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アホすぎタクヤくん  作者: 綾瀬大和
第1シーズン
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第9話学校に帰ってきたタクヤ、やらかすのか?

第9話: 学校に帰ってきたタクヤ、やらかすのか?


タクヤが病院から退院し、ようやく学校に戻る日が来た。周りの生徒たちはタクヤの帰還を待ちわびていたが、彼がどんな形で戻ってくるかは予測不可能だった。


学校の校門前で、タクヤは無駄に大きな声で叫びながら歩いていた。彼の目には、まだ痛みを抱えたものの、明らかに元気な表情が浮かんでいた。


「おう、俺が帰ってきたぜ!タクヤだ、よろしくな!」

タクヤはクラスメートたちに向かって拳を突き上げ、両手を広げて大げさに挨拶をした。


その姿に、周囲の生徒たちは一瞬戸惑った後、笑い声を上げる。しかし、タクヤが病院から帰ってきたことを知っているクラスメートは、彼の無茶な行動に少し心配そうな顔をした。


「おい、タクヤ、大丈夫か?まだ体痛いんじゃないのか?」

親しい友達の一人が、タクヤに声をかける。


「心配すんなって!オレ、元気だって!痛みなんて吹っ飛ぶぜ!」

タクヤは元気に笑いながら答えるが、その表情の奥に、無理をしている様子が見て取れた。


その時、教室から見覚えのあるヤンキーたちが出てきた。タクヤが一目でわかるその顔を見つけると、心の中で何かが反応した。


「おい、タクヤ!久しぶりだな!治ったのか?」

その中の一人がタクヤに声をかけた。


「おお、元気だ!お前ら、無事だったか?」

タクヤは一瞬、気を許したように思ったが、すぐに不敵な笑みを浮かべた。


その瞬間、後ろから声が聞こえてきた。

「タクヤ、やめなさい!またやらかすつもりじゃないでしょうね!?」


ナツミがタクヤの後ろに立っていた。彼女は心配そうな顔をしながら、タクヤに歩み寄ってきた。


「大丈夫だって、ナツミ!心配すんな!」

タクヤはおどけた顔をしてナツミに答える。しかし、ナツミはその顔を見て、少しだけ心配そうに眉をひそめる。


その時、ヤンキーたちはタクヤに近づき、挑発するような言葉を投げかけてきた。


「おい、タクヤ、元気そうだな。でも、倒れてる間に俺たちの勢力がさらに強くなったんだぜ?今の状況、知ってんのか?」


タクヤはその言葉にピンと来た。以前のように、自分の力を試すことを楽しんでいたヤンキーたちだった。だが、今のタクヤは違った。彼は冷静にその言葉を受け止め、心の中で考えていた。


「でも、俺はもう違うんだ。俺がやるべきことは、ナツミを守ることだ。無駄に暴れるようなことはもうしない。」

そう自分に言い聞かせながら、タクヤは冷静にヤンキーたちを見つめ返した。


「お前ら、どうしてもやりたきゃやってみろ。ただし、ナツミが心配してるから、俺がここで問題を起こすわけにはいかねえ。」

タクヤはそう言い放ち、ナツミを一瞥した。


ヤンキーたちはしばらく黙った後、どこか不満げな顔をしたが、結局は何も言わずにその場を離れた。


「ふん、どうせ俺に勝てるわけねぇんだからな。」

タクヤはその後ろ姿を見ながら、心の中で呟いた。だが、ナツミの存在が彼の心に強く根付いているのは確かだった。


ナツミはタクヤの横に立ちながら、彼に小さく言った。


「タクヤ…あんなヤンキーたちと関わらないでよ。本当にあなたが心配だから。」

その声は、心からの思いが込められていた。


「わかってるよ、ナツミ。でも、俺は俺だ。お前がいれば、どんなことでもできる気がするんだ。」

タクヤは少し照れくさそうに微笑んで、ナツミを見つめた。


「それでも、あんたのやり方はちょっと無茶すぎるんだから。」

ナツミは頭を抱えて苦笑しながら言ったが、タクヤの真剣な表情を見て、少し安心したようだった。


そして、その後もタクヤは学校生活で無茶をしながらも、少しずつ変わろうとしていた。暴力沙汰を避けるようにはなったものの、ヤンキーらしい豪快さとおおらかさは消えることはなかった。


でも、ナツミと過ごす毎日が、タクヤを少しずつ成長させていくのを彼は感じていた。無茶をしても、守りたい人がいるからこそ、何でも頑張れる。


そして、タクヤはまた新たな決意を胸に、明日も学校へ行く。


「明日も俺、頑張るからな!」

タクヤはその日も、ナツミと一緒に帰りながら、未来に向けて一歩を踏み出すのだった。

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