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お爺ちゃんと空

 ――――バシャアァアアァアアアアアァアアンッ


 足元からあたしの身体は水しぶきに巻き上げられたかと思うと、それは一瞬で力強い風へと変わっていた


「―――――ここって何ッ?」


 あたしが瞳を開くと、此処は紛れもない空の上だった


 というかさっきの水はどうしたんだよ


 あたしの突っ込みも虚しくあたしの身体はどんどん加速して落ちていく


 このままじゃあたしは落ちて


 もしかしてまさかのピンチ?


 よく考えてみればこのまま落ちてしまえば地面に突撃して・・・・・


「落ちるじゃんっあたしっ!」


 落ちる


 堕ちる


 墜ちる

 

 落ちる――――!


 ガシッ


 もうダメだ

 そう思いかけてあたしが強く瞳を閉じて覚悟を決めたとき、あたしの腕に激痛と共に耳には呑気な声が響いた


「試験終了じゃのぉ」


「ったい」


「悪い悪い、だがお主ちと遅いのぉ」


「あ、この声って・・・・」


 あたしの腕を掴んだ―――このお爺ちゃんの声はさっきの! 


「初めの時の・・・・」


「ほう、お主も覚えておったのか。まぁ此処ではなんだのぉ場所を変えるかのぉ?」


「え?あぁうん」


 そういえば此処って空の上だったんじゃなかったっけ?


 あたしは恐る恐る自分の足元を見て眼を疑った


「――――!」


 あたしの遙下には地面が見える。空は広々としていて、今にもあたしを飲み込んでしまいそうだった


 高すぎる。あまりにも。どうして・・・・なんでこのお爺ちゃんは“浮いて”られるの?


 あたしがいくら見ていたって答えをくれないおじいちゃんは片手に持っていた杖を一振りした


「では行くとするかの」


「!」


 あたしはほぼ反射的に瞳をギュッと閉じた


「お主、何しとるんじゃ?」


「へ?」


 あたしが瞳を開けたとき、もう既に此処は此処ではなかった


「もうとっくに変わっておろうに」


 お爺ちゃんはそう言って笑いながら傍にあった椅子に腰掛けている


 あたしはもう一度だけ瞳を閉じてから開けた


 夢・・・・・・・じゃないよね?


 此処はさっきまでの空ではなく、青々とした木々に囲まれた森の中だった


「ではお主、名は何と言う」


「え?あたし?」


「他に誰が居る?まぁ此処に座れ」


「ははははは・・・・・」


 あたしは立ち上がって服についている砂を落としながら示された椅子に腰掛けた


「えと、日乃川 リツっていいます」


「よろしい。よい名じゃ」


「はぁ・・・・・」


「わしの名はニノラ・ディー・ワーム。此処の世界の門番をしておる。呼び方はニノラ導師でかまわん」


「ねぇお爺ちゃん、あたし帰れんの?」


「・・・・・話を聞いておったのか?」


「ん?聞いてたよ」


 あたしの目の前はお爺ちゃんが飽きれたようにため息をついている。疲れているんだろうか?あたしは待ちきれなくなっておじいちゃんに促した


「ねぇってば!お爺ちゃんっ?」


「帰れんこともないが・・・・・お主は初めの扉を押したんじゃったかの?」


「ううん。あたしいつもドア開けるときは引くって決めてるもん」


「そうか・・・では結果発表といくかの」


「?」


 お爺ちゃんはそう言って手に持っている紙のようなものを読み上げた


「リツ、お主の総合評価はBランク」


「は?」


「知識と冷静さに欠けておるが運と勇気だけは飛び抜けておるのぉ」


「・・・・褒めてる?貶してる?」


「まぁあまり細かいことは気にするな」


「はぁ」


 お爺ちゃんはそう言って笑いながら続けた


「魔法導師リツよ、これより旅立ちの儀式を行う」


「・・・・・なに言ってんのっ?」


「ほれ」


 お爺ちゃんはそう言ってあたしの問いには答えずに勢い良く杖を空に大きく円を描くように振るった


「!」


 眩しい!あたしの身体はキラキラした光に包まれたかと思うとあっという間に消えた


「何・・・・・・この服」


 あたしの洋服は西洋風の漆黒のモノに変わっている


「・・・リツ、その手に持っているモノはなんじゃ?」


「へっ?」


 あたしが持ってたものって・・・・・・?    


   


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