ちゃちゃっと街救い
シューリン国に来てる魔物の群れは何とか殲滅した。
後は街の方の魔物を殲滅するとしよう。
しかし、距離が結構あるから少し面倒かもしれない、と思っていたが
俺は全力で走ると、かなりのスピードだった。
{おぉ、速いね}
「俺は肉体的にかなり強化されているからか、まさかここまで早いなんて思わなかった」
{そうなんだ、でも、このお陰で間に合いそうだね}
「あぁ」
しかし、馬車では4時間くらいかかるのに、走ったら1時間もかからないってどういうことだろうな。
体力もあまり消耗していないし、便利な体だな。
よし、魔物の群れにまで来たぞ。
「おらぁ!」
俺は到着と同時に魔物に攻撃を叩き込んだ。
結果、魔物はすごい勢いで吹き飛び、仲間を巻き込み始めた。
「何だ!?」
「どっけ!」
奥の方に街の騎士がいる状態で魔法をぶっ放すわけにもいかず
まずは周囲の魔物を殴って撃破するしかない。
それも、正面に殴るとこれも騎士に被害が行く可能性があるから、魔物の群れを突っ切りながら
その左右の魔物を吹き飛ばす、そうしないと被害が酷くなるからな。
「だらぁ!」
{魔法が使えないと私は暇だね}
「魔法をぶっ放したら被害が広がるからな、我慢してくれ」
{分ってるよ}
範囲が広すぎるが故に魔法は撃てない。
一点集中をするとしても、それよりも殴る方が楽だしな。
「何だ、あれは・・・」
「魔物がもの凄い勢いで飛ばされている!」
「別の魔物か!?」
「違うぞ、人の声が聞える」
「じゃあ、人間だと!? あり得ないだろう!」
「もう、目の前まで!」
「だっしゃぁ!」
「うわぁ!」
ん、あぁ、騎士か、よし、ここまで来たか。
「ここまで来れたか」
{じゃあ、後方には魔法を撃っても大丈夫だね}
{そうだな}
「お、お前は一体何者だ!?」
「えっと、シューリン国の姫様の護衛兵?」
「シューリン国だと!? 馬鹿な! あの国にこんな奴が居るなど聞いていないぞ!?」
「まぁ、言ってないだろうしな、ここまで派手に見せたのも今回が初めてだし」
{じゃあ、ぶっ放すよ!}
{分った!}
俺は麻依の魔法を制御するために、手を前に出した。
{吹き飛べ!}
「おわ!」
魔法の反動は相当な物で、危うく吹き飛ばされるところだったぞ。
こんな破壊力の魔法を筋力が少ない魔法使いが撃てるのかよ。
そして、その超火力で魔物の群れは焼き払われた。
「な・・・馬鹿な・・・」
{麻依、少しは加減しろ}
{大丈夫、あの魔法はホーミングだから魔物しか狙わないよ}
{ホーミング? 超火力レーザーの間違いじゃないか?}
{あれはホーミングなの、ちょっと密集させすぎてレーザーに見えたかもしれないけどね}
{あぁ、そうかい、で、なんでさっきは撃たなかった?}
{消耗が激しいし、射程が短いから温存したくて撃たなかった、それに反動もすごいし}
{何だ、感じてたのか?}
{うん、あれは君の体の中にいないと撃てないね、私の肉体だったら反動で吹き飛んでるよ}
反動で吹き飛ぶね、確かに普通の人間があの反動を受けたら吹き飛びそうだよな。
と言うか、関節が外れるんじゃないか? 俺の体でも痛いし。
しかし、魔法使いってのは怖い物だね、あんな超火力の魔法を撃てるなんてな。
「ふぅ、それじゃあ、俺は帰る、じゃあな」
「ま、待て!」
兵士が何かを言いかけていたが、俺は全力疾走で帰って行った。
そして、ちょっと振り向くと、兵士全員がキョトンとした表情でこちらを見ていた。
いきなり現われて、いきなり魔物掃討して、嵐のように帰る、普通はあんな顔になるな。
「ふぅ、ただいま」
「・・・お、お前は・・・本当に何者なんだ?」
「ただの転移者? いや、2人で1人の転移者なんていないか」
「そもそも転移者って何だ? まぁ良い、今日は宴をするようだ、国が救われたからな、二重の意味で」
「そうか、そいつは騒がしいことになりそうだ」
「そうだろうな、さぁ、こい、今日はお前が主役だ!」
それにしても、普通は化け物並みの戦闘力を見せた奴を受け入れるかね。
いくら恩人だろうと、少しくらい恐怖しそうだよな、あの数の魔物を殆ど1人で殲滅したんだし。
でも、こいつらは一切恐れていない、と言うか、俺を殆ど疑っていない。
信頼されていると思えば良いが、もう少し警戒をするべきだよな。
でも、まぁ、これがこの国の国民性なのかもしれない。
{宴だって、きっとすごい豪華な料理が出てくるんだろうね}
{どうかな、財政難から抜け出してすぐだ、そこまで豪勢な物は出ないだろう}
{そうかもね、でも、楽しく食べられるならそれでいいや}
{そうだな}
俺の予想通り、この国の宴はそこまで豪勢な物は出て来なかった。
ロイドの豆くらいかな、でも、皆、嬉しそうに笑ったり、楽しそうに踊ったりしている。
それにジョージさんとリリーナの貴族2人も当然の様に混ざっている。
普通の貴族ならこんな宴には参加しないだろうに、でも、楽しいもんだな。
やっぱりこの国は面白い、この国を守れて良かったぜ、ま、これからも居座るがな。
せめて、この国が大きく、安定するまでは・・・それまでは協力しよう。
それがいつになるかは分らないがな。