第7話タクヤ、命懸けの決意!ナツミを救え!
第7話: タクヤ、命がけの決意!ナツミを救え!
タクヤは、すっかりヤンキーになりきった自分に、誇らしげな顔をしていた。クラスメートたちも、タクヤの異変に最初は驚いたものの、次第にその豪快な性格と、どこか憎めない態度に惹かれていった。毎日のように、クラスではタクヤの話が飛び交い、ちょっとしたスター気分で過ごしていた。
だが、そんな平穏な日常が突然破られることになる。
ある日、放課後、タクヤとナツミが一緒に帰ろうとしたとき、ナツミが急に「ちょっと先に行ってるね」と言って、急いでどこかへ走り去った。タクヤは不審に思いながらも、あまり気にせず、友達と喋りながら歩いていた。
しかし、その夜、タクヤの携帯電話が鳴った。その番号は見覚えがないが、何か不安な予感がして、タクヤはすぐに電話を取った。
「タクヤ、お前の彼女、ナツミは今、俺たちに捕まってる。明日、学校の裏山に来い。お前が来なけりゃ、こいつがどうなるかわかるな?」
それは、明らかにタクヤを挑発する声だった。電話の向こうで笑い声が響き、タクヤはその言葉の意味を理解した瞬間、全身に冷たい汗が流れた。
「ナツミ……」
タクヤは思わず震える手で電話を切り、急いでナツミの家に向かった。そこでもう一度電話をかけようとしたが、ナツミの携帯は繋がらない。心臓が速く打ち始め、目の前が真っ暗になる。タクヤは怒りと不安に満ちたまま、学校へ急ぐことを決意した。
「くそっ……俺が絶対に守るって決めたのに!」
その夜、タクヤは一睡もせず、明け方のように冷たい風の中で立ち尽くしていた。ようやく日が昇り、約束の時間が近づく。タクヤは学校の裏山へ向かうため、すぐに家を飛び出した。
心の中で「ナツミ、大丈夫だよな?」と何度も呟きながら、体が震えるのを感じていた。その目には、今まで見せたことのない真剣さと、決して逃げないという決意が宿っていた。
そして、裏山の一番奥、人気のない場所にたどり着いたタクヤ。そこには、荒っぽいヤンキーたちが待ち受けていた。彼らはタクヤを見ると、冷やかしの笑みを浮かべながら言った。
「おう、タクヤ。さすがだな。お前が来るとは思ってたぜ。」
タクヤは、ヤンキーたちの中でひときわ目立つ男に向かって歩み寄った。その男は、周りのヤンキーたちからも一目置かれる存在で、タクヤと同じくらいの身長で、強面の顔をしていた。
「お前、何が目的だ?」タクヤは、男を見つめながら低い声で言った。
「目的だって?ふざけるな、タクヤ。お前みたいな奴が、ナツミみたいな普通の子と付き合ってるから、俺たちが不愉快なんだよ。ちょっと教訓を与えてやろうと思ってな。」
男は冷たく笑い、後ろにいる仲間たちに合図を送った。すると、ナツミが縛られている姿が暗闇の中に見えた。彼女の顔は傷だらけで、目には恐怖の色が浮かんでいた。
「ナツミ!」タクヤは心の中で叫びながら、急いでその場に駆け寄ろうとしたが、男が腕を伸ばしてタクヤを止めた。
「待て、タクヤ。まずはお前がどれだけ覚悟を決めているか、見せてもらう。お前が一歩でも動いたら、この子はどうなるか、わかってるよな?」
タクヤの体は緊張で固くなり、言葉が出ない。ナツミを守りたい一心で、その場を冷静に切り抜ける方法を考えなければならない。しかし、頭の中で何度も過去の自分が響いた。
「俺は、ナツミを守るために強くなるって決めたんだ。」タクヤは心の中で呟く。
タクヤは深呼吸をして、気を取り直すと、男を見据えて言った。
「俺が来たからには、もうお前らの好きにはさせない。ナツミを傷つけるなら、俺が許さない。覚悟しろ!」
その言葉を聞いた男は、タクヤをじっと見つめた後、にやりと笑う。
「よく言った。でもな、タクヤ、お前一人じゃどうしようもねえんだよ。お前がどんなに吠えたところで、俺たちの力には敵わねえ。」
その瞬間、タクヤは自分の体が自然に動き出すのを感じた。彼の中にある、今までとは違う「守りたい」という強い気持ちが、身体を突き動かした。ナツミのことを思うと、怖さは一瞬で消え、怒りが湧き上がってきた。
「いいだろう、来いよ!」タクヤは怒声をあげて男に向かって走り出した。
戦いは予想以上に激しく、タクヤは何度も倒れ、痛みが全身を走った。それでも、タクヤは決して立ち上がらなかった。ナツミを守るためには、何でもする覚悟を決めていたからだ。
しばらくして、タクヤはやっとの思いで男を倒し、全身血だらけであちこちの骨が折れつつなんとかナツミのもとへ駆け寄った。
「ナツミ、待たせたな!」タクヤはナツミの手を取ると、強く握りしめた。
ナツミは目を開けてタクヤを見つめ、「タクヤ…あなた、どうして…」と涙をこぼした。
「お前が大切だからだよ。お前を守るために、俺は絶対に諦めない。」タクヤは涙を堪えながら、そう言った。
ナツミはタクヤの胸に顔を埋め、涙を流し続けた。彼女の中にあった恐怖や不安が、一瞬で消え去るような、温かい安心感に包まれていた。
その夜、タクヤはナツミを守ることができた自分に、少しだけ誇りを持ち、そして何より、彼女の存在が自分にとってどれだけ大きなものかを実感したのだった。
タクヤのヤンキーとしての生き方は、ただのかっこよさを追い求めるものではなく、愛する人を守るためにこそ、強さを持つべきだということを、タクヤは深く胸に刻んだのだった。「う...。」タクヤはそして倒れた
「タ....タクヤ?」ナツミはタクヤが倒れるとともに泣きながら救急車を呼んだ