手に握っていたモノ
あたしが持っていたモノって・・・・・・?
「それじゃよ。それ」
「あぁコレかぁ」
あたしが持っていたモノ――――それは龍崎の傘だった
そういえばあいつが投げ出したのを拾ってきたんだったのすっかり忘れてたな・・・・・
「コレあたしのクラスの奴のなんだけど・・・・・そういえば龍崎も屋上に行ったって小林が言ってたっけ・・・・?」
そうだ
小林はこの上にマヒロが居るって言ってたんだ
でもあたしが屋上に着いたときは龍崎の姿なんか見なかったのに――――?
まさか――――
「お爺ちゃんっ!」
「そんな大きな声を出すでないっ!耳が潰れるじゃろうっ!」
「此処に龍崎って奴来なかったっ?」
「龍崎?――――マヒロのことか?」
知ってるんだ
じゃぁ龍崎は此処にきてたってこと?来たってことはあの石像の謎も扉も分かったんだ、龍
崎は
あたしは混乱してきた頭を整理しながらお爺ちゃんに詰め寄った
「ねぇソイツ何処行ったのっ?!」
「マヒロならお主よりちと先に行きよったぞ?」
「だから何処っ!」
「願いを叶えに行ったのじゃ。女神のナミダを集めにな―――七つの国へ」
「?叶えに行ったの?」
「まぁそう褪せぐでないリツよ、もうお主の準備も出来ておる」
「は?」
「このペンダントに七つの女神のナミダを集めて天空の塔を目指せ。そこでお主の願いも叶う
―――この世界、パレスでな」
お爺ちゃんはあたしの首にペンダントをかけて言う。何を言ってるのこのおじいちゃんはっ?それにあたしは一番最初に――――
「だからあたしの願いは分かんないんだってばっ!」
「帰るのだろう?もとの世界に」
「え?あぁうん。眞子ちゃんとも約束してるし・・・・・」
「ならその願いを叶えよ」
お爺ちゃんはそう言ってさっきと同じように杖を大きく振るった―――今度はさっきよりも早く
「ではの、魔法導師リツよ。杖はお主の心が決まったときペンダントが導いて下さるはずじゃ、案ずるな」
「だからさっきから何言って―――――」
不意にあたしの後ろから風が吹いて、あたしの身体を持ち上げた
「へっ?」
あたしの身体は宙に浮いたかと思うと、木々の葉に目の前を覆われてあたしの視界は全く見えなくなった
なんなのこれはっ!あたしが叫ぼうとしたその瞬間―――突然目の前の視界が開けた
「ちょっお爺ちゃん――――――っ?!」
あたしの目にはさっきまでの光景が甦ってきた
あたしがいる“此処”はお爺ちゃんが居たさっきまでの場所ではなく・・・・さっきの空の上だった
もしかしてあたしまた―――――
「おちるぅぅっ!」
「助けてやってくれ――――勇者を、運命を――――」
森の中では門番―――ニノラが笑いながら空を見上げている
「運命をかえてみせておくれ―――――」
空には力強い風が吹いていた