第4狩.スパークを浴びさせる腕輪
さっきの放送で俺は所長室に来た。すると隣にはさっき俺と一緒に呼ばれた倉梨令子と思われる女が立っていた。
綺麗だ。真っ黒なロングストレートに鼠色のタンクトップ、右足から先が引き裂かれたかの様なジーンズの左膝は破けていた。腰には水色のパーカーの両腕を結んでいる。
するとこちらの視線に気づいたのか「なに?」と聞いて来た。いや別に気がある訳じゃ無いから心配しないで。
「いや、別に。」
「そう」彼女はそう言って腰のパーカーを解き今度はそれを着た。着るんなら何で腰に巻いてたんだよ、オシャレか?いやそんな事しても可愛く無いぞお前。
とそんな事を考えていたら所長が入って来た。
所長は水たまりのワンピースに白衣を来てハイヒールでコツコツと鳴らしながら椅子に腰をかけると笑いながら言って来た。
「令子ちゃんに洸哉くん、君達2人は初対面だったね。紹介しよう。こちらは倉梨令子、君と同じ17歳。暗号名は屍体収集家、能力は生物の骨を集めそれを組み合わせて自作の怪物を作れる。」
すると令子は頭を下げて「どうも」と言い自分も無意識に頭を下げる。
「こっちは刈田洸哉くん。暗号名は創生者、能力は精神力が尽きるまで自在に何かを作れてそれを操縦や自分で動かせる。」
「え?」
思わず声を漏らした令子はギョッとこちらを見る。すると所長はフンッと鼻から息を出し自慢気に…
「そう、やっと我らにも階級10の能力者が来たのだ!」
そう言って子供の様にはしゃいでいる所長とは他に令子は疑いの目を向けて疑っている。
いやそもそもそ創生者って何?何その痛いコードネームは!俺は何かを作るより破壊する方が好き…って言うか得意んですけど。
そう困惑しているの俺を置いて、所長は洸哉と令子の間に立った。
「2人とも手を出しなさい!」
言われるがままに2人は手を出すとガチャンと音を立て腕輪を掛けられた。
「あの?これはまさか…」
令子はオドオドして聞くと所長はニヤニヤして言った。
「そう、あれだよ。あれ!」
「え…アレって何?時限爆弾?」
「物騒なこと言わないでくれ洸哉くん、これは同じ色の腕輪の人から1Mでも離れると同じ色の人達には電気がビリビリ走る。」
俺は恐る恐る聞くと所長はニコッと笑ってこう言う。
「任務の為だ、仕方ない…」
「収集家拳!」
令子の放った拳を所長は簡単に避けた。
「今すぐ外して下さい。さも無いと聖なるグーを食らわせますよ!」
「聖なるグー?いや、君の場合は邪悪のグーだろッ」
そう言い令子を馬鹿にする所長は洸哉と令子の手を掴んだ。そして思いっきりそれぞれの手を反対側に投げ出した。
すると2人の身体に腕輪からスパークが走った。腕輪から出てる様だ。
「何するんですか所長ぉぉぉぉぉぉぉぉッ⁉︎」
そう言いながら体をピクピクさせながらスパークを浴びている令子は無理やり右手を洸哉の左腕近くへと持って行った所でやっとスパークが止まった。
「2人にはある仕事を頼みたい。」
***
俺は揺れる車の中にいた。何だこれは、1Mつっても近過ぎすぎだろ。
自分のすぐ隣にピタリと張り付いている彼女を見た。少し離れてみようとすると…
「…何しようとした?」
そう言いながらキッと睨んでくる彼女に…
「いや、近過ぎかなって…」
「私もあなたに近づきたく無いけど1M以上離れると走るあのビリビリは凄く痛いから私も我慢してる。だからあなたも我慢しなさい。」
何それ。つまり本当はくっつきたく無いけどビリビリが怖いからしょうがなくくっついてるのか?
「変なことするんじゃ無いわよ、変態!」
ぶっ殺してやろうか⁉︎そう心で思ったが心にしまった。
「何で会ってから3時間で変態って決めつけられるんだよ!」
「だって私を見てニヤニヤしてるから。」
あ?自意識過剰じゃ無いのこの娘、自分にそんな魅力があると思ってんのか?今すぐにぶっ殺してやりたい…
「ニヤニヤしてるのは元からだし!」
そんな衝動を抑えた。




