魔物の群れの原因を探して
魔物襲撃の翌日、俺達はシューリン国周辺をアルデと共に警戒していた。
あんな大規模な魔物の群れが現われたんだ、何処かに原因があるはず。
そう俺達は考え、その原因を探るために警戒をしている。
「・・・ここには変化はない」
「こっちもだ」
しかし、周辺に特に怪しい物は無かった、と言うかあの魔物がいきなり現われたとしか考えられない。
でも、そんな事があり得るのか? 何の予兆もなくあれほどの魔物が出てくるなんて。
そんなの対策しようもないじゃないか。
{麻依、お前は何か気になったりはしなかったか?}
{別にないかな・・・ん? いや、ちょっと待ってよ、最初の馬車が襲われた場所}
{そこがどうしたんだ?}
{言ってたじゃん、こんな場所で襲われるわけがないって、もしかして、あそこに何かあるんじゃ!}
{そうかもしれないな!}
「どうした? 考え事か?」
「あぁ、前、俺がお前達に会ったときに襲われてた場所!」
「確かに可能性はあるかもしれない、探してみよう!」
そして、俺達はその馬車が襲われた場所にやってきた。
その周囲にはやはり変化はないが、少し違和感を感じた。
「私はここら辺を探す、浩助は別の場所を探してくれ」
「分った」
俺が違和感を感じた場所、それは俺と麻依が呼ばれたあの場所だった。
俺はその召喚された場所に走って行き、周囲を探してみた。
{ここって、私と君が呼ばれた場所?}
「あぁ、少し違和感を感じて」
{そうかな? 私には分らないかも}
「ぎゃがぁ!」
周囲を探していると、後方から魔物の声が聞えてきた。
やっぱりここには何かがあるんだな。
「この!」
「ぎゃぁ・・・」
{魔物だね、君が言ってたとおり、ここには何かがあるのかも}
「あぁ、今ので確信した、でも、何処だ? 何処に原因がある?」
そして、周囲を再び探していると、頭の中で声が聞えた、麻依の声じゃない、別の声!
{うむ、やはりここじゃったな、ゆがんでおったのは}
{そうですね、やっぱり異世界人を間違って同じ場所に召喚したからでしょう」
{そうじゃな、やはり歪むか}
この会話から察するに、今回のあの大規模な魔物の騒ぎの原因は俺達だな。
いや、正確には女神様がた何だが、俺達は巻き込まれた側だし。
{女神様! あなた達が原因!?}
{おぉ! 彰に麻依ではないか! 何故ここにおる!}
{あんときの騒ぎの原因を探りに来たんだよ!}
{そ、そうでしたか・・・あはは、すみません、原因は私達です}
{う、うむ、異世界人を同じ場所に召喚してしまったからな、そのせいでちょっと空間が歪んで}
{それであれだけの魔物が? 何で1夜で}
{偶然、その時間に魔物が生まれやすい条件だったんですよ、それで空間の歪みに影響されちゃって}
{それで前代未聞の魔物パレードが始まってしまったという訳じゃ}
あれはパレードなんて言う生やさしい規模じゃないだろう、死人が出たとかの話は聞かないが
それでも俺達がいなかったら2つの国が壊滅だっただろう、あれは。
{まぁ、そうじゃな、パレードなんて規模じゃなかったの、いやぁ、死人がでんで助かったのじゃ}
{あなた達に感謝しないといけませんね}
{聞えるのか? 話しかける風の意思を見せてなかったのに?}
{女神じゃからな、その気になれば聞けるわい、まぁ、普段は聞かんが}
{とにかくですね、これから2人で協力してこの歪みを治しますので、安心してください}
{俺はアルデに何て報告すれば良いんだよ!? 女神様が何とかしてくれるから大丈夫だ、か?}
{じゃあ、魔物を召喚する魔物を倒したから大丈夫じゃ、と言えば良かろう}
{そんな魔物いるのかよ!?}
{おるよな、確か}
{はい、いますね、ここら辺にはいませんけど}
{じゃから、それが偶然ここにおって、それをお主が倒したと言う事にせい}
{また強引な、でも、それしかないか}
仕方ないよな、ここは従うことにしよう、そうしないと説明できないし。
女神の話なんてしても、絶対に信じてくれないし、はぁ。
{それでは、俺は報告しに戻る}
{それでよい、あ、そうじゃ麻依、どうじゃ? その体には慣れたか?}
{もう慣れたよ、でも、速く元に戻りたいかな}
{そうじゃろうな、じゃから、妾達も頑張るから、そっちも頑張るのじゃよ}
{分ったよ、ドジ神様}
{妾はドジじゃないのじゃ!}
{そうですよ、この子は早とちりが酷いだけです}
{お主も貶すな!}
麻依の奴、結構根に持ってるのかもな、こんな体にされたうえに、大体幼神様のせいで
あの魔物パレードが開催されたからか。
{お主も心の中で妾を幼神などと呼ぶ出ない!}
{あ、ごめん、聞いてた?}
{聞いておったわ! ふん、とにかく! 頑張るのじゃよ!}
{それでは、またお会いしましょうね}
ふぅ、俺もアルデに報告しに行くか、それにしても、あの幼神様も反省はしているんだな。
そうじゃなければもっと食い付いてくるだろうし。
「どうだった?」
「あぁ、魔物を生む魔物がいてな、そいつが原因だろう」
「その魔物はどうなったんだ!?」
「俺が倒した、そこまで強くはなかったかな」
「そ、そうか、ありがたい、それじゃあ、原因も分ったし、そろそろシューリン国に戻ろう」
「あぁ、分った」
そして、俺達はシューリン国に戻る事にした。
リリーナとジョーンさんにはアルデが報告してくれるそうだ。
お前は魔物と戦って疲れただろうから私が報告しよう、と言ってな。
本当は戦ってないから疲れてはないんだがな、少し申し訳ない気持ちになった。