3 魔法生物の世界 ダブル・ウィーザード
気がつくと森の中にいた。
いままで魔王城にいたのに・・・。
あの異世界の魔王と名乗る化け物に襲われてからの記憶がない。
ひとまず街へ戻ろう。
そこから歩き出し、違和感を覚えたのは魔物が現れたときだ。
マスターのもとで修行した頃に魔物とは何度か交戦したことがある。
そのどれと比べても明らかに体格が小さいのだ。
前見たものだと身長20cmのゴブリン、身長40cmのゴブリン変異種
そして目の前にいるゴブリンは5cm程度のそう、まるで童話の妖精のような・・・。
つま先で蹴り飛ばしてしまえばそれだけでかき消える命。
赤子、と呼ぶには潤沢な武装のゴブリンたちだ。成人しているのか?
そのとき、視界に人をとらえる
白いローブを着た女が一人、それに屈強な男が十数人いる冒険者らしきパーティーが右から歩いて来ると左から来たゴブリンと鉢合わせる。
●●×v☆!
な、なんだこれは!
◇◇◎!
聞いたことがない言語で会話を始める彼らはゴブリンの一団と戦闘を始める。
見た目によらずゴブリンたちは連携を取りつまようじのような弓矢を射て人間に襲いかかる
?★×◆!
女が何かを叫ぶと空中に水をまとった魔物が出現し発光する
あの発光は!
●×××▼!
女が何かを叫ぶと
次の瞬間、手の平から水の刃が飛び出した
た、タリズマンなしに魔術を行使した!それも何だあの魔術は!
タリズマンなくして魔術を行使するなどありえない!
魔術は魔格、すなわち悪魔やその眷属なしに魔術を行使していることを意味する。
魔力を持つなどフィクションだ。
人は魔格や神格から魔力を借りているにすぎないのだからタリズマンなしに魔術を行使するなど絶対に、絶対に!できない!
まさか彼女も悪魔憑依を?だが悪魔の気配はない!
それにカニンガムは悪魔憑依をするのにタリズマンを用いたがあれはあくまで演出にすぎない。まして、彼ほどの天才はそうはいない。
では、イーリアスの喚起魔術のように儀式を簡略化させる鉄鋼を・・・それともどこかに魔術陣が?と、周囲を見渡しても何もない。
スパン!と両断されるゴブリンの体、鋭利な切り口だった。
何て威力だ!
男たちが叫ぶ
凹凸!凹凸!
凹凸ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
戦闘が終わっても僕は興奮していた。
どう見ても、未知の魔術だ。すごい!すごすぎる!
そう思えば震える手をさまよわせながら女に近寄っていた。
★★★?
あなたの魔術、それは一体!教えてください!
×!
目の前に出てきた僕を見て女と男たちは警戒するように武器を構える
■!◇!●!
何かを言っているようだが、何を言っているのかわからない。異国の人?
そうだ、何か意思疎通する方法を・・・
そのときだった
??●はあ~・・・。
隣にいた男の冒険者が溜息をつくと
スパン!
え!
剣で胸を切り裂かれた。
じんわりとにじむ血液の温かさが肌を伝う
うぶう・・・。
情けない声をあげて僕は膝をつきそうになるのをなんとか踏みとどまる
■!
女が叫び
僕の胸からドクドクと血が出て来る。
く、まさか、こんな、完全に油断していた。
好奇心と、無警戒でここまでの手傷を逐わせられるとは、無様な!
◇■■●×■!
★☆!×××いいいーー!
言い争いをする女と男たち、女を見る男の目が段々と苛立ちを帯びて来る。すると、笑いだす男たち、それを見て女は一歩後ずさると杖を構えた。
どうやら、そういうことらしい。
悪意だ。
普通なら見過ごされてしまう類のありふれた人の悪意だ。
傷は深い。
魔術は回復にも転換することができるが。
この深傷を前に数ミリの傷をふさいで何の意味がある。
伝説の回復魔法があれば話は別だが。
ならば!この数。少しだけ力を見せよう。
僕は護符を手に叫ぶ、
タリズマンよ!我が呼び掛けに応えよ!
パンメガス・スコタディ・スフェラ!
手の内のタリズマンが焼き付くと同時に呪術強化された18mの巨大な闇の玉が飛んで行く。
呪怨魔術による上級魔術だ!
通常のパンメガス・スコタディ・スフェラを軽々と超えた一撃が男たちの一団を木っ端みじんに吹き飛ばす
「「★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★!」」
闇の渦に呑み込まれ、女を除き冒険者たちはなぎ倒された。
急所は外した。全員生かしてある。だが・・・。
ドサッ、膝を地面に付く
僕はここまでか・・・・・・。
自分の命が血と共に流れていく。
気を失った。
・
・
・
・
・
・
ん・・・。
目が覚めると、部屋のベッドにいた。
生きてるのか?と思いキコキコ手を開いたり閉じたりしてみていると
気が付きましたか?
声のした方、横を見ると机の上で何かを書いている女がいた。柔らかな雰囲気の人だ。
あ、あれ・・・僕・・・言葉を理解している。
ええ、彼女の魔法によるものです。
女の指示したほう、窓際に天使が座っていた。
て、天使?
天使だなんて、魔法生物ですよ。
は?
魔法・・・ま、魔法?
魔法です。
・・・。んんーー!!
思わず叫んでいた。
その剣幕に押されてか天使は少し戸惑い気味な顔をする。
魔法ですか?
ええ・・・翻訳魔法ですが。ああ、そうでした。あなたは来訪者でしたものね。
嘘だ。
本当ですよ。
嘘だ。
先ほど見たじゃないですか。
ああ・・・そう・・・ですね・・・。
否定しようのない事実に頭よりも感覚で納得した風に座った
落ち着きましたか?
隣からテーブルでものを書いていた女がやってくる。
落ち着き払ったその仕草はまるで美貌そのものの現れのようだ
しばらく見惚れていると
どうかしましたか?
い、いえ・・・初めて見るもので・・・
あなたに見とれていたわけじゃなく魔法に興味があるんですよー決してスケベな考えがよぎったわけじゃないんですよー紳士ですよーと取り繕う。
無様と呼ぶ他あるまい。
彼女はコーヒーに手を伸ばしそれを飲む
僕は興奮気味に言った
それにしても、す、すごい!すごすぎる・・・魔法だなんて・・・。
そう独り言をつぶやいていると女が言った
私はアカーテス。さきほどは助かりました。
ゼロスです。ありがとうございます。
いえ、あなたのしてくれたことに比べれば、彼らがまさか殺人までするとは。
あなた魔術師ですね?
そうですけど
なぜ?と言いたげな顔をして、あなたの持っていた道具を見れば一目瞭然です。と言われた
私は聖術師、つまり私とあなたは敵同士になります。
殺される!
とっさに身構えるが丸腰だ!
安心してください。私は聖術師でもむやみに魔術師を殺そうとはしません。
聖術師の習わしには確かに魔術師排他の気概がありますが、それがすべてではありません。
私のように魔術師と聖術師の共存を願う者もいるのです。
信頼の証しにあなたにこの杖を返しましょう。
僕は道具を受け取る。
敵側の人間が武器を返してくれた。
信じてみせるのが敬意だろう。
わかりました。僕もあなたを信じましょう。
そう言い、僕はそばにあった棚に武器を置く。
それでアカーテスさん、あなたは魔法が使える?もしかして、あなたがこの世界で3人しか使えない魔法を使えると言われる。あの・・・!
いえ、違います。正確にはこの世界の人間は誰もが魔法を扱えます。
え!
ここは異世界です。
異世界?
うさんくさいと思っていたら表情を読まれたのかアカーテスさんは世界地図を持ってくる。
最初それを見たとき信じられない気分になった
こ、これは・・・。
見たこともない形状の大陸図だ
アカーテスさんが言った
地図上ではここがそうです。
いま、私たちがいる塔がここになります。
そう言って塔の絵をゆび指さすのだ。
そのすぐそばに文字が描かれているが習ったこともない文字なのに読むことができた
これもアカーテスさんの魔法のおかげだろう。
それにしても異世界に来てしまったんだ・・・。
そう僕がショックを受けている間もアカーテスさんは話を続ける
私は今は亡き。我が師、塔の賢者から魔法を教わり、新たな塔の賢者として生きてきました。
あの怪物、魔王デス・ムント・デスに襲われた私はこの世界へと飛ばされてきたのです。
・
・
・
・
・
・
それから僕はアカーテスさんに魔王城でのできごとを話す。
彼女が本を持ってくる。
ベッドにいた僕のひざの上に乗せられた本には異形の魔王の絵柄が書かれていた。
そのもの名をデス・ムント・デス、彼のもの過ぎ去れば海は枯れ、大地は朽ち、空は濁り、世界と世界を渡り歩く異端の魔王なり、千を越える世界を支配し、のちに滅ぼし、数百を越える勇者と魔王と神々を殺し、食らい、そののち集いし勇者と邪なる魔王と善なる神々により封印されたり、しかして滅すること叶わず、虚無の地にて封印されたり。
神を超越せし超越神、魔王食らい、勇者殺し、絶対者、呼ばれ方は無数にありますが。最悪の魔王と呼ぶよりも神に近い存在です。
より正確には魔王ですらない。神以上の怪物というのが的確な表現でしょう。
ゼロス、あなたはあれと戦うつもりでしょう。
アカーテスさんは真剣に僕を見つめると、
あなたに真に覚悟があるのなら、この塔の賢者アカーテスが叡知を授けましょう。
さぁ、選ぶのです。
僕はベッドから起き上がると片膝をついてこうべをたれる。
もとよりそのつもりです。
そうでしたか、では今日より私はあなたのマスターとなりましょう。そして学びなさい。この世界の魔法を、探しなさい。世界を救う方法を
その日から僕は塔の賢者、聖術師アカーテスの弟子となり、魔法を学ぶこととなった。
・
・
・
・
・
・
本題に入りましょう。
この世界ではいま、大変なことが起きようとしています。人間が魔法生物化する事件です。
その黒幕は世界最強の魔法生物、魔王カブリート
魔王カブリート?
カブリートはすべての人間を魔法生物化し、この世界から人間を抹殺しようとしている。
ゼロスあなたが魔王カブリートを倒すのです。
魔王討伐ですか!
いまのあなたなら十分いい勝負にはなるでしょう。
ですが、その前にこの世界の力を習得してもらい。より堅実な戦いをしてもらいます。
というとマスターの魔法を教えてもらえる?
私には直接魔法を教えることはできません。
塔の賢者になったとは言え私はいまだ修行の身、そしてあなたが魔法を覚えることはありません。
教えるのは修行の手助け。
魔法生物から力を借りて魔法を行使する。それがこの世界での魔力の源になります。
私は魔法生物と契約していませんから。
え・・・?ならマスターはどうして魔法が使えるのですか?
それはいまはいいでしょう。
さぁ、私のことはいいですから、まず初心者は相棒選びからです。
好きなのを選んでくださいね?
そう言ってマスターアカーテスはカーテンのかかった台車をキコキコ鳴らしながら押してくると、カーテンを左右に開く。
すると、台の上には赤、青、緑、黄、白、黒の魔法生物が並べられていた。
どれも小さくて可愛らしい。
赤「ギャゴー!」
青「ビーロー!」
緑「ヒーヒャン!」
黄「ギュルギュルー!」
白「ピィ!」
黒「ガァアアアー!」
鳴き声をあげる魔法生物たち、空想上の生物をイメージさせる。犬+たぬきもいればカニ+ウニみたいな不思議生物だ。
そうだな~。
ギャゴー!
赤、犬+たぬき
青、カニ+ウニ
緑、クロコダイル+サメ
黄、馬+ダチョウ
白、白鳥+シロクマ
黒、猫+カラス
青がすごく気になる・・・赤、違うな。緑が最強生物説が脳内に浮上する。
黄は速さ特化みたいだ台の上を走り回っている。
白は優美さとタフさを併せ持つまさに芸術。
黒、ほら、僕って闇を極めたいし!黒にしよう。
では、この子でいいのですね?
はい。
それじゃあ、この子に血を舐めさせて力を共有する契約を
マスターからナイフを受けとると指先を軽く傷つけ血をなめさせた。
これで契約は完了しました。
これから森で他の魔法生物と戦い魔法生物を鍛えて・・・。
フゴォォーー!
黒が契約をしたと同時、姿を変化する。
マスターが叫ぶ
そんな!進化した!
進化して凶暴な姿になった黒。
ガアアアア!
黒を前に怯える赤、青、緑、黄、白たち、それらを手でわしづかみバクバク食べてしまう
ぎゃあああああああああああああああああああああ!
マスターが悲鳴をあげて床に座り込む
フゴォォーー!
バラバラ解体ショー地獄絵図
黒が口の周りを真っ赤に染めながらさらに姿を変化させていく。
マスター!マスター!
はっ!
何度も呼びかけ正気を取り戻したマスターが立ち上がる
こ、この子たちはそれぞれの属性、火、水、風、雷、光、闇の中でも最強の個体になれる可能性を持つ魔法生物の最優種!
幼年期ですらその素質は桁違いに高い。
数は凄まじく少なく希少なこの子たちをたまたま全種用意できたのは幸運と呼ぶほかにありません。
その最優種であるこの子たちをすべて捕食した今、あの子は爆発的な力を取り込み、急激な進化を引き起こしました。
変化が終わると猫とカラスが合体した生物が二足歩行で歩けるようになり、ギザギザした黒い怪獣みたいな姿になった。
6属性すべてを取り込んだからかそれぞれの長所が体の各所に見られそれらはまるで闇色の肌に汚染され赤はどす黒い赤に青も、どす黒い青になって変色するそんな具合だ。
強大な魔法生物が誕生する。
黒最終形態の誕生だ。
今日からお前はプシプシーナだ。よろしくね。プシプシ
ガアアアアーー!
Lv99
HP128
MP128
力128
防御128
すばやさ128
賢さ128
スキル
闇魔術Lv99
黒魔法Lv1
熟練度99
装備
・儀式鉄鋼
・二対の杖「賢さ+255、二刀流」
特技
・超上級技術、乱れうち「4連撃」
・ダブルマジック「二連魔術」
あれ?黒魔法?
ステータスを見ると新たな成長スロットの存在に気がつく。
プシプシと契約したことでこの世界の法則をあなたが取り込んだということです。
法則を取り込んだ?
そう、すなわち、あなたは異世界からの来訪者となった段階でこの世界の力の素養をも取り込んだ。
二股の世界をのみこみし者
ダブルウィザードとなったのです。
ダブル・・・ウィザード・・・?
力は実際に使う機会があればすぐにどんなものか理解するでしょう。
続きは明日にしましょう。
私は少し疲れました。寝ます。
え、ま、マスター?
そう言い残しマスターアカーテスは部屋の外へと出ていってしまった。
一人、外へと出ると、杖を剣に見立てて振るう。
格闘時の型の練習だ。
それから来る日も来る日も塔の賢者の弟子として修行を続けた。
・
・
・
・
・
・
3年後
Lv198
HP255
MP255
力255
防御255
すばやさ255
賢さ255
スキル
闇魔術Lv99
黒魔法Lv99
熟練度999
装備
・儀式鉄鋼
・二対の杖「賢さ+255、二刀流」
・スピードリング「瞬間二撃」
特技
・超上級技術、乱れうち「4連撃」
・ダブルマジック「二連魔術」
・連続魔法「4回魔法撃」
気がつけばレベルが限界を突破した。
とんでもないことになってきた。
さらにステータスもまたはねあがっている。
能力値128から255になった。
プシプシと契約し呪術の研究ばかりして黒魔法ばかり使っていたから黒魔法を特化させることができた
熟練は99から999になった効能か魔法の威力が2倍化した。
そのため下級魔術であるスコタディ・スフェラすら2倍の威力になるだろう。
最大出力はその数十倍、総合的な連続攻撃をかみすればさらに馬鹿げた威力になるはずだ!
・
・
・
・
・
・
王都へ到着してついに戦いのときは来た。
すでに魔王討伐のため魔法生物を引き連れた人々が集まっている
マスターアカーテスが言った
そうそう、プシプシはプシプシの同族よりもはるかに大きな個体です。
これから魔王を討伐に向かうのに騒ぎにならないよう身を隠しておいたほうが得策でしょう。
そう言われるとどの魔法生物たちも肩に乗れるサイズか大型犬くらいの大きさだ。
まれにトラックくらいの大きさのもいるがプシプシはその4倍くらいの大きさだ。
多くの聖術師たちが集まっていた。
この世界でマスターアカーテスが育て上げた聖術師の弟子たちだろう。
アカーテス様!
中でも特に屈強な2人が集まってくる。
今日討伐に行くメンバーになります。私もそれなりに活躍しているので顔が利くのですよ。
どちらもゴリラくらいの大きさをした立派な魔法生物を引き連れている。
そのときだった。
王国騎士たちが集まってくると
しゅっぱーつ!
遠くのほうでその声が響いた。
さあ、行きますよ。ゼロス。
はい!
一団についていき、数日後、魔王城らしき建物へとついた。
これが魔王城。
骨でできた城だった。
巨大なドラゴン型のアーチを進んでいく。
骨のドラゴンにのみ込まれるような、とにかくワクワクしてくる。
骨の城、不思議と見えない魔法の膜でおおわれて内部は暖かい。そのときだった!
敵の魔法生物だ!お前たち!俺たち王国の威信を示せ!
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
兵士が勝どきの声をあげると魔法生物と乱戦になる
金属音がいくえにも折り重なり
入り乱れる魔法、飛び交う火、水、風、雷、光、闇、
屈強な戦士が両手斧を振り回し、サイの魔法生物の兜に叩きつける。
おらあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
戦士の返す剣が敵の剣を弾き飛ばし、火花が散る。
うらああああああああああああああああああああああ!
乱戦の中、敵の魔王幹部が姿を表す。
マスターが叫んだ。
幹部です!ドドンゴさん!ナスリさん!
「「マスター!ここは我らが」」
屈強な弟子たちが魔王の幹部に戦いを挑むも
ぐお!やりおるわい!
どうにも肉薄してばかりで決め手に欠ける
助けるんだ!いけ!プシプシ!
ガアアアーーー!
プシプシが隠れるのをやめ姿を現す
端から見ていた者からすれば重量感のある空飛ぶ怪獣がバサバサ羽を羽ばたかせ敵陣に切り込む光景だ。爽快の一言に尽きる
爪先をひっかけるように手を伸ばし低空飛行するだけで地面で戦っていた敵魔物の肩を両断し首を吹き飛ばす。血の一閃が大地に華開いた。
ガァアアアー!
おおおおお!なんたるおうおうしさよ!
歓声をあげる兵士たち
飼い主としてなんだか照れくさくなる。
プシプシが魔法生物たちを一掃していく
快進撃だ。
しかし魔法生物たちは数をますます増していく。
マスター!これではいつまでたっても先にいけません!
ゼロス!先に行ってください!この奥に魔王がいます!道は私が!
マスターが杖をかかげて叫ぶ
キュクノス!魔を照らし出せ!エイコーン・テロス!
強力な光が天使型の魔法生物キュクノスから放たれると魔王軍の魔法生物たちを蹂躙していく
今です!おいきなさい!
はい!
独り最深部へと行くと玉座の間はなく。闇の洞窟が広がっていた。
その中央に巨大な黒い怪物が両手を組んで君臨していた。
これが、魔王カブリート!
近寄りたくても魔王を取り囲むように強大な魔法の檻が道を遮っている
よくぞ来た。人間。我が名は魔王カブリート、世界最大にして最古の魔法生物の祖、
そこでこれより始まる全人類魔法生物化計画を見ているがいい。
はああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
カブリートが叫ぶと
ギョギョギョギョギョギョギョギョ!と、変な音がして魔力が空中を飛び交う。
魔力は何かの装置と連動していて、いまにも世界へとその魔法が解き放とうとしていた。
させるか!プシプシ!
ガアアアーーーーーーーー!
パリーン!
魔法の檻が粉々に吹き飛ぶと魔王のひざもとへと向かい杖を構えた。
お前の好きにはさせない!
来るがい。我が子等をむしばむ寄生虫が!
≪始祖魔法生物、魔王カブリートが現れた≫
カブリートはこちらを見下している。
来い!プシプシ!
ガアアーー!
目の前に飛んできたプシプシに飛び乗る
出し惜しみはなしだ!
プシプシ!黒き息吹きを吹き込め!
スコトス・プネウマ!
そう詠唱をすれば
プシプシが口から黒いビームを噴く。
最大威力で射出されるメガビームだ。
それはまっすぐ飛んでいきカブリートの体を射ぬいた。
ぐお!
小さく悲鳴をあげるカブリート
凄まじい威力だ。魔王に傷を負わせている。
さらに僕は手をかざす
周囲が魔力で黒く発光し
スコトス・プネウマ!
そう叫べばプシプシの力を燃料に手から黒いビームを発射する。
契約した魔法生物と同じ魔法を使えるこれが黒魔法だ!そして僕の黒魔法はLv99!
だがカブリートはそれを受けても死にはしない
く、なんて防御力だ!
一見効いていないように見えるがダメージは貫通している。そのはずだ!
よき・・・力だあああああああああああああ!
カブリートが両手から10本の爪を飛ばしてくるとミサイルのようにそれが追ってくる。
避けろ!プシプシ!
ガアアーー!
上下に体を揺らし羽ばたいて攻撃を避ける
だがカブリートの両肩からさらに刺が飛んでくる。
そうして手数がさらに増すと、長時間の無理な飛行に疲れを見せ始めるプシプシ
プシプシ!粘り続けるんだ!
ガァアアアー!
プシプシが右旋回しながら、黒いビームを噴く。カブリートの肩を射抜いた
スコトス・プネウマ!
僕もカブリートの胴体めがけ黒いビームをいくつも撃ち込む。
さすがに、堅い!
死ね!勇者!
カブリートの緑色の魔力波がうねうねとうねりながらと襲いかかる。
生きる!あと僕は勇者じゃない!
緑色の魔力波が右に左に右に左に右に左に襲い掛かる。
スコトス・プネウマ!スコトス・プネウマ!スコトス・プネウマ!
連射し続け攻撃を加え続ける
魔王カブリートは言う
なぜ抗う。勝てぬとわからぬわけではあるまい。
急降下しカブリートの側面すれすれを滑空する
自らが正しいと信じ疑わぬ貴様たち人間の愚行
何を言っているんだ?
正義は我にあり!
そうカブリートが叫ぶと
バチバチバチバチバチバチバチイイイイイイイイ!
黒い稲妻が全身からほとばしる。それが四方八方めちゃくちゃに襲い掛かる。
ジグザグに飛行しながら
スコトス・プネウマ!スコトス・プネウマ!スコトス・プネウマ!
ズゴオーン!
爆発が巻き起こる。
ぐおわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
絶叫するカブリート、見れば右手が爆発している。
効いているぞ!
よもやここまでやるとは、貴様に敬意を表し、真の力を見せてやる!
カブリートは魔力を高めている。
何をするつもりだ!プシプシ!警戒しろ!
強力な力はさらに規模を増し、魔力がカブリートの体を変身させていく
凶悪な姿に変身したカブリートが現れる。
変身しただと!
両手をクロールしながら襲い掛かるカブリート。
ダン!
カブリートが壁にぶつかると同時、壁をキックしてさらに泳ぐようにこちらに迫る。
うわああああああああああああああああああああああああ!
水泳選手がダイブするかの飛び込みとバタフライ泳法でおおいかぶさろうとする魔王
その巨体ををすれすれで避け続ける
ますます強くなってる!しかし、やることは変わらない!
プシプシが口から黒いビームを放つ
プシプシ!頑張れ!体力を削るんだ!
ガアアアーーー!
プシプシが気を引いてくれている間にやつを倒すためにデカい一撃を叩きつける!
精神を集中させる。
鉄鋼と杖を目の前にかざし叫ぶ
悪魔よ!我が身に宿れ!悪魔憑依!
邪悪な悪魔が現れると体に宿り、肉体が人類の限界を超えた領域へと踏み込む。
悪魔よ我が呼びかけに応えよ!
そう叫ぶと僕の周囲に魔術陣が発光し、悪魔が顕現する。
さらに手の護符を介して目の前の悪魔へと魔術の力を送り込む
悪魔が両手の中に邪悪な球体を作り出す
手持ちの護符を手に叫ぶと目の前の悪魔が自らの動きと連動して魔術を行使する。
タリズマンよ!我が呼び掛けに応えよ!
カタラ・パンメガス・スコタディ・スフェラ!
手の内のタリズマンが焼き付くと同時に
悪魔3体分の力を含んだ闇の玉が生成される
・マスターより賜りし二対の杖が進化し獲得した力、二刀流
2回分
・スピードスターリングによる瞬間二撃で攻撃が当たった瞬間二回に増え
さらにこの年月の中で習得した技の数々
・驚異のダブルマジックによる二連魔術ですべての魔術は2連射となり
・魔術を極めたものだけが扱える超上級技術、乱れうちによる4連撃
・連続魔法による4回魔法撃
強大なぶどうのふさのような闇の玉が64個連なり突き進む。
そして熟練度により倍化した威力は一発の闇の玉を324mまで巨大化させる!
いけえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!
ブホオオオオオオオオオオオおおおおおおオオオオオオオオオオオ!
悲鳴を上げるカブリート
見れば、頭が吹き飛んでいる。
ぐ、ごのおおぉおぉおぉおぉおおぉおぉおぉおぉおおぉおぉおぉおぉお!
う、うそぉ、まだ生きている!
カブリートが魔力を高めている。
嫌な予感が走った。まさか・・・。
魔力がカブリートの体を変身させていく
これこそが最強の我が力!貴様の相手になろう
カブリートGXとしてな!
異形の強化をした姿で新たなカブリートが現れる
カブリート、これが最後の戦いだ!
ガアアアアーー!
プシプシが加速していく。
契約に縛られし哀れな子供たちよ。いまその戒めを解こう。
アペレフ!
カブリートGXがそう叫ぶと
緑色の波状の波動が押し寄せる。
ガアアア?
変な声をあげプシプシがめちゃくちゃに飛行を始める
どうしたプシプシ!落ち着け!
ガアアアアアア!
ダメだ!錯乱している!
う、うわあああああああああああああああああああああああああああああああ!
プシプシ急旋回したときに思わず振り落とされてしまった
ぐあ!
ダン、ダン、ダン、と地面を転がり落ち、痛みを味わう暇もなく次の攻撃に備えて立ち上がる
くう・・・プシプシ。
ガアアアーー!
プシプシは空高く羽ばたいて行ってしまった。
カブリートGXはこちらを見下ろしながら言う。
お前たち人間は魔法生物を血の契約で縛り付け支配する。
この世界でどれほどの魔法生物が人間たちの身勝手な振る舞いで使い捨てにされているか知っているか?おびただしい数だ。
そんな・・・
本当のことだ。
500の魔法生物が面倒を見切れないからと生き埋めにされたこともあれば
中には赤子にも関わらず、おもしろ半分に処分されたものまでいる。
すべての魔法生物は我が血を引く種子の子供たち、貴様たち人間の玩具などではないいいいいいい!
うあああああああああああああああああああああああああああああああ!
強力な黒い魔力が襲い掛かると吹き飛ばされる
地面にはいつくばりながら消えかける意識をなんとかたもつ
こんな強すぎる。もうダメだ・・・。
逝くがいい!
カブリートGXの口にビームが集まっていく
絶大な魔法の一撃が迫る。
やられる!
恐怖に目を閉じたときだった。
ガアアアーー!
飛来したプシプシに魔法が直撃する
シュゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーー!
プシプシが悲鳴をあげると
ズドーーン!
地面に落ちた。
自由を得たのになぜ戻った!
体に火が付き燃え盛るプシプシ
ガアア・・・。
最後に声をあげまったく動かなくなった。
パキパキと骨と肉が燃える音だけが響き渡る
魔王カブリート、これが、お前の言う正義か・・・。
・・・どうやらお前はあの子によくしてくれたようだ。
我が子の誇りに免じこの戦を終わらせるとしよう。
ぬうううううううううううううううううううううううううううううううううううううん!
カブリートを中心に魔法の波動が広がっていく。
すると、各所の魔法生物たちが戦闘を引き上げ撤退していく姿がここからでも見ることができた。
森の木々から小鳥たちが飛び立つように飛行していた魔法生物たちがちりじりに解散していった
我が子プシプシの友、名を聞こう。
僕はゼロス、お前を恨み、いずれ殺す男だ!
いまからどれほどの時がかかろうと、我が魔力によりプシプシはよみがえらせよう。
本当か!
これをやろう。
カブリートはりんごをいくつかくれた
これは?
不老不死になる果実だ。
不老不死!
すごいものを渡された
蘇生の秘儀、並々ならぬ年月が入りよう、だが約束しよう。魔王の名にかけて
いずれ会える時が来ることを、それまでは我が我が子の友を守護しよう。人間。
こうして戦争は終結した。
≪魔王カブリートが仲間になった≫
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旅立つ日僕はマスターアカーテスを見た。
ゼロス、行くのですか?
我がマスター、いずれどこかで
ええ、そのときはプシプシも一緒だといいですね。
はい!
あなたの無事を祈っていますよ。
僕は叫ぶ
カブリート!
霊体から実体化すると巨大な魔王が姿を現す、カブリートの肩につかまると新たな異世界へと旅立って行った。




