やっぱりマスクを外すと可愛いなと思ったのはこれで何度目だろう。
「じゃあ宜しくね、エリザベス!」
そう言いながら令子は手を差し出しエリザベスはその手を握り返して「うん!」と答えた。
何度目だろう?こんな場面を見たのは…だがこれから気を付けなければならないと心の中で決意した。
「これも何度目の決意だ?」
そう言うと令子とエリザベスが顔を覗き込んで来た。
「何ニヤニヤしてんの?」
令子がそう聞くとエリザベスはこう言った。
「きっと『俺のハーレムは今始まったばっかなんだ!』とか思ってんじゃ無いの?」
「違ぇよ!」
俺がそう返すとエリザベスが聞く。
「ねぇあなたのその仮面っていつも付けてるの?」
俺は「そうだが」と答えると今度は令子が「なんで?」と聞いて来た。
「え、超不細工だから取ると誰も近寄らない。」
すると令子とエリザベスは顔を見合わせてニヤリと笑った。
「「それでも私達は仲間だから受け入れるわ、見せなさい!」」
「おい、何する気だ!やめろッ、絶対顔見せないんだからな!」
俺はそう言うと走ってその場を逃げ出した。
と思ったが2人は二手に分かれて追ってくる。左右について飛び移ろうとした時、俺は急ブレーキをかけたかの様に止まった。
そしたら令子とエリザベスは互いに額と額をぶつけた。ごつんっと鈍い音がした。




