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44 天使

旅を続けるうち新たな街、ダツゴヤ街に来た

ルースはガーネットの手を引くと馬車を降りる

さ、足元に気をつけて

ありがとう。ルース。

食料を買いに行くからあとで合流だ。

マスター、俺たちもついていきます。

そうか、

では我らも

ダンテ達もついてくることになった

エルマーは衣服をたたみながら言った

私は馬車に残ります。

いいのか?

はい。お気になさらず

そうか。

エルマーを残し俺たちは買い物に出かける

食品の屋台をあさり歩き、大量のジャガイモを買っていると

強盗だ!

へへえ!邪魔だ!邪魔だ!

ナイフを手に男が走って来る

ルースがガーネットを背にかばう

ガーネット!俺の後ろに!

寄るな!寄るな!

ナイフを振り回す男、冒険者崩れなのか戦士のようだ

危険な行為だ。二人ならなんとかしてくれるだろう。緊急時にいちいち師匠が出向いていては成長の妨げになる

じーっ、と見ているとルースが飛び出す

はあ!

ナイフを抑えつけようともみあいになり

いいぞ!ルース!頑張れ!頑張れ!と思っているとルースが投げ飛ばされた

うわ!

ルース!

ガーネットが青い顔で叫ぶ

ルースの目の前にナイフが迫る

うわあああああああああああああああ!

ふん!

火花が散る。

鉄の手でナイフを握りしめるように受け止めたのはダンテだった。

余計なことを

力任せにナイフを奪い取ると

おらああ!

前蹴りを腹に叩き込む

男が地面に倒れ込んだ

おさえろ!おさえろ!

ギエーリとアリが手足を抑えつけ騒ぎはおさまった

ほら、立てるか。

ギエーリがルースに手を貸してくれる

ありがとう。ダンテ

気にするな。男ならあれくらい勇敢でなければならん。

へへ。

二人の友情が育まれていく。

不本意だ。いまのはルースひとりで対処できることだったのに

マルベリーの使いから情報を得た俺たちは新たな街ガブリスに来ていた。

この地方の統治を任された貴族の家がある村だ。

中規模集落の最奥には豪華な石造りの館が置かれている。

情報ではこの館のそばで天使を見たそうだ。

聞き込みをしていくも天使の目撃談は聞けなかった。

さて手詰まりだ。次はどうしよう。

ダンテたちは天使の情報を得るため城の内通者に会いに行っているはずだ。

あ、あの!

話しかけてきたのは

女だ。

鼻の頭がそばかすにまみれている

女は不安そうに言った

天使様を探しているって本当ですか?

そうだが何か知ってるのか?

いえ、それなら思い当たる場所があります。ついてきてください!

言われるままに街はずれの洞窟に連れてこられた。

この中にいますよ。

俺はルースのほうを見るルースも俺のほうを見る、俺たちは行ってみることにした。

君はここで待っていてくれ。

女を入口で待たせ、たいまつの火を頼りに俺たちは洞窟の中へと進んでいく

目の前は無限に続く暗闇の世界、生き物をすべて呑み込んでしまいそうな異空間、生き物どころか魔物すらいない。

ピチャン!

水のしずくがしたたる音が響いた

ルースがガーネットを背にかばう

大丈夫、俺が守るさ!

ルース・・・。

俺はそのとき殺気に気が付く。

エルマー!伏せろ!

ぶえ!

俺はエルマーの顔を手で倒すとそのすぐあとにエルマーの顔があった場所を液体が通過する

きいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!

ガーネットが金切り声をあげた

ルースが叫ぶ

ガーネットー!

たいまつの光が照らしたのは顔を両手で抑え激痛にもだえ苦しむガーネット姿だった。白い湯気のようなものが立ち上っている。

それだけではない。

ダンテ達も岩に手足を埋め込まれ抑え込まれているのを見つけた

ダンテが叫ぶ

ゼロス殿!気を付けなされ!

うわああああああああああ!

絶叫するルース

倒れるガーネット

俺は急いでガーネットを抱き起こす

しっかりしろ!ガーネット!

あああ・・・ああああああああ!

苦痛の声をもらすガーネットは口の端からブクブクと小さな泡を吹いている

ダメだ!痛みと衝撃で正気を失っている。

オオオオオオオ!

巨大なスライムの魔物がいた。

こいつ!天使なんていないじゃないか!

ガーネットは次第に白目をむき、ビクビクと痙攣を始める俺は手を握る。回復魔法を!いやそれよりも解毒が先か!クソ!しっかりしろ・・・!ルゥゥーース!

・・・。ルース!何をしている!

俺の怒鳴り声を聞き。はっ!と我に返るルース

薬だ!薬を出せ!

そう呼びかけルースにかばんを探らせる

買い置きの薬が入っているはずだ

ルースにスライムが飛びつく

う、うわあああああああああああああ!

次の瞬間目の前の景色が変わっていく。

村が現れた。

さっきまで洞窟にいたはずだ。

ガーネットやエルマー、ダンテ達もいつの間にか姿を消している

幻術?それもかなり高度なものだ。

ルースはどこかぼんやりとしながらその景色の中をさまよい始める。

ここは・・・家の中だろうか。

周囲を見れば生活感のある部屋が広がっていた

コンコンと何かを包丁で切る音が聞こえる

女は言った

ルース!裏山でキノコ採って来てよ!

あーわかったよー!

あれは・・・ルースなのか?

ルースを幼くした少年が家から出てくる

そのままルースを追って場面は建物の外へと切り替わる

ちっ!母ちゃんも面倒だな。

ルースは文句を言いながらも裏山にキノコを採りにいく。

のどかな川や村、木々やそよ風と言ったところか。

これは・・・ルースの記憶なのか?

ルース!

誰かの声が響くと

あれは!ガーネットたちだ。

幼いガーネットが手を振っていた

ルース!どうしたの?

ああ、裏山にキノコを採りに行けって母ちゃんがさ。

私も行くよ!

二人は登山をしたあとキノコ採りを続けて

帰ろうか。

ガーネットがそう言って下山を始める

カンカン!カンカン!カンカン!カンカン!

鐘の音が鳴っている

この音は!村のほうだ!

ルースたちが急いで村に向かうと

大勢の人間が武器を手に、村に押し寄せていた。

襲撃だ!

家は燃え盛り、人の死体がいくつも転がっている

ティーモスの信徒だ。

殺すのだああああああああああああああ!不信心者どもを!皆殺せえええええええええええええええええええええ!

逃げろおおおおおおおおおおおおおおおお!

わあああああああああああああああああ!

ルースが叫びガーネットの手を引く

二人を追いかけるように頭上をいくつもの炎の弓矢が通過して行った。

ぐ!

見知った近所の知り合いが膝をついて倒れ死ぬ

うあ!

ちぇえええええーー!

ティーモスの信徒たちは、目を大きく見開き、まるで獣の動きで飛び上がった

次々と降り注ぎ村人を切り裂いていく

ちぇええええええええーー!

ひゃああふうううううううーーー!

じょりじょりじょりいいーー!

きゃあああああああああああああああああ!

わあああああああああああああああ!

悲鳴が上がり、大量の血しぶきが吹き飛んだ。

きゃああああああああああああああああああああああああああ!

誰かの悲鳴があがる

逃げろおお!

叫んだ直後、また二人の村人がズタズタに切り裂かれていく

うわああああああああああああああ!

ぎゃあああああああああああああああああああ!

酷すぎる!

ルースは信徒たち目がけ突っ走った

うおおおおおおおおおお・・・わ!

あっさりと切り捨てられ無残に土ぼこりの中に倒れ伏した。

ルース!

死んだのかと思ったら

・・・ごほっ!

覚醒する。

運よく刃は当たらず失神していただけだ。命はあるし傷は浅い、だがルースを動揺させるには十分だった。

わ、わ、わわあああああああああああ!

錯乱し、腰砕けになり、へなへなと駆け出す

ルース!

ガーネットがルースをゴミ捨て場の中に引きずり込む。

そして素早く、古びた布を被せた

二人で震えながら村人が殺され村が焼き払われる光景を見ている。

これはいったいなんだ。

俺はただ震えるルースたちを見た

推測するならあのスライムの魔物の精神攻撃だろう。

ルース!いま助ける!

幻覚には幻覚だ!

暗黒の鎧・スコティノース・パノプリアの胸に手を当て精神を集中させる。

鎧が黒いオーラで満たされる。

鬼畜魔法・ドラゴ・プセヴデスシシス!

鬼畜の幻覚が全長3m牛に似た異形の怪物となって幻覚の中のティーモスの信徒たちに立ちはだかる

ブチャーーーーーー!

鳴き声をあげながら次々と信徒たちを食い殺していく

逃げろ!ルース!

ルースは俺の声を聞き

こっちだ!

ガーネットを引き連れて逃げだしていく

それが幻覚を打ち壊すことになったのか現実の世界が姿を現す。

洞窟の中に景色が戻ると

スライムがルースを呑み込もうとしていた

殺させるものか!はあ!

すかさず双剣杖を振るいスライムを両断

ルース!大丈夫か!

ゴホッ!ゴホッ!

ルースが口からスライムを吐き出していく

は、はい!マスター・・・あ、ありがとうございます!

スライムの腹は透け中には俺たちをここまで連れて来た女が見えた。

そういうことか。

あれが天使だ!

オオオオオ!

魔物の背に真っ白い羽根が生えると本当の姿を現す。

スライムの体内に寄生しているのか。

ルースがスパナを構え

スパナとスライムの中にいる天使の爪が激突した。

エルマー!ダンテさんを!

ルースが戦っている間にエルマーが騎士長たちの拘束を解放していく

はあ!はあ!

果敢に叩くルース

天使相手に未熟なルースが戦えている

成長したな。

天使が魔法を振るうと巨大なスライムが波となって押し寄せた

うわ!

スライムの波を断ち切ったのはダンテだ

ダンテさん!ギエーリさん!アリさん!

ルース!我らと共に行くぞ!

「「はあああああ!」」

天使の攻撃をルースたちは避けながら

そこだ!

次々に天使を切り捨てていく

俺は言った

ルース!教えたはずだ!魔力付与を使え!

はい!

俺の指示を聞き、ルースが黒魔術でスパナに魔力を付与する。

闇のスパナ!はああああああああああああああああああああ!

ルースのスパナが天使を斬り裂いた

オオオオオオオオオオオオオ!

勝利した

戦いが終わるとルースはどこか悲しげだった。

座り込むルース

言わずともわかる過去に打ちのめされているのだ

マスター、俺は・・・必ずティーモスを倒して見せます!

ああ!必ず倒そう!

そう元気付けることにしておいた

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