2人の意思の確認
夢から覚めて、俺は麻依に1つ相談したいことがあった。
{なぁ、麻依、俺はこの国を救いたいんだが、お前はどうする? やっぱり錬金術の釜を探したいか?}
{確かに錬金術の釜を探したいよ、でも、それ以上に今はこの国を救いたい、君と同じでね}
{じゃあ、錬金の釜は後で良いか?}
{うん、後で良い、レシピもまだ無いしね}
うん、やっぱり麻依も同じ様な気持ちだったようだな、ありがたいな。
「あぁ、よく眠れたか?」
「あぁ、そりゃもうグッスリだ」
「そうか、それは良かった、まぁ、こっちに来てくれ、朝食が出来てる
あまり豪勢なもではないが、これ以上は難しいからな、私にも生活がある」
「あぁ、分かってる」
俺はアルデに言われ、この家のリビングに行った。
そこには確かにご飯が用意されていたが、白いご飯に赤い豆があった。
「この赤い豆は何だ?」
「ここの特産のロイドだ、あまり作れないが、美味しいんだよ」
「そうなのか・・・」
ロイドなんて言う食い物は初めてだ、そういえば今考えると飯は食ってなかった。
だったらこの異世界に来て初めての飯がこれか、美味しいと良いんだけどな。
俺は恐る恐るその豆を口に入れた。
「ん、これは美味いな」
「そうだろう? この村で一番美味しい豆だからな」
これは豆なのにまるで肉のような味がした、塩とかを掛けてはいないのに不思議だ。
歯ごたえはそこまで硬くは無く、仮にこれが肉だとしたら美味しい焼き加減だろう。
それが豆で味わえるんだ、これは普通にすごいな。
「この豆は何処で、どうやって作ってるんだ?」
「シューリン家の庭だな、そこでほんの少しだけ作ってる」
シューリン家の庭で作っているのか、一応確認したいが、無理だろうな。
そんな事を考えながらご飯を食べていると、アルデの家の扉が開いた。
「アルデ! 浩助! 大変! お父様が!」
「ん?」
「何かあったのか!? 今すぐ行く!」
アルデは素早く立ち上がり、すぐに鎧に着替えた。
「浩助も出来れば来て欲しい! お願い!」
「分かった!」
俺はリリーナに言われ、素早く準備を終わらせ、一緒に走った。
「それで、ジョーンさんに何があったの!?」
「分からない! でも何だかすごくしんどそう!」
「くぅ、分かった! 医者がいないとこう言う時に辛い!」
俺達は急いでシューリン家の中に入った。
そして、リリーナに案内され、彼女の父であるジョーンという人がいる場所に走った。
「ジョーン様! ご無事ですか!?」
「う・・・くぅ・・・」
「お父様!」
俺達は一緒にそのジョーンさんに近寄った。
結構辛そうだな、これは。
{・・・どんな感じ?}
「調べるか」
「へ?」
俺は2人をどかして、ジョーンさんを調べる事にした。
「ちょっと調べてみる」
「医術の心得があるのか?」
「少しな、一応どうしてかを調べることは出来るはずだ」
俺はジョーンさんの脈を調べてみた、彼の脈は正常だった。
{うん、異常は無いね、疲労かもしれない}
{それの可能性が高いな}
{じゃあ、少し試してみると、私は魔法が使えるんだよね? だったら回復魔法とか出来るかも}
{魔法の使い方を知ってるのか?}
{こういうのは何となくで出来るんじゃ無いの? えい、回復しろ!}
麻依が俺の中でそんな事を言うと、俺の手元が何だか暖かくなった。
そして、少しずつ光り始めた、これが回復魔法か?
「な、何!?」
「まぶしい!」
そして、その光が消えると、ジョーンさんの目が開いた。
「なんじゃ、何だか体が温かく・・・」
{やった! 出来た!}
{あんな感じで魔法って出せるんだな}
「お父様!」
ジョーンさんの意識が戻り、リリーナはジョーンさんに抱きついた。
「お父様! 良かった、良かったよぉ!」
「リリーナ、そんなに泣かんでも良かろう」
「ふぅ、無事で良かったな」
「浩助、何をしたのか分からないが、ジョーン様を助けてくれてありがとう」
「あぁ、気にするな」
{ま、俺じゃ無いけどな}
{今は君がやったって事にした方が良いよね、うん}
{自分の中にもう1人誰かがいて、そいつがやった何て言っても信じてくれないだろうからな}
{確かにね、でもその内言ってよ}
{分かってる}
今は麻依の事は黙っておこう、この事を言って、変に思われたら困るからな。
とりあえず、今は周りとの信頼関係を築かないといけないだろう。
「そこのあなたが助けてくださったのですね」
「はい、そうなりますね」
「どのようにお礼を申し上げて良いのか」
「お父様、どうせなら何かをあげようよ」
「確かにそうしたいのじゃが、うちには何も無いからの」
「うぅ、確かにそうだけどさ・・・」
リリーナは俺にお礼を渡したいみたいだな、でも、家には何も無い。
まぁ、貰わない方が良いだろう。
「いえ、お礼なんて良いですよ、出来ることをやっただけです」
「うー、でも・・・助けて貰ったのに何も渡さないなんて・・・」
「うーん、じゃあ、俺にこの国の手伝いをさせてください」
「手伝い? 良いの?」
「あぁ、良い案があるんだ」
「そうですか、それで良いのなら、喜んで申し出を受けましょう」
「ありがとうございます、では、この家の庭にあると言うロイドの木を見せてください」
「分かりました、リリーナ案内してやりなさい」
「うん! こっちだよ!」
ロイドの豆はかなり美味しかった、もしもあれを量産できるのなら
この国の財政は少しは改善されるだろうな。
「これだよ、これがロイドの豆の木、美味しいよ」
そこはあまり他と変化が無い環境だ、大きな変化も無い何ら普通の豆の木だ。
「なぁ、なんでこの木はここにしか生えてないんだ?」
「お父様が趣味で植えただけの木だからだよ、でも美味しいんだ」
「じゃあ、これを増やそうとかは思わないのか?」
「・・・思わなかったよ、そうだね、増やせるじゃん!」
「だろう? 結構な土地があるし、少しは増やしてみれば良い」
「お、おぉ!」
「でも、あまり増やすなよ、50本くらいだ多すぎるとあまり高く売れない」
「うん! やってみる! あと、お父様に言ってくるね!」
そう言うとリリーナは家の中に入っていった。
まさか増やそうという発想そのものが無いなんて思わなかった。
でも、これで少しは財政難は避けられるかもしれない。
まぁ、問題はどうやって増やすか、何だが、それは言い出しっぺの俺が頑張るかな。