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46 いいんです。本当のことですから。

夜、エルマーはルースの部屋の前で2時間近く立ち往生し、そわそわとしていた。

昼間の騒ぎとルースの落ち込んだ姿を見てやきもきしていからだ。

ダンテ達からも元気付けてやってほしいと言われているが。言われるまでもない。

元気づけるために最近では何度も弁当を差し入れて二人で食べることも多くなっている。

きっかけは些細な事でも昼食をこまめに作りルースを支えていた

エルマーは気が付かない間にルースに対して盲目的な愛情を捧げるようになっていた。

それは美しい慈愛の心から来るものだった。

よし、今日こそは・・・。

胸に秘めた思いを決意に変え、いざ扉をノックする

コンコン

ルースいる?ルース?

返事はない。けれど密かな恋心を抱く愛しの彼、その彼が扉に入って行くところを目にはしていた。

入るよ?

一言断りを入れ部屋に入るとベッドの上でルースはひとり泣いていた。

ボロボロになったルースはまるで自分なくしては生きていけない寂しがりの少年のように見えた。

あの愛に植えた少年を自分の愛でくるんであげたい。

乾いた枯れ枝のような彼の心に水を注ぎ、うるおし、かいがいしく世話をして、可愛がってあげたい。

エルマーはたまらなくなった。

ああ、ルース。可哀そうなルース、ガーネットのためを思ってあなたはこんなにも心を砕いているのに。

え、エルマー・・・?

エルマーはルースの隣に座ると優しく髪を撫でた。

胸元のボタンをほどき胸の谷間を解放していく。高級香水のいい香りが漂い出す。

私でよければあなたの欲望を受け止めてあげる。全部吐き出していいんだよ?すっきりしよ?

そう言ってルースの頭を両手で優しく包み込むと胸に鼻を押し付け

ねえ、しよ。

誘惑する

エルマー!

きゃ!

ルースはエルマーをベッドに押し倒すと服を引き裂く

あ、ちょと!ルース!落ち着いて!くすぐったい!あはは!

うああああああああああああああああああああん!うあああああああああああああああああああああああん!

ルースは泣き叫びながらすべてを吐き出した。エルマーの優しく包み込むような愛情は金で体を買った女よりもはるかにルースの心に食い込んだ。

ガーネットへの想い、悲しみ、絶望、罪悪感、強がっていても添い遂げると決め愛した女をあっさりと見捨ててしまう自分の打算的かつ不甲斐なさも、醜い気持ちをすべてエルマーの体に叩き込んだ。

男と女が生まれたままの姿になると肉が生まれるものだ。

人はそれを子供と呼び希望のように称えたがる。

ことが終わり布団の中でエルマーはルースの頭を優しくなでながら言った

泣き虫さん、でもいい子ね。いい子、大丈夫・・・安心して・・・全部受け止めてあげるから・・・私がルースを守ってあげる。

そうして夜がふけた。

ルースがガーネットのもとに来なくなって数週間が立った。

俺はルースに代わりガーネットの世話をする。

これ以上、このことについてルースを問い詰める気はない。あいつも苦しいのだろう。

ガーネットいい天気だ。ほら、外の日差しがこんなにも降り注いでる。

今日は青い鳥が飛んでいる。3羽か・・・仲がよさそうだ。

いつものようにガーネットの部屋を掃除し終え、昼飯を作りに部屋を出ようとするとガーネットが言った

マスター・・・。ルースはどうして来ないんですか?

もっとも聞かれたくないことを聞かれた

彼女も信じたくはあるが、こう月日が経つと確信めいたものを抱かずに負えないのだろう。

ルースはガーネットを見捨てた。それを判断するには十分な時間と期間だ。

たとえ俺自身ルースが戻って来る可能性を信じたくても、ガーネットがどう思うかはまた別の話だ。

だが、とてもじゃないがガーネットに向かってあいつはお前を見捨てたから来ないんだ。などとは言えなかった。

体調が悪いんだ。あいつ、お前のこと気に病んでて・・・最近、風邪が酷いんだよ。

そう・・・ですか・・・でも・・・それ嘘ですよね?

そ!そんなことは・・・ない・・・。

ありますよね?

執拗な追求。ガーネットそれ以上踏み込んで来るな。知ったところでお前が絶望するだけだ。

そんな師の気持ちなど知らずあるいは知ったうえでガーネットは淡々と言った

・・・。

どうして黙るんですか?

・・・ガーネット。

いいんです。本当のことですから。

私、顔が焼けたときもうダメだって思いました。女としての私は終わったんだって、でもルースがいてくれた。それでもいいって言ってくれた。だから・・・生きていられた・・・。

私の心が好きなんだって言ってくれた。でも彼・・・顔半分は大丈夫でも顔全部はダメだったみたいですね・・・。

うう・・・うう・・・。

シクシクと泣き出してしまうガーネット、焼けた涙腺から涙が出ることはなく。泣くことすらできないのに肩を上下させ悲しんでいた。

俺は・・・彼女を抱きしめて支えてやらなければというあまりに軽率な同情心を抱き、師弟以上の愛情を持てない。恋愛感情を持てないガーネットに同情心から間に合わせの愛を与えたからどうなると言うのか。

そして何よりオッぺリアのことを思うと彼女よりもオッぺリアを選んた。

ガーネットはそれから部屋のカギを閉め引きこもり、マスターである俺の出入りすら許さなくなった。

鍵付きの部屋からは夜な夜な彼女のすすり泣く声が聞こえてきて俺は耐えられなくなった。

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