52 国王様!だーい好き!
国王様!だーい好き!
目の前にいたお団子頭の令嬢がそう言って俺の胸に飛び込んでくる。
よく男をわかっている。甘え上手な女だ。
元々の貴族ではなく。アスピダの関係者として急遽誕生した貴族の令嬢だけあって純粋培養な貴族令嬢よりも男の扱いに心得があるのだろう。
はっはっはっ!うい娘よ~!
上機嫌で笑い声をあげた
ルーくん!ルーくん!
はははははは!最高だ!最高だぞ!
アスピダの団長をしていたころに実は気になっていた新人の女戦士だ。
トゲトゲしく近寄りがたかったが財も名声も手に入れたいまこんなものだ!
金がほしければもっと媚びて見せろ!思うがままよ!
優しくされてちょっといいかな~なんて思ったけどエルマーなんてブスブスブスあんなブスどこにでも転がっている!気の迷いだ。
俺はこの美女たちをつかむぞ!じゃあなエルマー!せいぜいエッフェナー領で幸せになりな!
そう決めるや否や俺は女と女を両手に抱き込んだ。
決めた!俺はこの見目麗しき二人を妃にめとる!祝言をあげるぞ!
そう宣言するや、慌てる側近たちがうろつき出す。
そのとき俺の目の前に美しい女が現れた。
誰よりも美しいその女は言った
ルース!ただいま!
あまりの美貌に見惚れてしまうほどの美だ。
誰だあの令嬢は?
見たこともないぞ。
周囲の人間も噂をはじめ会場がざわつき始める。
その女は一言で言い表すならよく磨いたガラスのような透き通る純真だった。
一種の美を突き詰めた人形のような美貌。
絶世の美女だ。
美女は言った
見てわからない?あなたのエルマーよ。
信じられない。何を言っているんだ?この女は
あなたのエルマーだってばあ~。
そう言ってエルマーは俺の両手から女たちを振りほどくと順に突き飛ばして客人の中へと投げ落とした。
きゃあ!
わ!
小高い玉座の台から転落していく令嬢たち、慌てて客人たちが令嬢を抱き支えた。
それで非難の目を向けるものがいても国王の権力を前に黙るしかあるまい。
そんなことはどうでもいい。
それよりも俺は目の前の美女を見た。
見違えた?それとも惚れ直した?
そう言ってエルマーは色っぽく笑った。
俺の首に腕を回すと胸が鼻先をこすりそうな距離まで寄って来る。
ほのかに甘い香りが鼻孔を満たす。
私ね。エッフェナー領の莫大な富を利用して世界中から優秀な魔法使いをかき集めたのよ。
あなただけのために全身を隅々まで魔法で作り替えて絶世の美を得たのよ?
誰よりも女らしい心と、誰よりも女らしい体と、誰よりもあなたに捧げる想い、を用意してあなたに会いに来たの。
それなのにどうしてこんなに妃候補を集めているの?
そ、それはだな・・・。
ま、まずい。ここでお前のようなブスを見捨てて美しい女を妃にしようとしていたなどと言えばエルマーは手に入らない。この女が俺から離れていってしまう。
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俺は唖然として二人の姿を見ていた。
見ていてわかる。
ルースは必死に言い訳を考えているのだ。
エルマー、俺は・・・最初からお前だけを見ていた。
ルースは相当頭をひねっているのか、顔を青くしながらしどろもどろに話し始めた。
・・・は・・・は・・・華は・・・華の中にいることで・・・より引き立つ・・・。そしてお前こそが・・・真の華なのだ・・・。
ルースの言葉は支離滅裂ではあったが。
エルマーはふふ、と小さく笑い。ルースの頭をゆっくりと撫でた
わかってるわ~。わかってるのルース、気の迷いなのよね。私があなたにふさわしいかを試した。それだけのことなのよね?そんな心配いらない。私はずっとあなたのものだったのに。
そうルースに語り聞かせるエルマーの目はどこか盲目的ですべてをルースに捧げる究極の献身だった。
ルースも夢中になっていた。
エルマー・・・。俺は・・・お前を・・・愛しているぞ・・・。
ハ、ハハ、ハハハハハハハ!誰ともなく笑いの声をあげると
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拍手があがった
おめでとおおおおルーース!
プッチョがより一層大きな声で祝福するとさらに拍手が巻き起こる
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拍手が止み、静寂が戻ってくると
許せない・・・。
誰かがつぶやいた。
背後に強大な魔力を感じ取り、勢いよく振り返るとガーネットが立っていた。
ガーネット!
彼女はぶつぶつと何か言葉をつぶやきながらルース達の目の前に歩いていく。
ルースは言った
ガーネット?
許せない・・・許せない・・・許せない!どうしてその女なのよおおおお!私のほうがそんな女よりも美しかったのに!ねえ、ルース!どうしてよおおおおおおおおおおおおおお!
ガーネットの体が異形の怪物へと変身していく。
バキバキバキバキ!
まるで枝が急速に成長をとげるような音を立ててガーネットの原型は崩壊していった
緑と紫色のガスの体、枝のような両腕、肉でできた8枚の裏返しのスカートが腰から持ち上がり開きかけた花のつぼみのようになる、横幅3cm縦幅4mほどの細長いウサギの化け物の頭を持つ怪物が現れた。
きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
いやああああああああああああああああああああああああああああ!
会場中から悲鳴が上がり、引き潮が引くように客たちが部屋の隅へと避けていく。
変わり果てたガーネットがうなり声をあげた
ビュラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
そのとき俺は気が付く。
これは・・・魔王の力か!
まさか、モードレッド国王との戦いで魔王の力に呑まれた影響か!
城中の衛兵たちが駆け込んでくると槍を構えてガーネットを取り囲んだ。
大勢の衛兵たちがわずかに安堵する会場の客たち
衛兵が叫ぶ
みんな!油断するなよ!
よせ!
俺はそう制止するが聞く耳を持つわけもなく立ち向かってしまう
はあ!
槍を振るった瞬間に鋭く伸びて来た腕が衛兵を貫く
マッーク!
おおおおお!があああああああああああああああああああ!
マックが血反吐を吐きながらブルブルと震えている
それを見た客たちは恐怖に絶叫した
いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいあああああああああああああああああああ!
わあああああああああああああああああああああああああああああああ!
そんな・・・。
いやああああああああああああああああああああああああああああああああ!
いくつもの悲鳴上があがり
胸骨を粉砕され悲鳴をあげると串刺しにされ持ち上げられてしまう
ジョカやれ!
ふん!
ジョカと呼ばれた戦士が槍を投げるもガスの体を通り抜けむなしく床に落ちた。
ジョカ目掛けて緑のガスが迫ると
ぶああああああああああああああああああらああああああああああしゃ!
ガスが発火、高温の炎が燃え上がり火だるまになったジョカがドロドロに解けていく
それを見た客たちがさらに悲鳴をあげる
いや!
きゃあ!
あああああああああ!
いやああああああああああああああああああああああああ!
ガシャーン!シャンシャンシャン!
高級ワインボトルの割れる音が響き。食器台がずり落ちる音が響いた
ガーネットの肉のスカートの中からビン!とベロが伸びると、衛兵の足に素早く巻きつき、軽々と持ち上げてスカートの中へと引きずり込もうとする
あ!あああああ!あああああああああああああああ!
ムック!
慌てて仲間がムックの手を引っ張り、後ろの仲間たちに向かって叫んだ
手を貸せ!
ムックを救い出そうと生き残りたちが全員でムックの手を力任せに引っ張る
わ、わ、わあああああああああああああああああああああああああああああああ!わああああああああああああああああああああ!
やめろおおおおお!
力ではかなわずそのままスカートの中へと引きずり込まれ血しぶきをまき散らしながらぶしゃぶしゃと食われてしまう。
デロデロのぬめぬめのテラテラのグシャグシャな血が客の女の顔に降りかかると
いやあああああああああああああああああああああああああああああああああ!
口の中まで真っ赤にして女は叫んだ
それがさらに恐怖を呼び客たちも悲鳴をあげる
ひいあ!
ひいあああああああああああああ!
いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!
ひゃあああああああああああああああああああああああ!
かえ!
わえわえわえ!
大勢の悲鳴と何かの声が響き
無残にも血が飛び散った
やめてええええええええええええ!
パパー!パパー!
いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!
にげろおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
衛兵たちまであまりの恐ろしさに逃げ出してしまう
すると今度は逃げようとする観客たちまで襲われ出す
完全に暴走している。
いまの彼女はただ破壊衝動に突き動かされ、我を失っていた。
やああああああああああああああああああああああああああ!
ひゃあああああああああああああああげえええ!
ぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!
ぶっは!
ぎじい!
ガーネットの巨体が走り出すと踏みつけられた人々がめちゃくちゃに殺されていく
よせ!ガーネット!
俺は人込みをかき分け双剣杖を構える。
ガーネット突進を双剣杖で抑えた
ビュラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
!
くう・・・
突然、目まいがした
次の瞬間
ぐあ!
巨体で叩きつけられそのまま吹っ飛ばされてしまった。
凄まじい怪力だ。
体中がだるい・・・ま・・・待ってろ・・・ガーネット!必ず救ってやる!
俺はふらふらになりながら立ち上がると双剣杖を構え、詠唱を開始する。
ビュラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
本能的に脅威を察知しガーネットが魔力を練り上げる
お前を傷つけたくはない。黒魔術で威力を抑えて・・・しかし、それでは魔王である彼女を止めるには弱すぎる。それに会場にはまだ逃げ遅れた人たちが、どうすれば!
ビュラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
迷っている間にもガーネットは魔法を練り上げ近づいてくる
やるしかないのか!
双剣杖を構え
精神を集中させる
はあああああああああああああああああああああああああ・・・ゴハッ!ゴハッ!
強烈な吐き気がして手で口をおさえると口から血が出ていた。
く、苦しい。
俺は思わず片膝を地面についた
ぐ!まだケーゴメ・カイダロスとの戦いの傷が癒えていないのか・・・。
顔をあげた瞬間目の前にガーネットのガスが迫る。ガスは泥色に変色して一気に燃え上がった
しまった!
うああああああああああ!
全力の魔法を叩き込まれ5000度の炎で燃やされると俺は気絶してしまった。
・
・
・
・
・
・
ガーネットは邪魔者がいなくなると平静を取り戻し、ついにルースをとらえた。
ルース・・・許さない!ゆるさなああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああい!
ビュラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
ガーネットがルース目掛けて頭から突っ込でいく。
次の瞬間、エルマーの体を真っ二つに引き裂いてルースのいた椅子を粉々に砕いた。
きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
わああああああああああああああああああああああああああ!
逃げろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!
間一髪逃げ延びたルース、悲鳴をあげ尻もちをつき、後ろ手によちよちと地面をはう。
目は真っすぐにガーネットを見上げたまま離せない。
ガーネットの頭から料理の真っ赤なパイがずり落ちた。
ビュラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
ルースは悲鳴をあげた
ガーネットが腕を振りかぶり凶器が迫ろうとしたそのとき。
ガーネットの一撃を受け止めたのは突如、浮遊したエルマーの頭だった。
エルマーは切断された体のままガーネットの攻撃を弾き飛ばすと言った
ルースを傷つけるなんて許せない!
エルマーの周囲の魔力が増大し、上半身と下半身の間に神経のような肉の糸が無数に現れると少しずつ合体していく
そのあまりの恐ろしい光景にルースは息も絶え絶えに悲鳴をあげる
はぁ・・・ふぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!ああああああああああああああああああああああああああああああ!
あああああああああああああああああああああああああああああああ!
ルースは変体していくエルマーを見てさらに絶叫した
美しかった顔は変形していく。
腕と足の関節が3段階に増え、6本脚で立ちあがると岩石のような体に赤い目が5個頭部に現れ、エビに似たしっぽが20本生え。細長い甲殻類を思わせる化け物が姿を現す
エルマーの絶世の美貌の正体とは魔王の力で体を変質した結果でしかなかったのだ
胸元に現れたエルマーの人間の顔面だけが言葉を離した。
この力で私は美貌を手にした。あなたにはできないけどね!
ビュラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
ガーネットが激怒しエルマーに戦いを挑む
プシャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
エルマーも咆哮するとついに激突した。
よくもおおお!エルマーのくせにえええいいいいいいいいいいいいいいーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
ビュラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
ずっと嫌いだった!ガーネットなんて死ねばよかったのよおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーー!
プシャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
客たちの阿鼻叫喚が響き渡る
きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
ある者はドレスが避けようとも走り続け
うわあああああああああああああああああああああああああああああああああ!
ある者は隣の子供を突き飛ばし
きゃああああああああああああああああああああああああああ!
ある者はただただ恐怖に叫び
うぼえーーーーーーーーーーー!
ある者はあまりの光景に嘔吐した
ああああああああああああ!あああああああああああ!
錯乱した者は目の前の光景を遠ざけようと意味もなく両手をさまよわせ顔を覆い
きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
ある者は突き飛ばされた拍子に七面鳥とサラダの料理に転倒した
わああああ!
きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
ルースの顔に血しぶきが降りかかる
こ、腰が抜けて、たてねえ・・・。
ルースは少しずつ地面を、はいずった
それがはからずも二人の魔王の戦いを回避する結果を生み出し
うう、死にたくない・・・死にたくない・・・死にたくない・・・。
部屋から逃げだすことに成功したのだ
いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
ルースが逃げ出したあとも部屋からは殺される客たちの地獄の悲鳴が響き渡っていた
・
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倉庫からしこたま持ってきた高級ブランデーの木箱を床に置くと
大量の高級ブランデーを壁に叩きつける!
ガシャーン!ガシャーン!ガシャーン!ガシャーン!ガシャーン!ガシャーン!ガシャーン!ガシャーン!
さらに大量の高級ブランデーの詰まったタルのせんを、キュポ!開け、ジャバジャバジャバジャバとまんべんなく床にふりかけていく
部屋の中が酒の甘ったるいにおいで満ちた
よくブランデーがいきわたったのを見越して
震える手でカーテンを引き裂く。
ビリリリイ!
こんな!こんなことありえない!ありえない!俺は生きる!生きるんだ!
カーテンの切れ端を暖炉に刺さったままの火かき棒に巻きつけるとブランデーをふりかけ火をつけた。
ぶわああああ!
燃え上がるたいまつを眺めてルースはニヤ、っと笑った。
その笑みは生きようとする生命の、醜悪なまでの生への渇望だったのかもしれない。
これで終わらせてやる。ガーネットもエルマーも!醜い化け物どもめえええええ!
走りながら金貨数枚かけて作られたであろうシルク100%、特注品の高級カーテンに次々と火をわけていく。
燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!
燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!
燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!
燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!
燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!
燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!
燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!
燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!
燃えろ!燃えろ燃えろ燃えろ!燃えろ燃えろ燃えろ!ゴフッ、
のどがむせるほどに燃えろと叫び続け
それでもやめずに唱え続けた
燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!
燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!
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燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!
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燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!
城中に火が渡った。頃合いだろう。
岩が多面積を閉める部分がいまいち燃えていなかったがそれもこの城中の炎で高温の釜戸と近い温度にできるはずだ。
城中が火に包まれた。
これならあのガーネットやエルマーでもひとたまりもないだろう。
ニヤニヤとした笑いが止まらない。あとは城から逃げればいいだけだ。
なに俺は国王だ。英雄ルースだ!民衆は俺についてきてくれる。城ならまた建てればいい。
いまは炎にまかれる前に逃げよう。
そう思い走り出す
ボオワアア!
うわあ!
炎に巻かれた。
クソ!
火は燃え広がりルースの周りを満たしていく
これじゃ逃げ場が・・・!
退路を断たれ立ち往生していると
ドス、ドス、ドス、足音が響いて来る
まさか・・・?
恐る恐る、暗闇の向こうに目を凝らすと炎の向こうから何かが近づいてくる
ルース~。
炎の中からエルマーの姿がくっきりと見えた。
さきほど見た腕と足の関節が3段階に増え、6本脚で立ちあがると岩石のような体に赤い目が5個頭部に現れ、エビに似たしっぽが20本生えた。細長い甲殻類を思わせる化け物が姿を現していた。
う、う、うわああああああああああああああああああああああああああああ!
半狂乱で走り出したルースは炎の中へと飛び込み、
ぐあああああ!
わずかに火だるまになるも地面を何度も転がり火を消した。
全身にやけどの痛みが走るも、それすら無視して一目散に走り出す
声は背中から迫って来ていた
ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、
ねえ、ルース・・・どうして?どうして城に火を放ったの?中には私もいたのに、ガーネットと一緒に私も殺そうとしたの?
うわあああああああああああああああああああああああああああああああああ!うわあああああああああああああああああああああああああああああ!
私を見捨てないで~!
プシャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
エルマーの醜い咆哮が俺を追い越した。
背中にいる!すぐそこまで追って来ている!
ドス、ドス、ドス
走り、何度も角を曲がるとドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、
どこおお~・・・。ルース!ルース!あなたにすべてを捧げたのにいいいい!
はあ・・・はあ・・・はあ・・・。
何とか追跡を巻き噴水広場まで来ると、半泣きになる
こ、ここまで来れば!
ルース!
突然、ガーネットの声が響くと
ドバアアン!
目の前の噴水にガーネットの巨体が降って来た。
ビュラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
うぇあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
ルースは絶叫して走り出す
エルマーだけでなくガーネットも押し寄せルースを追いかけて来た
王宮の花の園は緑でできた迷路だ。
そこを必死に走り続ける。
ああああああああああああああああああああああああああ!えええええええええええええええええええええええええええええええん!あああああああああああああああああああああああああああああああ!
ぎゃあおおああああああああああああああああああああああああああああああああ!
死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。
あてどなく、闇の中をかきわけ光を目指す非力な少年のようにのどの渇きも忘れて一心不乱に走り続けた
それから。追跡はまる一晩まる続き、ルースはひたすら走り続け、やがて山へと逃げ込んだ。
それでもルースは走り続けた。
よくあるおとぎ話の絵本に書かれているような三日三晩走り続けたなどという言い回しを実際にやってみせた。
それから10年後、とある村では噂が流れる。
年老いた骨と皮だけの老人の化け物が山の中の小屋に潜んでいる。
いわゆる怪談話だ。
それがルースの末路であることをゼロスは10年後、ある街娘の噂話から聞くことになる。
・
・
・
・
・
・
きしむ体で目を覚ますと病院にいた
いつの間にか気絶していたようでどうやら誰かに救護されたようだ。
全身が痛い。
目を覚まして、すぐ横に立っていた医者が言った
勢いよく起き上がろうとすると胸を抑えつけられた
落ち着いて!動かないで!まだ無理ですから!
あれから数週間がたっています。まだ安静にしていてください。生きているのが信じられないほどの大けがだ。
そう言われ起き上がるのをやめると医者は手を離した。
突然声がかかる
先生!急患です!
わかった!
医者は別の患者を見に部屋から出て行ってしまう
くっ・・・。
痛みに耐え、立ち上がると医者の言うことを無視して俺は歩き出し出口に向かった。
病院を出るとデュシス王国の病院だとわかった。
ここからでも燃え落ちて黒焦げになった城が見える。
すべては悪い夢だったんだ。
俺はそんなどうしようもない気持ちになった
俺たちは世界を救ったはずなのに・・・どうしてこんなことになった・・・。
城から離れた場所に火の手は回らなかった。
街には平穏を取り戻した人々が普段どおりに往来している。
大魔法陣ゾーイ・マザの影響で多くの人々が命を落とした。それでも万を超える人口だ。いずれ復活するだろう。
なんのけなしに歩いていると派手な服を着た女が歩いてくる。
一般的水準に照らし合わせても美人に分類される女だ。
ドレスと半透明の薄い布を肩に羽織っており、ヒールをはいた何とも艶やかな女だ。
格好からしておそらく娼婦だろう。
彼女は隣にいた男と腕を組み歩いていた
隣を過ぎ去ろうとして
ねえ~、いいでしょ~。
聞き覚えのある声がした。
この声は・・・!
振り返り顔を見る。
相当化粧を濃くして様変わりしているがわかる。
エルマーだった。
彼女と一瞬だけ目が合う。1秒にもみたない一瞬の視線の交差だった。
それからエルマーは、あとでね。と男に告げて分かれると
俺の前まで歩いて来て、首に腕を回してもたれかかりながらこっちを見た
ゼロスちゃん!お姉さんといいことしない?そう言って太ももを足にこすりつけて来た。
やめろ!
軽く突き放すと
エルマーは器用にバランスを取ったあとで
ふふふふふふふふふふふふふ!と不気味に笑い出し俺の横を歩いて行ってしまう
あははははははははははははははははははははははははははははははははははーーー!あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははーーー!
こちらを一切振り向かずに高笑いをあげながら行ってしまった。
俺は過ぎ去る彼女の背中を見ていた。
彼女は一切振り替えられなかった。
魔王となり果てた彼女は顔を変え、これからも男たちの精をもてあそび夜の女王として君臨するのだろう。
俺はまた・・・守れなかったのか・・・。
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マルベリーの生死が不明なままアナトリ・キオ王国の城下街に到着するとあちこちの建物が燃えていた
道にはデス・ムント・デスの眷属たちの死体がいくつも転がり屋根の上にしなだれかかっている。
どれも頭や体を切り落とされ活動を停止しているようだ。
王国の騎士やサイフォスが戦闘を繰り広げたのかもしれない。
人気がない道を進み続け。
街中の広場へと向かうと人だかりができていた。
なんだ?
ぐあ!
小さく悲鳴が聞こえた。
興味がわき人の輪の中へと入ると
うああ!
成長して少し大人びた見た目になっているが間違いない。なんと、プラチナが叫び声をあげていた
助けてええ!誰か!助けてええええ!
見知った防具屋の親父がプラチナの手を無理矢理引っ張っていく
来い!化け物め!ぶっ殺してやる!
すさまじい形相でプラチナをにらみつける防具屋の親父、その目は本気でプラチナを殺そうとしていた
いやだああああああああああああああああああ!
ドゴ!
防具屋の親父の痛烈な拳がプラチナの顔面を打ち付ける
あう!
地面に倒れ
ツー、と鼻から一筋の鼻血がつたっていた
何が・・・起きているんだ・・・。
俺はあぜんと騒ぎを傍観してしまう。
防具屋の親父が言った
もうようしゃしねえぞ!立てええ!
武器屋の親父が言った
おい!なんか光ったぞ!
それは日光が乱反射しただけのアクセサリーだったのだが。
道具屋のハゲ頭は言った
魔法を使う気か!本性を現したなあ!
道具屋のハゲ頭から思いっきりの一撃叩き込まれると足が踏みつぶされる
うああああああああああああああああああ!
プラチナは絶叫しはいずりながら逃げていく
痛い・・・!痛いいいいい!
果物屋の白服が言った
逃がすかよ!
胸倉をつかみあげ立たせると反対方向に突き飛ばされる
ドシャ!
ぬかるんだ泥の中へと落ち泥にまみれた
よくも・・・息子を!
おぞましい!
穢れだ!
やじ馬たちから口々に暴言が聞こえて来る
仲良しだった本屋の親父もアクセサリー屋の女も、街に住む見知った大人たち全員がプラチナを取り囲みにらみつけていた
まるで俺をさげすんでいたときと同じおぞましい怪物を見る目だ。
プラチナは泣き叫んだ
いやああああああああああああああ!いやあああああああああああああだあああああああああああああ!
プラチナは泣き叫びながらフラフラと立ち上がる
手足も顔も傷だらけだ
助けてえええええええええええええ!助けてええママあああああああああああああああああああ!
おばさんは重たそうになみなみとしたバケツを持ってくると憎しみを込めた目と顔でプラチナをにらみつける
お前にはこれがお似合いだよおお!
バサアアー!
大量の液体をぶっかけた
プラチナの体は全身真っ赤に染まった
豚の血だ。
プラチナは恐怖と異臭に怯えている。
防具屋の親父はプラチナの髪の毛をつかむとにらみつけながら言った
お前が化け物だってことはわかってんだよお!それだけじゃねえ!その証拠にこの生き残りの男が証言してる!
そう言っておどおどと顔も知らない男が現れた
こいつはデュシスから逃げて来た!
お前の親父が化け物を使ってデュシスで大勢殺したこともわかってんだ!この街の大惨事もすべてお前ら親子のしわざだろうが!
武器屋の親父が容赦なく拳を振るう
おらあ!
ドス、重い一撃が腹に叩き込まれる
うっ!
いやだああ!いやだああ!
今度はこっちだ!おらあ!
本屋の親父が右スイングがプラチナの顔面をぶん殴る
だふ!
おらああ!寝るんじゃねえ!
髪の毛をつかみあげ顔をあげささせると
果物屋の白服がさらになる右スイングが顔面をぶん殴る
がは!
アクセサリー屋の女が野次を飛ばす
やっちまえええ!
四方八方から拳がくりだされていく
おらあ!死ねやおらあ!
ご!ば!む!ぎ!だ!ど!ふ!あ!ぶ!げ!
ふざけやがって!この淫売が!
ぶえ!
俺たちを殺そうなんて!なめやがってええ!
ガハッ!
うう・・・うう・・・うううううう!
プラチナはダンゴ虫のようにまるまって痛みに耐える。
顔は血だらけになり口の中から大量の血が流れ出ていた。
歯は折れ、唇の端が切れ、鼻の穴からも出血し、頬と目の上にはいまにも膨れ上がりそうな青いたんこぶができていた。
ひどい出血だが血だらけの体では一目見て判別はできない。それほどまでの暴行だった
それはまるで自分が人々から受けた迫害と重なって見えて俺は耐えられなくなっていた。
・・・やめろ。
いつしか俺はそうつぶやいていた
おらぁ!
ぐぁ!
そいつは俺とは違うんだ。
このお!
げっ!
毎日寺院の子供たちからいじめられてそのたびにピュエロスが寺院に呼び出されて
死ねや!
あぐ!
寺院の仲間たちから嫌われないよう汗だくになるまで聖術の練習をして、
くらえ!
おえ!
仲直りするためにお菓子を作ったり、
おらぁ!
がっ!
仲間たちに教えるために剣術を学んだり
ごらぁ!
いぎ!
俺の情けない暴言もピュエロスがなんとかフォローしてくれて・・・ようやくここまで生きて来たんだ。
くのお!
くあ!
ダメな俺なんかとは・・・違うんだ・・・!
死ね!
あぁぁ!
俺たちの大事な・・・大事な・・・。
お前が化け物かどうか!全身の皮を剥いて中身を確認してやる!こっちに来いい!
防具屋の親父がプラチナの髪の毛を引っ張りひきずっていく
プラチナは必死に暴れた
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
痛いいいいいいいいいいいい!痛いいいいいいいいいいいいいいい!助けてぇ!助けてえええええええええええええええええええパパあああああああああああああああああああああああ!
やめえろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
気が付けば俺は防具屋の親父をぶん殴りプラチナの体を包むように抱きしめていた
お前!戻ったのか!
防具屋の親父は仲間たちに支えられなんとか起き上がるとわずかに後ずさる。だが顔を真っ赤にして俺を見下ろしていた
さては俺たちを殺す気だなあああ!
しねぇぇ!
振り下ろされる蹴りや木の棒
おらぁぁぁぁぁ!
うらぁぁぁぁぁ!
全身をいくつもの暴力が襲った
どれも本気で殺そうとする一撃だった
ただ、ただ、むなしかった。
人々を救い、人々に追い詰められ、地の底まで落ち、それでもなお人々を救って人々から疎まれる。
プラチナは俺の腕の隙間から獣性をむき出しにした男たちを見ていた。
後ろではやしたて蔑みと嘲笑をする女たちを見ていた。
残酷な好奇心から遠巻きに自分たちがいたぶられるの様を見て楽しそうにしている子供たちを見た。
俺は涙を流す我が子を強く抱きしめると語り掛けた。声が震え、泣きそうだった
プラチナ・・・これが人間だぁぁ!
世の中みんな・・・敵だ!
よく覚えとけ・・・よく・・・覚えとけえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!




