10 第一次神魔大戦
玉座の間にその魔王は悠然と座っていた。
魔王バゴア様の使いの者です。
露出過多なピチピチの際どいピンク服を着た女の魔王、
魔王イザニコス
わらわを呼ぶからにはそれなりの理由があるのであろうな?
同じ頃、玉座の間にその魔王は魔王然と座っていた。
魔王バゴア様の使いの者です。
露出過多なヒラヒラの際どい赤服を着た女の魔王、
北の魔王パラドスィ
余を呼ぶからにはそれなりの理由があるのだろうな?
どちらも魔王マーゾと同じ世界より現れ、異世界の魔王と戦うために動いていた猛者たちだ。
数時間後、
魔王たちが話し合いをするためだけに作られた摩天楼の塔、その中に各地の魔王たち机を挟んで座っていた。
魔王マーゾと魔王バゴアもいた。
バゴアが話を始める。
集まってもらったのはほかでもないこの世界に未曾有うの危機が迫っています。異世界の魔王です。
マーゾが言った
そこで我ら4大魔王が盟約どおり同盟を結び。
長い歴史上、初めて魔王同士が手を取りあの怪物に対抗するのだ!
わらわは構わぬぞ。だが、なぁ?パラドスィ殿?
えぇ、イザニコス殿、殿方は少々勇み足のようです。
女魔王たちは扇子を口元に運び顔を隠す。
フフフフフッ!
ホホホホホッ!
まったく、女はすぐ結託する。
マーゾはそう言ってあきれる
魔王バゴアはそんなマーゾに優しく笑いかける。
それで?そこの没落魔王は具体的に何を差し出せる?
何?
マーゾはいぶかしげな表情になる。
それに聞いたぞ。魔王マーゾ?
貴殿は城も家臣もすべてを失ったと、それに魔王バゴア、貴殿も切り札のメガロス・エドモを奪われたと聞く。
ぐっ!
悔しそうな顔をするバゴア
長い年月のうちに兵力も戻るかと思い猶予を与えては見たもののそれもない。この地で新たな力を蓄えたきざしもなし。
同盟を結ぶのだ。当然双方から対等な条件が保証されるのは前提の話。それとも?彼の魔王たちはわらわたちの尻馬に乗るだけか?
そう言って魔王イザニコスは美しい美貌をほんのすこし邪悪に歪める。
威風堂々、椅子に脚を組み、マーゾに不遜な態度を見せる
バゴアが口を開く。
秘策こそ失いましたが、私にはまだ自前の軍があります。
それにテリオ・アポリト・メガロス・エドモはあくまで暴走しただけこの作戦中に敵として現れるようなことはまずないでしょう。
あれは単に破壊衝動に突き動かされ世界を壊すのに忙しいはず
なるほど、と一応、魔王パラドスィがうなづく
マーゾも言った
我が力を存分に振るおう。
腐っても魔王。魔王単身は一軍をも凌駕する。一騎当千の力。
この魔王マーゾが直々に動くのだ。不服はあるまい。それにこれは個人の問題を逸脱している。いま動かねばいずれ人も魔物も巻き込み世界そのものが滅ぶ。
そうなればどの魔王が人の世を支配をどうのと言っている場合ではあるまい。
イザニコスはピシャッと扇子を畳む
よいでしょう!ただし、ひとつ付け加えるなら、わらわも共に参ろう。
マーゾが驚く
何?
次いでパラドスィも言った
それは余も
さらにバゴアも立ち上がる
私も力を貸すとしましょう。
全会一致にて無事可決する運びとなった。
ここに四大魔王大同盟が誕生したのだ。
予期せぬ結果があるとすれば史上まれに見る魔王4人のパーティーが誕生したことだ。
さて本題だ。
これ以上の本題があるのだろうかと事情を知らない者なら疑問に思うはずだ。
だが、あるのだ。同盟以上に重要な万物を揺るがすほどの議題が。
魔王パラドスィがぼやく
ああ、それか
バゴアも
うむ・・・。
イザニコスがにやつきながら言う
目下捜索中の秘宝、エントラールストーン、全部で4つあると言われる伝説の魔力結晶。
4人の対面する机の上にさきほどからあるのは遺跡にでも書かれていそうな壁画の模写と思われる絵巻だ。
そこにはおそらくその時代に名を馳せたであろう強大な怪物たちが手にそれぞれ、赤、青、緑、黄の4つの石を握りしめ、各々の縄張りを支配していたことを思わせる。
マーゾが言う
これを見つければ・・・あるいは・・・。いや、例え秘宝がなくともそれでも勝たねばならない。魔王の誇りにかけて!
・
・
・
・
・
・
魔王マーゾ
魔王バゴア
魔王イザニコス
魔王パラドスィ
各々が2000万ずつの兵士たちを募る。
総数6000万の大軍勢が丘の上に集まっていた。
無論、これだけの大軍勢だ。
人間たちも魔王軍の突然の奇行に侵略は今日か明日か、最大の警戒と最大の増援をしてこの場に集結していく。
その数、100万
急増の招集にしては凄まじい速さだ。
近場にデカい国があるおかげだろう。
あと数ヶ月待てば人間たちのほうも全世界から人が集まり数千万規模の大軍勢ができあがる。
が、そんなものを待っている時間はない。
人間軍からは一切見えない位置にある丘の向こうに異世界の魔王デス・ムント・デスがじっ、と存在していたのだ。
魔王バゴアが独り言を言う。
メガロス・エドモを奪われた恨み、異世界の魔王、借りは返しますよ?
それにマーゾも答える
ああ、だが・・・様子がおかしい。
というのも、やつは口をぐちゃぐちゃと動かしヨダレを大量に流している。まるで知性を感じさせない。初めて見たときとまるで違うのだ。
なにかがおかしい。その直後だった。
ウガゴオオオー!
異世界の魔王が咆哮し突然こちらに向けて走り出した。
マーゾは
ここは、一度戦略を練り直して!
そう提言するが。
魔王パラドスィが両手に雷をほとばしらせながら興味深げに言った。
良い戦になりそうじゃ。
イザニコスが得意の水を手のひらで練りあげ球体を形作ると挑発するように言った。
魔王マーゾ、敗軍の将だからと、わらわの脚を引っ張らぬようせいぜい奮闘せよ!
バゴアが言った。
なんと無謀な!マーゾここは覚悟するしか!
そう言うやバゴアまでもゆっくりと歩きながら猛風を立ち上らせる。
しかたがない。油断するなよ!
マーゾが魔力を練ると両手に炎を宿す。
でやぁー!
パラドスィの雷が叩き込まれ。
デス・ムント・デスの右腕を吹き飛ばし
ウガゴオオオオー!
デス・ムント・デスが悲鳴をあげる。
はぁー!
イザニコスの水撃が肉を撃つ。
顔面をブシュー!と、切り裂き血を流させる。
ウガゴオオオオー!
デス・ムント・デスが悲鳴をあげる。
いぇはあー!
バゴアの風が巨体に風穴を開け
ウガゴオオオオー!
デス・ムント・デスが悲鳴をあげる。
キェーーーー!
マーゾの炎が片足を吹き飛ばす
ウガゴオオオオー!
デス・ムント・デスが悲鳴をあげる。
魔王の配下たちが魔王たちの偉大な一撃を目にして指揮を高めていく
「おぉぉ!さすが魔王様たちだ!我らも行くぞぉ!」
「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」
魔王同盟軍6000万が動き出す。
そして人間軍100万もいままで見えない位置にいた異世界の魔王の存在にようやく気がつき急遽、動き始める。
無数の魔法がデス・ムント・デスに襲いかかり体を焼き尽くす。
ウガゴオオオオー!
やつが苦しそうに悲鳴をあげる
ははっ、弱い!弱すぎる!これが異世界の魔王か!
魔王イザニコスが興奮ぎみに笑う。
普段の上品な笑いではなくとっさに出てしまった好戦的な笑い声だ。
魔王パラドスィが自信満々にあざ笑いながら言った。
この程度に闇の魔王の全軍が滅ぼされた?存外あの男も大したことがないのだな?
バゴアがサディスティックに笑うと、
ふふふ、細切れよりも細切れにしてあげましょう。
ジュババノバー!
切れ味のいい風が吹く。
ウガゴオオオオー!
やつが悲鳴をあげる
そうしてバゴアは次の風魔法を高めていく。
そのときだった。
影?
地面を覆うほどの黒い影が地平を暗くする
雲が差し掛かかったのかと錯覚させる
上だ!
マーゾが叫ぶと同時に全員が空を見た。
それはまるで青空を隠すフタのような肉の壁、否!魔王だった。
いま倒したのとは比べ物にならないほどに強力な魔王が空を飛んでいた。
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ウガゴオオオオー!
空飛ぶ肉の壁から宙吊りにされ、逆さまに上半身を現していた。
その一人一人がすべてやつなのだ。
無数の獰猛な声が響き渡る。
マーゾがつぶやく。
・・・デス・ムント・デス・・・成長しているのか・・・。
な、なんですと!
驚愕するバゴア、無理もない。
あれらすべてがやつなのではない。あの肉の壁がやつの本体だ。
以前見た時よりもさらに邪悪な形状に変化している。
顔が4つに増え、互いに引き裂き合おうとするように左右に引っ張り合っている。
枝に見える部位はすべて人間の腕だ。
おぞましくも吸収した魂かもしれない。邪悪な呪術による生贄か。当たらずとも遠からず、そんなところだろう。
イザニコスがつぶやく。
あれが・・・本物・・・。
パラドスィも汗をかきながら言った。
この力・・・神かと見まごうほどの・・・馬鹿げている・・・。
バゴア!
・・・。
バゴアも焦っているのか沈黙している。
バゴア!
・・・。
バゴア!しっかりしろ!
マーゾが激怒するもバゴアは動けない。
そのときだった。
ヒュー。ズドーン!
空から風切り音をあげ何かが飛来する。
それはマーゾ達を取り囲むように散らばりながらだ。
ヒュー。ズドーン!
ヒュー。ズドーン!
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音の正体はデス・ムント・デスが腹からひりだしたデス・ムント・デスだった。
そいつがグシャリと地面に突き刺さると先ほど倒したデス・ムント・デスとまったく同じ個体、便宜上、デス・ムント・デス・コピーと呼ぶか。
そのコピーたちが無数に産み落とされる。
おまけにコピーたちの向こうにはテリオ・アポリト・メガロス・エドモが飛んできていた
キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
歯を鳴らした鳴き声が戦場に響き渡る。
マーゾは自然と弱音を吐く
これは・・・いよいよだな。
それは死期を悟った言葉だった。
バゴア殿話が違うではないか!
そうぼやく魔王パラドスィ
案ずるなパラドスィ殿。
イザニコス殿?
我らの誇り、貴様らごときに好きにできると思うなよ!
そう言うや否や、魔王イザニコスの感情の高ぶりが絶大な力を呼び覚ます。
イザニコスを取り巻く水流が大きく勢いを増す。それはまるで荒れ狂う海のようだ。
マーゾは思う。
あれは、魔王イザニコスの秘術だろう。
力が高まっていくのがわかる。だが・・・。
・
・
・
・
・
・
ダンザが言った
マスターゼロス!頼む!俺たちにも戦わせてくれ!
ダメです。
ミリアが言った
お願い!マスターゼロス!マスターマーゾを見殺しにはできない!
自分の師を信じなさい!
ウィンも言った
信じています!でも!・・・でも!
プリズマがそれをいさめようと口を挟む。
二人とも、もうやめなさい。
レシーヌが言い返す
プリズマ!
いい加減に悟りなさい。マスターマーゾの友人関係にあるマスターゼロスがこの中の誰よりも苦しいのです。
レシーヌが言う
だが!
何ですか!
プリズマは冷たく刺すような視線でレシーヌを睨み付けた
それで引き下がるレシーヌではない。
頑として譲らないプリズマに逆上する。
薄情なやつめ!もういい!お願いします!マスターゼロス!あなたならまだ間に合うはず!私たちをマスターマーゾの元へ!
さらにサンツも言った
俺からも頼む!マスターゼロス!
そうだ。彼らの言うことも一理ある。このまま見殺しにしていいのか。
僕は他の意見も聞いてみることにした。
ノエル・・・君はどうする?
僕は・・・助けるべきだと思います。
僕はマスターたちから多くを学んだ。
最初は魔王など邪悪なだけの存在だと思っていたけど。
けれどそれもマスターたちと関わる中で間違いだったと気が付いたんです。
人と敵対する魔物の中にも気高い精神を持つ存在がいた。
人と魔物はわかりあえる!
あの人は・・・マスターマーゾは・・・僕の憧れの人なんだ!
なるほどノエルの考えはわかった。プリズマは?
はあ・・・。
プリズマは自らを落ち着かせるためなのか、ため息をつく。
本音を言えば・・・。私もほだされた者の一人。それは何ら恥じることがないものだとも確信してもいます。
レシーヌ、私も本心ではあなたと同じ気持ちです。
え・・・。
あなたの気持ちは痛いほどわかっているつもりです。
プリズマ・・・。私こそ、軽率だった。先ほどの発言は撤回しよう。すまなかった。
いえ、私こそ、言葉をよく選ぶべきでした。
マスターゼロス、偉大なるもう一人のマスター様、お願い申し上げます。
どうか我らをマスターマーゾのもとへ。
一同、想いは同じにございます!
友人として同じ修行を耐え抜いた同志として家族としてそしてもう一人の師としてお願いいたします。
君までそんなことを言うのか。
ごめんなさい。
ミリアは?
みんなを守りたい。その思いに嘘はないわ!
ウィンは?
私も同じ!私とミリアは二人で一つ、ミリアが無茶をしないよう私がミリアを守らなきゃ!
ウィン・・・。
ミリアが涙ぐむとウィンと抱き合う
レシーヌは?
私ももう、悲しい想いはしたくない。そのために今日まで技を磨いてきたはず!違いますか?
サンツは?
俺は・・・自分が強いと思い込んでた。
いけすかないクソ野郎だったと思う。
けどなクソにもクソなりの流儀がある
俺にとってあいつらは仲間だった。
あいつらを守れなかったことで思い知ったんだ。
俺はこの広い世界と比べればはるかに弱い。
何もできなかったんだ!だから今度こそ!今度こそ、俺は!失いたくない!守らせてくれ!マスター!
それでみんな死んだとしても?
ノエルが胸を張ってそれに答える。
死にません!僕がみんなを守りますから!
一番力のないノエルがそこまで言うのか。
はあ・・・・・・。
何を話しても無駄だ。そう悟る。
大きなため息が漏れた
やれやれ・・・いいでしょう・・・。
え・・・!
驚くノエルを無視して僕は言う
やるしかない。彼らの気持ちがわからないほど薄情なつもりはなかった。それに君たち、僕が止めても行きそうな勢いだ。
それなら一緒に行くさ。
私も行く!
突然、会話に入ってきたのはアリシアだ。
いつかレシーヌがプレゼントした剣を両手に抱えている
ロザリスが慌てて止めに入る。
アリシアやめなさい!
ねえ、ダンザ!いいでしょ?
ダンザが言った。
ダメだ!アリシア、お前はここに残れ、
ミリアも言う
そうよ。アリシア、これは遊びじゃない。生きるか死ぬかなのよ。
ウィンも言う
私たちが守れるとは限らないの。
プリズマ!
助け船を求めてプリズマにねだるも
やめなさい。アリシア
と言われ
さらにレシーヌが言う
お前にあげたその剣は振るうにはまだ大きい。
ノエルも言った。
僕もやめておいたほうがいいと思う。みんな・・・必死なんだ。わかってほしい・・・。
ロザリスが言った。
アリシア、あなたはとても戦いに出られるような力はないのです!
アリシアはロザリスに訴える
ママ!私これでも強いんだよ!足手まといにならないから!
私は行く!行くからね!
ロザリスが口を開いた。
それを言うなら私は、あなたがいるからここに残ったのです。
私は、誰よりもこの戦いを見守りたかった。
けれど私は娘であるあなたを守るためにここに残ったのです。
その意味をくみ取ってはくれませんか?
嫌だあああああ!いくうううううううう!
アリシア!
サンツが怒鳴り飛ばす。
それでアリシアは無言で震え上がってしまった。何もいわずうつむいてしまった。
サンツは言った。
待ってろ。俺が必ずみんな守って帰ってくるから。
アリシアは泣きながらうなずくしかなかった。
最後の別れ際に僕は言う
みんな君を心の底から愛している。サンツもあんな悪ぶってるけど愛情深い人だ。
僕もそうさ。大好きだよ。アリシア
ゼロス・・・。
それじゃあロザリス、僕らは行きます。アリシアを頼みますよ。
はい、ゼロス様、私の代わりに皆を頼みます。
心得ました。
地上が遠のいていく
遠くなっていく隠れ家の前で、僕たちが見えなくなるまでアリシアもロザリスもこちらを見あげていた。




