魔法使い
ザク…ザク…
見渡す限り砂だらけ、エジプトの砂漠のど真ん中、水も食料も入らなさそうなカバンを持った大小2つの影が歩いていく。2つの影は倒れては立ち上がり、倒れては立ち上がりを、繰り返していた。一体どれくらい歩いたのだろうか、歩き倒れまた歩くそうやってふたつの影が足跡を伸ばしていく。
やがて一つの影が口を開く…
「も〜いや!!歩きたくない!疲れた!脚痛い!帰りたい!」
小さな影が叫び団駄をこねている。その様子はまるで子供のようだ。
「ああ?まだまだいけんだろ?」
大きな影が振り返らずに呆れたような声を出す。
「あー無理、死んじゃうって!!」
「はぁ…安心しろって。」
大きな影が小さな影の方に顔を向け蒼い瞳をまっすぐに小さな影に向ける。
「あたしらは死なないだろ?」
「そうだけどサー」
大きな影は再び前を向き、歩き出す。
「わかったら行くぞ…先は長いんだからな。」
「むむむむ!わかったよぉ!てかさァ…ほんとにこっちであってんの?」
「わからんが、″意志″はそう言ってる」
「その″意志″さんはさぁ…こっちに何があるって?」
「確か…」
ザアァー
ふたつの影を砂煙が覆う。その砂煙はすぐに晴れ、ふたつの影の前に巨大なピラミッドが現れる。
「神様の左足だな。」
ウィッチ クリエイト パーセンテージ
Witch創造%
〜数ヶ月前〜
「望!買い物行こうぜ!」
「僕パス〜めんどい、眠い、おやすみ〜」
「おいおい、連れないこと言うなよ〜あたしの頼みだぜ〜?」
「いくら瑠璃ちゃんの頼みと言っても眠いの〜」
マンションの一室にて二人の朝が始まる。
腰まで伸びた朱色の髪を、束ねることなく、解かすことなく、話す大柄な女性の名は、 尾皿木 瑠璃。彼女はとても美しく、まさに絶世の美女であるが、男勝りな性格と、抜群の運動神経で虜にした人は数しれず。
勉強は程々で興味がなければ一切やらない。因みに百合である。
もう一人の小柄で首元までしかない栗色の髪の少女、谷内 望は、勉強はできるが極めてマイペースであり、人との付き合いもあまり良いとは言えない。お酒が大好き。
ショッピングモールにて
「おいこれ望似合うんじゃね?」
朱色の髪をなびかせた高身長の女、尾皿木 瑠璃が服を一着手にとり、見せびらかすように隣の少女に服を向ける。
「どれ?…えめっちゃかわいいじゃんこれ、着てみていい?」
栗色の髪をした少女…谷内 望は服を見るなり目を輝かせ、瑠璃から服を奪い取った。
「マジでみたい。」
その言葉を聞いた望は、下手くそなスキップをしながら試着室に向かう。
試着
「じゃん!どーよ?」
「まじでかっわいい。最高、好き。」
「ふふん!買いますわ!」
「いいね」
「あ!そうだった!これ瑠璃ちゃん着てみてほしいんだった!めっちゃかわいいんだけどさ、ど?」
「まじ?見して?…あクッソかわいいわこれ、着る。」
試着
「ふん!どうよ?」
「まじでエロい」
「だろう?あたしの中のセクシィが騒ぐわ」
「買うの?」
「買う」
購入
「結構買っちまったな、値段見て目玉飛び出るかと思ったぜ。」
「まぁね、でもその分服選ぶのが楽しくなるんじゃない?」
「そうだな。…なぁ、そこのカフェでも寄んね?」
「今お金の話したばっかでしょうが…行くけどさ。」
「ナイス!そう来なきゃな!」
服を見て、カフェに寄ろうとした二人だったが、カフェを眼の前にして、突然目の前が真っ暗になる。
バンッ!
停電だ。それと同時に、いつものモールの中に響き合っていた人々の声色が、日常から、不安の色に変わる。
「うお!?なんだ?なんだ?」
「うわ!?停電!?ショッピングモールで?」
「今スマホで照らすからまって…ぁあ?スマホつかねんだけど??」
「嘘?僕もだ。」
「まじ?どうすっかな…とりあえず手握っとけ。」
「手〜どこ〜あ!あったわ。」
「周りもざわついてんな。」
「まって?明かりがいっこもないんだけどさ、他の人達もスマホ動かないんかな?」
ざわざわ
周りの声に耳を傾けながら、目を閉じ、暗闇に目慣らそうとしている、瑠璃の耳に声が集まって来る。
「おい俺のスマホ動かねんだけど!!なんでだよ!くそ!こんなときに最悪だわまじで。」
「うぅわ俺もだわ」
「俺変えたばっかなのにぃ」
ざわざわ
「どうやら、周りの奴らもおんなじ状況らしいな。」
静寂と暗闇のショッピングモールの中人々の不安の声だけが木霊していた。
そんな中、不気味な不協和音とともに放送が鳴る。
ザザーッ!ピーンポーンパーンポーン!!
「ーー!ぁー!ーーあーあッと?声入ったんじゃない?」
人々の不安を嘲笑うかのような軽快な男の声がショッピングモールに響き渡る。
「んん″!はじめまして皆様!俺は″D″!ショピングを楽しんでいる最中大変申し訳ない、皆様にはぁショッピングモールの真ん中に集合してもらいます!因みに、外には出られないようになっております!」
「あ?出られないってなんだよ?窓とか壁破るとかあんだろ。」
「えー因みにぃ出られない理由はちゃんとあります。」
「?」
「……俺はね、魔法使いなんだ。」
静寂
「プッ!あははは!聞いたか?魔法使いだってよ!」
「え?うん、聞いてたけど…そんなに面白い?ごめん僕わかんなかった。」
「おもろいだろ!だってよぉ魔法使いっていいやぁあれだろ?30過ぎた童貞だろ?犯罪者が、童貞宣言すんのやばすぎるだろ!」
「え〜そう言う事?いや〜多分違うんじゃないかな?」
「おい聞こえてるぞ!女ぁ!!魔法使いってそういう意味じゃねーから!!後俺はまだ二十歳だ!!」
「がきじゃん!てか結局童貞じゃん!ぶはは!!」
「まじで覚えとけよ!!」
「瑠璃ちゃんそのへんにしときなって、なんでかこっちの声聞こえてるみたいだしさ、あ!ほら見て、あれ。」
「え?」
望が手を上げた方に目をやると、確かにそこには、明かりがついていた。
しかし、一つだけだった。
「明かり付いてるよ。」
「マジじゃん行くか?」
「マジ?大丈夫かな?」
「安心しろって、なんかあったらあたしが守るからさ。」
「なにかあってからじゃ遅いんだよぉ。」
「さあ皆さん!!中央のライトをつけたよ!中央に集まってこーい!俺は待ってるぞー!」
「というかさ、皆そんなライトのほう…中央に行くもんかね?」
「確かにそうだな、まず様子を見るか。」
「あ!言い忘れてました!中央に集まらなかった人たちは、俺の優秀なサポーターたちが見つけ次第…」
ザザッ
「ぶっ殺します。」
「聞いたか?」
「…うん。」
「ちゃんと犯罪者らしいこと言えんじゃねぇか。見直したぜ童貞犯罪者。」
「童貞から離れない?」
「だから聞こえてるって言ってんだろうが!はぁ…まぁ、俺の発言に信憑性がないのも確かだかんな…と!言うことで!今俺様がいる放送室?を借りる際にちょっくら寝ててもらってた人を、一人起こしますわ。おれぇい!起きろぉ!」
「ぎゃあ!へ?え?え?何?え?誰?」
「マイクに向かってなにか一言お願いします!」
「へぇ!?何なのこれぇ?どういうことなの?撮影?」
「はい!ありがとうございました!撮影なわけがありませんね?」
「へ?」
「はいではありがとうございました!皆様!お別れの挨拶はいりませんね?」
「ひっ!これって?おもちy」
バンッ!!ドチャッ!
明らかな銃声、なにか…そう…水分を含んだ何かが倒れる音、そして途絶える被害者の声。この場にいたすべての人間が、何が起きたか理解できたのだろう、ショッピングモールの中は銃声が木霊しており、その他一切合切の雑音が消えた。そこに再びあの声が響く。
「おもちゃな訳ないんだよねぇ。」
絶叫
「はい!皆さん!こうはなりたくないですよね?じゃあ何をすべきかわかりますよね?……さっさと集まれよカスども。」
「まじか?あいつガチでやりやがったのか?」
「…わかんないけど…今は逃げたほうが良いかも。」
「あれ?俺ビビらせすぎたかな?皆が走ってる方向って出口だよねぇ?それってさぁ良くないっていったよねぇ?」
パンパンッ ダンッ!ダダダダンッ!ダダダダダダダダダダダ!!
″D″が手を叩く…と同時に、今度はかなり鮮明な銃声と悲鳴があたりから聞こえてきた。
「全く、これだからパニックは起こさせたくなかったのに…」
「よぉ…聞こえるかよ、犯罪者さんよぉ」
「ん?聞こえてるよ?オネイサン?」
「お前の目的は何だ?あたしらで何がしたいんだよ?」
「うーんとね…まぁざっくり言うと、人探しかな?」
「んなことのために、ヤッたのか?」
「うん!そうだよ?大事だからね。だからこそさぁ、あんま勝手に死なれちゃ困るんだよねぇ」
「なら!僕達が抵抗せずに中央に行けば何もしないの?」
「うん、今はそのつもりだよ?」
「わかった。従うよ。」
「おい!望!良いのかよ?わざわざ犯罪者のとこ行くなんてよ!」
「あの話が本当なら、すぐには行動に出ないだろうし、何より目的が果たされれば解放されるかもしれないから…」
「解放されないかも知んないんだぞ?だったらいっそのこと逃げちまった方が…」
「やめといたほうが良いと思う。」
「なんで?」
「まず、サポーターがいるって話だけど、あれは多分間違いなくて。」
「??」
「銃声してたでしょ?それと、もっと嫌なのが、多分暗闇の中でもこっちを認識できるんだと思う。」
「なんでわかんだ?」
「だって、銃声が止んでるでしょ?」
「おう」
「それはつまり全員始末したってことなんじゃないかなって。」
「……なるほど、考えるのは望に任せるわ。」
そう言って二人は、手をつなぎ、光に向かって歩き出した。
〜モール中央広間〜
「意外と人いんだな。」
「まぁ平日とはいえ、ショッピングモールだしね。」
「どうなると思う?」
「わかんないよ…ただ、目的は人探しって言ってたから。」
「そうか、わかった。」
「皆!集まってくれてありがとう!逃げ出す人が意外といて焦ったけど、意外と残っててくれてちょっと安心したよ。」
「おい、お前、目的は人探しなんだろ?」
「うん、そうだよ?」
「ようが済んだらさっさとあたしらを解放しろよ。」
「OK、じゃあ手短に行こう!自分は魔法使いだよって言う人手ー上げて!」
唖然
「は?」
「うーんやっぱそう簡単にはいかないかな?」
「ちょっと待てよ、何だよそれ?」
「何って?わかりやすくない?」
「どういうことだよ、誰か探してんじゃねーのかって話だ!」
「誰か?うーんまぁそうだね、では質問を変えようかな?……そうだな…白い石を持ってる人っているかな?」
「白い石?」
「一つ聞いていい?」
「望!?」
「……何かな?」
「探しびとが見つかれば、皆解放されるの?」
「うーん、まぁ、そうだね。」
「なら!」
「探すときに、死ななければね。」
「は?」
「はい皆動かない!死にたくなければね。」
「探し人はいなかったんだろ?もいいだろ!」
「いやー隠れてるかもだしな〜うん!しょうがない!これはしょうがない!」
「なんだ?あたしらを殺そうってか?」
「うん!そうする。」
ザワッ
周りの人々が声を上げたり怯えたりする中、二人はまっすぐに″D″を見ていた。
いや、性格には見ているのは、″D″ではなく、後ろに現れた人の背丈ほどある、大きな頭蓋骨から、目が話せなかった。
「望…見えてるか?」
「!瑠璃ちゃんも見えてるの?」
「おお!もしかしてオネイサンたち、見えてる?」
「何だよ、それ?」
「ああこれ?………″神の頭″だよ。」
「は?」
「もう他の人達はいいや、バイバイ。」
そう言うと、″D″は手を振り上げた。
ブゥンッ!グチャッ…ゴトン。
耳のすぐ近くを何かが通りすぎていくのと同時に不愉快な音がした、栗色の髪が舞い、悲鳴が聞こえ我に帰る。
「!?な!」
ブン!ブン!!
一つまた一つと耳のすぐ近くを何かが通り過ぎていく。
その都度、人の断末魔が聞こえて、崩れ落ちて。
一人、また一人。
崩れていく。
二人は立ち尽くす。
だが、無力と絶望を噛み締めながらも、まだ一人眼の前の男を見据える女がいた。
あたりを静寂が包こむ、そんな中口を開いたのは、彼女だった。
「おわりか?童貞…」
「強がんなよ、オネイサン…こわいんだろ?」
「は!言ってろよクソ童貞!望!安心しろ、あたしらはずっと一緒だ…だから…出るぞ…こっから!」
「瑠璃ちゃん…」
「じゃあさぁもう一回聞くけど、君たちって白い石について知ってる?」
「あぁ知らないね。」
「……知ってる。」
「望?」
「えまじで?」
「君が欲しがってるやつかは、わかんないけどね。」
そう言うと望はネックレスを首元から出す。
直径2cmほどの小さな白い宝石のような石がついたネックレス。
「ほら。」
ぽいっと投げたそれを受け取るやいなや、まじまじと見つめる、やがて声を出す。
「うーんこりゃ違うな。残念」
「もう…良いでしょ…解放してよ…僕達のこと。」
「うーん、そうしたいんだけどね?俺はいいんだけどさぁ、″アイリス″がうるさくてね。」
「は?」
「そんなわけで、ごめんねオネイサンたち。」
「望!!」
ブン
音が聞こえた…砕けた石と瑠璃ちゃんが見えた…けれどすぐに瑠璃ちゃんじゃなくなった。
嗚呼僕も…瑠璃ちゃんといっしょに死んでしまうのか…短い人生だったし、悔いも後悔もある、やり残したことだらけだ。
あの世があるのなら、きっと僕は地獄に落ちるだろう。
未練がある。
父に、謝ってほしかった、僕を捨てたこと、けれど僕も謝りたかった、何も持たずに、生まれたことを。
声がする…どこからか僕を呼ぶ声がする。
もう少し…この感情に浸りたいな…
「起きろー!!」
「!?」
「起きたみたいだね、…コホン!おはよう!望ちゃん!私が見えるかな?」
眼の前には、人型の白いなにかが、僕を覗き込んでいた。
「…はい…?おはよう…ございます…?」
「はいおはよう、さ!おいでおいで!」
白いなにかに手を引かれ、歩き出す。
あたりを見渡した。
真っ白な世界だ。
無限に広がっていそうな純白の世界には、とても豪華で鮮やかに彩られた、おしゃれな椅子と、テーブルがあり、そこには見慣れた姿が一つ座っていた。
「瑠璃ちゃん…?」
「遅かったな…望。」
「ようこそ、私のお茶会へ。歓迎するよ。」
「瑠璃ちゃん…ごめん…本当に…ごめんなさい…僕のせいで…」
「あーまぁとりあえず座れよ、詳しい話はそこの″カミサマ″が話してくれるはずだ。」
「神様?」
「いかにも!私が神である!といっても今の私は神どころかミジンコ以下の存在だがね。」
「ここは、どこ?」
「だからまずは、座りたまえよ、望ちゃん。」
未だに混乱しているが、ひとまず目の前の椅子に腰をおろした。
一体何から聞くべきか考えているうちに″神様″が声を出す。
「何から話そうか、って考えているね。考えててもいいよ、私が先に君たちの今の状態を教えてあげよう。」
「お願いします。」
「ふむ、良かろう!君たちは、残念ながら死んだ。あの男に体をズタズタにされてね。ならばここは天国?はたまた地獄かな?答えはNO。ここはいわゆる精神世界なんだよね。私のだけどね。OK?」
「……僕達が死んだのはわかりました、ここがどこなのかも。でもなぜ?」
「話が早くて助かるよ、そこの女の子に説明するのには骨が折れたよ…。ではなぜここに着たのかだったね、答えは君のネックレスだよ。」
「え?」
「君たちを殺したあの男が探していた石とは、まごうことなき君の身につけていたネックレスの石だよ。」
「でも、これじゃないって、しかも関係があまり見えてこないんだけど。」
「はいはい、焦らない焦らない。今から全部説明するからね。」
「まぁまずは、自己紹介からね。私の名前は、″アイリス・クローバー″、訳あってバラバラにされてしまってね、頭 胴体 右腕 左腕 右足 左足…そして小さな石に宿った″意志″、それが私。」
「はい質問」
「はいなんでしょう?」
「アイリスさんって、本当に神様なんですか?」
「はい!私は、神様です。…と言ってもね、神の定義って結構曖昧でね、私は
″神格″っていう、神の資格を持っているだけで、厳密にはまだ神じゃないんだよね。まぁ正式に神になるためのプロセスがまだ終わってないだけで、すでに神を名乗る資格はあるってだけなんだよね。」
「あい質問」
「ハイなんでしょう?」
「あたしらはこれからどうなんだ?」
「いい質問ですね!だけどそれを話すのは、君たちが自分をもっと知ってからになるね。」
「…?どういうこと?」
「君たちは、自分が何者かわからないのかい?」
「僕達は、自分たちを一般人だと思ってますが、違うんですか?」
「全然違います不正解。」
「え?」
「違うの!?」
「では今の君たちについて話そうか。簡潔に言うと君たちは魔法使いです。」
「え!?」
「驚いた?しかし事実だよ。」
「じゃああたし魔法使えんのか?」
「うん使えるよ。」
「教えてくれ!」
「めんどくさい!」
「ええ?」
「本来魔法を覚えるのは、そんなに難しいことではないんだけどね?ただ一般的な魔法を覚える前に、確認しなきゃいけないものがあります。それは、
″個的傾注魔法″と呼ばれるものです。まぁ簡単に言うと、扱う魔法の適正かな?
魔法使いは、皆何かしら特化した魔法があるのよ。まず君たちの特化魔法を探しましょう!というのは、時間がかかるので、私が教えます。」
「そういうのってわかるもんなんですか?」
「私はこれでも魔法使いの始祖だからね、2000年以上魔法とともに生きていたんだよ?それぐらいわかるさ。」
「あたしからしりたい!おしえてくれ!」
「良いよぉ!瑠璃ちゃんはねぇ……ほお!ほ?…うーん言いにくいんだけど、瑠璃ちゃんにあんま向いてないかも。」
「え?」
「めちゃくちゃすごそうなんだけどね、めちゃくちゃ難しそうなんだよね。」
「ほぉん?ばっちこい!つかいこなしてやらぁ!」
「瑠璃ちゃんはね、一言で言うなら、 ″可能性の魔法使い″ だね。」
「はぁ!?めちゃくちゃかっけぇじゃん!!」
「瑠璃ちゃんは、その気になればすべての可能性をいじれるらしいね。ヤバ笑」
「まじかよ!?あたし最強のギャンブラーじゃん!」
「これこれそんなことしてもたのしくないでしょ?」
「確かに。だが、金に困ることはなくなったな!」
「次に、望ちゃんなんだけどね、君はどうやら、特例中の特例っぽいんだよね。」
「は?望はなんかめっちゃすげーってことか?それとも魔法使いじゃねーのか?」
「いいや、彼女はまごうことなき魔法使いだよ。特化の魔法もわかったんだけど…
同時に凄まじい欠点も見つけてね。」
「教えてください。」
「君は、特化の魔法が決めて特殊なんだ、それにどうやら特化の魔法以外使えないらしい。」
「魔法が…使えない魔法使い…?」
「厳密には特化魔法しか使えない魔法使いだね。」
「……じゃあ特化の魔法を教えてください!」
「残念ながらそれはできない。」
「え…」
「どういうことだ?カミさんよぉ。」
「落ち着いて、私が話せないのは、望。君のためだよ。」
「…?」
「少し君の過去を見てしまってね、私は今話すべきではないと判断したんだよ。」
「……今は…?」
「そう、今はね。」
「そう…ですか…」
「では、今度は、今の現状を話そうか。」
「おう!頼むぜ!」
「君たちは、今…呪われている。」
「呪い?」
「うん、呪い。君たちの受けた呪いは、″不老不死″だ。」
「不老不死…?」
「そう、不老不死。その呪いを与えたのは、間違いなくあの男だね。」
「そうなのか?」
「ああ、この呪いは私の魔法だからね。」
「はぁ?」
「どういうことですか?」
「君たちは見たんでしょ?大きな頭蓋骨を。」
「見た。」
「あれは、私の頭だよ。」
「確かに、″神の頭″とか言ってた気がする。」
「私の体のパーツには、受け取った者に、特別な力を与えたり私のように会話をしたりの、様々な″恩恵″を与えるんだ。多分私の頭が与える″恩恵″は、私の″記憶″
だと思う。」
「″記憶″?」
「ああ″記憶″だ。私は、神であり、魔法使いの始祖だ。故に、私の記憶には、ほぼすべての魔法についてが焼き付いている。つまり、私の頭を持つということは、
私の魔法をすべて受け継ぐに等しいものだ。」
「つまり、あの男は、全盛期のあなたと同じくらい強いと。」
「そうだ、君たちは″不老不死″になった、つまりじきに目を覚ますだろう。」
「僕達は何をすればいいの?ここまで話すんだ…なにかしてほしいんでしょ?」
「話が早くて助かるよ、君たちには私の体を集めてほしい、さすれば願いを叶えてやる。」
「面倒くせぇな、だが面白そうだな。」
「わかったよ、ただ、僕のこと、いずれ離してほしい。」
「わかったいいよ。ただし、きっと君のことは君自身が見つけること。それが一番いいと思うな。」
「…うん」
「じゃあふたりとも。いってらっしゃい。また会おう。」
「ああ。またな。」
そう言うと視界がぼやけ始めた。
すでにおぼろげだった世界がもっとおぼろげになった。
世界がまるで湯気のように消えていった。
目を開くと、失った体が再生していく。
「おいおい、まさかお姉さんたち魔法使いだったのか?」
「おかげさまでな、童貞くん。」
「…いいかげんにしろよ、女。」
「今度は、僕達の番だ。」
ブン!!
「あんたらの番なんかねぇよ。もう一度死んでな。」
グジュグジュ
「は?なんで復活すんだよ…?」
「っってぇなぁ、ずりぃなぁそれよぉ。」
ブン!ブン!
「もう魔法は消してんだぜ?何で復活すんだ?」
グジュグジュ
「おいおい、どうなってんだ?」
「無駄に殺さないでよ…結構痛いんだから。」
ドォォン!!
「!?」
突如モールの壁が爆発して幾人の人が入ってきた。
「降参しろ!!魔法を使わずに投稿しろ!!」
「厄介なのが来やがったな。」
「何だこいつら?」
「私達は、″世界魔法連盟″だ!!」
「連…盟…?」
「神の頭部保持者、井納 夢十!貴様を拘束する!」
「ちっ!だるいな、一、二、三…十五か…全員やるか?」
「残念ながらそれは叶わないよ。」
その瞬間まばゆい光がモールを照らす。
「もっと残念なことに…僕は君のように残虐な人は嫌いなんだよね。」
「はは!まさか!魔女さんが直々にお出ましとは!!光栄だね!」
「御託は良いだろう?僕は怒っているんだ。」
「おいおいせっかちはもてないぜ?」
「さようなら…君に幸福を祈るよ…dazzling light。」
男から放たれた眩い光が放たれた、刹那あの男…夢十を包みこんだ。
光が弱くなり、夢十は跡形もなく消えていた。
「はぁ、最悪だ。もー!これだから僕は!良くない良くないなぁ。」
「クアルノフ様!この二人は以下がなさいますか?」
「んー?誰?」
「どうやら野良の魔法使いのようですが…」
「野良?今どき無所属なんて、珍しいね。」
「あたしらは巻き込まれたんだ!あの童貞やろうによぉ。」
「童…?あはは!彼のことね。」
僕達は事情を話した。
「驚いたな、君たちは不老不死なのか。」
「はい、そうらしいです。」
「あんた魔女って言ってたか?ワリィけど女にゃ見えねーぞ?」
「あぁ、僕は男だよ。魔女っていうのは称号で、男も入れるんだよ。」
「魔女ってなんだ?」
「魔女は、僕が言うのもなんなんだけどね、現存する魔法使いで、魔法の極地に達した魔法使いが呼ばれる称号だよ。」
「魔法の極地?」
「あぁ、魔法の極地っていうのは、説明するとなると少しむずかしいな、まぁ本当にざっくり話すと、魔法の個性を極めた強い魔法使いだね。」
「わかりやすい!!あたしでもわかるってあんたやるな!」
「ちょっと!その話が本当ならこの人相当すごい人だよ!ごごごごめんなさい!この子ちょっとバカで。」
「あはは!大丈夫、僕は気にしないから。あっ!そういえば名乗ってなかったね。
僕は、光の魔法使い、ドルーマ・クアルノフだ。」
「光…なんかすごそうだな。」
「だからすごいんだって。」
「さて君たち、さっきの話によれば、神の体を探してるって?それなら″世界魔法連盟″に入らない?そのほうが動きやすいと思うんだけど。」
「え?いいんですか?」
「もちろんいいよ。こちらとしても魔法使いが二人も入ってくれるなんて願ったりかなったりだね。」
「あーっと、その、あたしらが連盟?に入ったら、なんかすることあんのか?」
「いいや?もし君たちが連盟に入ってくれるなら、君たちはパーツ集め専門にするよ。もちろんサポートはしっかりするよ。」
「僕達二人はそのパーツ集め専門の部門に入ればいいんですね?」
「ああ君たち二人のための特設部門で君たち二人だけだよ。ごめんね、まだ君たちを信頼しきれたわけじゃなくてね。他の魔法使いを失うわけにはいかないんだ。
まぁ、できる限りのサポートはするから。」
「信用できないならなおさら監視をつけるべきでは?」
「そうだね、しかし安心しなさい。監視は魔法で行えるし、今の君たちなら監視で巻かれることはないと思うから安心してね。」
「……そうですか。わかりました。」
「そうと決まれば、これを渡しておこう。連盟の証だ。」
「バッジか、ありきたりだが悪くねぇな!」
「ありきたりかぁそう言われたらそうだね、今度改良案をだしてみるよ。その時は君の意見をぜひ聞かせてほしいね。」
「おう!任せろ!あたしが最高にかっけぇのを作ってやんよ。」
「あはは、頼もしいね。あ、あとこれも渡しておくよ。」
3まいの紙を手渡してきた。
「これは?」
「神のパーツ保持者のデータだよ、それと現在判明してるパーツ保持者の情報もあるから、すぐにでも向かってもらえるかな?」
「え?もう行くの?」
「あぁ。君たちには時間があっても、僕達にはあまり時間がなくてね。入ってそうそう任務に向かってもらうのは気が引けるけど、頼まれてくれるかい?」
「わかりました。」
「まぁわかったぜ。で。あたしらの最初の相手は誰だ?」
「君たちが最初似合うのは、砂の魔法使い″ファールバルト・デッキンベルト″。
神の左足保持者、居場所は…」
〜現在〜
「エジプトだとぉぉ!?」
「一回着てみたかったんだけど、まさか移動手段が徒歩とはね。」
「サポートはするって言ってただろうが!!」
「さて…進もうか…。」
「わーってるよ!」
そう言うと二人は砂漠を突き進む。




