セカイオーバー
初投稿です。
文才はないと思いますが、頑張っていきたいと思います。
気まぐれ更新なのでかなり遅いです。
どうやら俺が子供の頃に世界は一度終わったようだ。
確か俺は平凡な日常がそんなに嫌いじゃなかった。
当たり前に続く日々に多少なりとも幸せを感じていたと思う。
でも、勝手な誰かのせいでそれは崩れた。
だからあの日の無力感はよく覚えている。
あの女の子と出会ったことも。
「ねえ、君に世界を救えるだけの力をあげる」
「…へ?」
炎の海と化した町並みには、よほど不釣り合いな笑顔で女の子が話しかけてくるものだから僕は、変な声をあげてしまう。
それには全く動じずに彼女は続ける。
「この世界…救いたくない?力が欲しくない?」
僕は、答えを考える。
今さっきの出来事を思い出す。
「いいよ。こんな世界どうなっても、父さんも母さんも死んだんだ。きっと友達もたくさん死んだ…」
息を大きく吸い込む。
「…救う意味なんかないよ!!」
静かな町に僕の絶叫が響く。
「あら?少なくともその隣の家に住んでる女の子はまだ生きてるわよ?」
いいの?とその子は問いかける。
確か隣の家は…
混乱した頭でもすぐに名前が出てきた。
「舞華が生きてるの?」
「ええ、今のところはね」
「今ところ?」
「屋根の下敷きになってるみたいだから、もうすぐ死んじゃうんじゃないかしら?」
人の死を宣告したというのに女の子の表情は変わらずニコニコしている。
この時僕は彼女が人間ではないことを悟った。
狂乱状態の僕が彼女にすがりつく。
「お、お願いだから舞華を助けてよ!」
「え~無理言わないでよ~。私みたいな女の子じゃ、家の屋根なんてどかせるわけないじゃない?」
その時僕は言ってしまっていた。
なら力が欲しいと。
全てを救えるだけの力が欲しいと。
彼女の顔がこれまで以上にニコニコする。
まるでこの言葉を待っていたかのように。
「貴方がなにも出来ない理由は一つだけ。それは、貴方が無力で脆弱な人間だから。だったら貴方が人間をやめればいいのよ」
「人間をやめる?」
「そう、人間をやめるの。でも安心して?人間をやめるといっても姿が化物になるわけじゃないわ。」
そこまで言って女の子は、ただ…と続けた。
「この力は強大よ?飲まれれば世界を壊すほどに」
生唾を飲み込む音がやけに大きく聞こえた。
「それでもいいの?」
答えは決まっていた。
「舞華を助けられるなら、僕はどうなってもいいから!」
その瞬間女の子の顔が近づいてきて…
…キスをされたと言うよりは、口移しで血を飲まされたと言った方が適切だろう。
頭がぼうっとして、意識が遠のく。
薄れゆく意識で覚えていたのは…
重たいはずの家の屋根を簡単に持ち上げられたこと。
それと、何匹かの化物の頭を殴り飛ばしたことだけだ。
唐突に俺は世界の救世主であり、化物になってしまったようだ。
それからは人類の存亡を賭けた戦いが始まった。
壊れた世界を続けていくために人々は戦った。
そこからの年の進みは速く、一瞬で…
―七年の日々が経っていた。