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43 ダンテ

街をあとにして旅を始めて数週間、馬車に揺られ山を越えた

その間も修行をしつつ川を越え、草原を超え、たまに魔物に襲われる

ダンテさん!

ははっ!ダンテでいいさ。それよりいいぞ!ルース!いまの一撃はだな。

そう言ってダンテはルースに剣術をレクチャーしていく

最近気が付いたことだが、ダンテのほうが俺などよりもよほど師として向いている。

何よりルースが時たまダンテをさん付けで呼んでしまい。

気さくなダンテは呼び捨てでいいと笑って許すそんな光景を何度か見せられた

第一に剣術の教え方がうまかった。

第二に女の口説き方もだ。

ガーネットとの蜜月にどうすれば相手を誘惑できるかをダンテ流に教えてもらい。

ルースはそれらを実践し、それは見事にガーネットを魅了していった。

ルースがダンテに心酔とはまで行かずともカリスマ性を見出しいてるのは間違いない。

いまや言葉でマスターとは呼ばずともダンテはルースの第二のマスターへと株を上げて行った。

俺はと言えば厳しい修行を繰り返し、それでルースの技量をグングン成長させいく。

ただそれが俺を尊敬することとは直結しない。

目に見えずとも心理的な溝を感じる

比較対象がいるとなおさらだ。

弟子を敵から守るためとは言え、その弟子から嫌われるのはさすがにこたえる。

マスターの資質が段違いなのだろう。

自信を無くしそうだ。

俺がそんな情けないことを思いながらルースに対する接し方をゆるめようか迷っていると

ある日ガーネットが倒れ寝込んだ。

揺れる馬車の上では安静にするのも限界がある早めに次の街へ移動してやりたいところだ

ガーネットの額を触る。すごい熱だ。

ルースは心配そうに言った

ガーネット!

エルマーが言った

マスター、引き返しましょう。

それもわかるが。いまから引き返すより、先に進むほうがいいだろう。

これを煎じて飲むといい。

そう言ってダンテが近くの草場から薬草を取ってきてくれたのでルースはそれをすりつぶして飲ませることにした

ほら、ガーネット

少しずつガーネットののどに煎じた薬を滑り込ませる

ゴホッ!ゴホッ!

こぼしてしまった。

ごめん、なさい・・・。ゴホッ!

いいんだ。無理をするな!

でも・・・もったいないから・・・飲むね・・・。

苦そうな顔をしてガーネットは薬を飲み込んだ。これで一安心だろう。

先を急ごう

新たな街コネリーに到着した。

すぐに病院に担ぎ込んだもののそのころにはガーネットの顔半分はどす黒く変色していった。

ルースは勢いよく食ってかかった

先生!治るんですか!

これはコウモリの毒ですね。以前コウモリに噛まれたことは?

そう言われ、思い出すのは水の都カラボキでの化けコウモリだろう。

今晩が山です。

そう言って医者は空中に両手で山を描く

そんな!先生!ガーネットを助けてください!

いや、しかしだね・・・もう治療は完了していて私にできることは・・・。

医者は参ったなと言った風に後頭部をさすると廊下を後に出て行った。

寝ずの晩が来た。

落ち着かないルースはガーネットのそばにつきっきりだ。

エルマーも落ち着かずにそわそわしている。

朝が来る

医者はガーネットの腹に聴診器をつけると診察しながら言った。

一命はとりとめました。冒険者としてこれからも活動はできるでしょう。ですが顔はもうもとには。

ルースが絶望した顔で言った

そ、そんな・・・。

失礼します。

医者はそう言い残して部屋を出て行った。

その日からルースは自ら進んで看病を続けた。

数日が過ぎたころ

はあ!はあ!

ルースが剣を振るい俺はそれをいともたやすく払いのけ弾き飛ばし地面に膝をつかせる

もう一回お願いします!

過剰な練習量、邪念を払い落すつもりなのかルースは何度も俺に戦いを挑みボロボロに負けていた。

まただ。

肉体に有り余った力を放出することで達成感を得てそれにより脳内麻薬を分泌させわずかばかりの報酬欲求で心を満たしたいのだ。

それを意識しているかは別にして、一言でいえば落ち着きたいのだろう。

今日はこのくらいでいいだろう。

エルマー、次はお前の・・・。番だ。と言おうとして周囲を見るもエルマーの姿はない。

今日もサボりか。

しかたがない。あの夜のダンスの目にしていれば言わずともわかる。恋敵であり友人でもあるガーネット、それがあんな状態では思うところがあるのだろう。

ルースが病室を訪れると窓辺のベッドにガーネットが座っていた。

おはよう。ガーネット。

ルース、おはよう。

ガーネットは愛しい恋人にニッコリと笑顔を返す。

風の流れか落ち葉の動きか、自然のさざなみが無言の病室を満たす。

沈黙が流れたあとそれを破ったのはガーネットだった

ルース、もうあなたとは付き合えない・・・。

え?

別れよう。

戸惑うルース、こんなこと言われると思っていなかったのだろう。

ど、どうして!

だってこんな顔の女嫌でしょ?

そう言ってガーネットは美しい瞳から涙を流しす。

ルースは不誠実な男だ。

とても女にだらしがない。

ただよく言えばやや蛮勇の気質が高く。意思も強く、性根はいい男だ。だからだろうか。ルースは言ってのけた。

それでもいい・・・!顔がなんだ!俺は!お前が好きなんだ!

ル、ルース・・・。

ルースの大きな愛情がガーネットを包み込み満たした。

ガーネット愛している。

そう言って二人は互いに抱きしめ合うのだった。

ほどなくガーネットは顔半分に白塗りの仮面を付け火傷を隠した。

ガーネットはルースに受け入れてもらえたことにわずかに自信が持てないのか手をさ迷わせている。

ルースはそんなガーネットの手を引き寄せると自分の腕にからめて手を握った。

俺は少しだけ涙が出た。

人間の優しく純粋な部分を目にできたからだ。

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