第3狩.食人鬼
『目の前にはステーキがある。どうやら人肉で出来ている。いや、人の肉だ。仕事をクビにされて、もう何を食えば良いのかを悩んでいた所、ある男に食屍鬼にならないかと聞かれた。そしてまずはある緑色の水を飲めと言われた。実に見ているだけで今朝から何も食べて無いのに何かが逆戻りして口から出そうだ。』
『飲んだ。3日ほど悩んだが遂に意を決して飲んだ。想像以上に不味い。だがなんか眠くなった。よし、寝よう。』
『何だろう…さっきまで俺は何をしてたのかは覚えては無いが、人間を見ていると…涎を垂らした。これは決して可愛い子を見てオカズにしようという様な魂胆では無い。美味しいそう…』
『食った。俺人間を食っちゃったよ!めっちゃ美味しいッ!』
『何人もの人間を食ったんだろう。最初の娘はものすごく美味しかったがそれ以降の人間は美味しく無い…その後襲ったのは別にブサイクな女でも無ければ汗だくのおっさんでも無い。キモオタのデブでブサイクは不味い。汗だくのおっさんより不味い。』
『分かった!そう言えば最初の娘はマラソンをやっていたな!そうだ運動していれば美味しいだろうッ!』
『ほんとだ、運動を良くしていれば誰であろうと美味しい。うん決めた。アスリート選手を食おう。絶対美味しい。』
『うん、最初の娘程美味しい奴は居なかった。』
***
何だこのふざけた日記は。
そう心で思っていたがそれは失礼だと思い微笑んで返した。
「それで原田さんは食人鬼の能力を持つんですか。」
そう言って目の前の自分より20歳ぐらい年上の30代のサラリーマンがニヤニヤ笑いながら…
「でも今はもう人間を食べていないよ!」
いや今食って無くても昔は食人鬼と言うだけでも大問題…何で此奴は裁きを受けなかったのかと不思議に思う。
「頑張りましたね!」
そう言って心にも無い事を言った。
すると仕事の鐘が鳴った。
「刈田洸哉、倉梨令子、この放送を聞いたら所長室へと向かうように。」




