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行方

「―――――っと、まぁ粗方このくらいだろ」


話し終えた達成感からか、アーグルは何だか偉そうににやりと笑ってリツを見た


「へぇ・・・・何かすごいね。ギリシャ神話みたい」


「は?なに言ってんだよ?」


「いや、別に何でも無いけどさ」


「そうか・・・・この魔法導師をお前に当てはめれば話は早いぜ!」


「はい?何が?」


アーグルは暗くなってきた牢屋の中で手錠がかけられた腕をジャランッと振った


「何言ってんだはこっちの台詞だ、早く『魔法』でこの手錠を取れよ」


「は?」


一瞬だけ、自分の耳を疑った


この人は今何を――――言ったんだろう?


聞き間違いかもしれない


あたしはもう一度注意深く聞き返した


「何て言って―――――?」


「は?世界最高補の魔法導師様だろ、これくらいちょちょいのちょいで―――――」


「ちょっとっちょっと待って――――『最高補』?『魔法』?」


訳が分からないあたしは、自分の腕についている手錠を見てから首を振った


頑丈にあたしの腕に掛かっている手錠は腕に力を入れてもビクともしない


本当にあたしが外すことが出来るのかな


魔法なんて端から信じてないし、魔法導師っていきなり説明されてもお爺ちゃんに言われたことだって意味が分からないのに


それにあたしの後ろで光る杖


使い方も分からない、不思議に光る“それ”はあたしに応えてくれるのかな


あたしの顔が沈みそうになった時、アーグルは少し欠伸を交えてから壁に寄りかかった


「まぁこの世界の伝奇も知らないんじゃ使い方なんて分かんねぇよな・・・・・まぁいいや、此処で逢ったのもなんかの縁だ、教えてやるよ」


「本当っ?アーグルありがとうっ!」


「だからアルでいいって・・・・・」


アーグルは照れたように少し笑ってから頭を掻いて続けた


「てか俺は魔族じゃねぇから使い方は・・・・ニノラ様か。リツ、杖持って来い。俺はこの脚で行けねー」


アーグルの足には重いボーリングのような鉛が付いていて、両足が鎖に繋がれていた


でもそれはあたしのとは違って、何だか禍々しく、黒ずんでいて太かった


「ぁ、うん」


あたしは少しだけ気にかけたその鎖を振り払って、腕を引きずりながら光る杖を持って、アーグルの所まで持っていった


杖は思っていたよりも軽くて、フワフワしていた


「っんと、まずお前の名前を次の呪文を言ってから叫べ」


「ゎわかったっ」


心臓が音をたてて主張を始める―――「緊張すんなよ・・・・・」というアーグルの声も今は遠く感じる


言い要のない不安感がひっそりとあたしを包んで丸め込んだ


「いくぞ、リツ。俺が言ってから復唱しろよ」


「うん・・・・・・」


アーグルは少し間を置いてからゆっくりと口を開いた


「『汝、我に応えよ―――我が名はリツ、軌跡を辿る世界にコタエル者である―――この迷えし汝、少年の心ある場所へと神風よ吹け――――』」


「『汝、我に応えよ―――我が名はリツ、軌跡を辿る世界にコタエル者である―――この迷えし汝、少年の心ある場所へと神風よ吹け――――』」


途端、あたしの手の平の中の杖は光りだした


さっきまでとは明らかに違う輝きを見せて


「おっ!きたきた!」


「えっ?なにコレっっ?」


あたしが杖を持つ腕を支えこむようにしてアーグルは手錠の掛かった腕を差し出して言う


「放すなよっ!光だけに集中しろ、眼を放すな」


「はいっ!」


あたしは手に力を込めてから返事をして光を押さえ込んだ




途端、手の中に光は消えて、杖はピタリと光らなくなって光を失った




光を押さえ込んだ手のひらには、杖の先端部分と同じ魔方陣が映し出されていた


紅くどす黒い、痣のように


「はぁっはぁっはぁっはぁっ――――――」


息が荒い


押さえ込めない吐き気があたしを包んだ


「よし!リツ、成功だ!これでもう大丈夫―――――」


アーグルの声が遠くで響く


あたしは足の力を失って、ガックリと膝を落とした


「ニノラ様に・・・・逢えるはずだ――――しっかり・・・の使い方―――聞いて・・・・来いよな―――――」


良く聞き取れない


声が聞こえない


あたしの視界はどんどん黒ずんでモノクロに変っていく―――――


あたしは初めて扉を開けたときのように


暗い世界に落とされた


あたしの意識はそこで途切れて消えた

更新が遅くなってしまいまして本当に申し訳ありません!

てゆーか、今回もまたもや試験に丸かぶりなので(笑)次回もまた遅くなってしまうやもしれませんっ

その場合は大目に見てくださいっ宜しくお願いします!

では、また〜

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