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アホすぎタクヤくん  作者: 綾瀬大和
第2シーズン新たな風
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第64話沈黙の残響

第64話「沈黙の残響」


その日、静岡・興津の空は、珍しく厚い雲に覆われていた。


復興庁静岡支局から緊急通達が届いたのは、午後2時過ぎだった。


> **「旧アキラ教構成員によると思われる小規模な武装集団が、長野県諏訪市付近で確認されました。」**


報告を受けたタクヤは、交流施設のモニター室に詰めていた。

由紀子と凛は山梨の「みらいの丘」に戻っており、今回は一人で来ていた。


「……またかよ。」


佐藤と太田がすでにモニター室に入ってきていた。

太田の顔には、久々に見る“戦闘前”の鋭い色が宿っていた。


「長野か……あの辺り、アキラ教が最後に『コア分散計画』を進めてた地域だ。」


「信者の残党か、それとも……」佐藤が言いかけて口を閉じた。


画面に映るのは、無人偵察ドローンが捉えた黒いフードの集団。

銃火器の所持を確認。

奇妙な宗教的儀式を思わせる行動が、動画の端々に見える。


だが、タクヤの目が止まったのは――その中央に立つ、一人の少年の姿だった。


「……あいつ……」


顔は若く、15〜16歳ほど。だが、その立ち居振る舞い、そして首元に光るチップのような装置。


「ゼロ・コア型の簡易複製……まさか、まだ残ってたのかよ。」


佐藤が震えた声で言った。


「ゼロ・コアを破壊したときに、すべての通信ノードも潰したはず……じゃなきゃ、全国のチップは沈黙しなかった。」


「もしかしたら……アキラは**“バックアップ”を遺していた**のかもしれない。」


静寂が訪れた。


「まだ終わってなかったんだな……」


太田の声は低かった。


タクヤはゆっくりと立ち上がる。


「由紀子と凛には、知らせておいてくれ。俺は――」


「待て。」太田が言った。「お前一人で動くな。今度は、最初から“チーム”でいく。」


佐藤も頷く。「あのゼロ・コアの技術、まだどこかに潜伏してるなら、また都市を巻き込む可能性もある。」


そのとき、別の端末が警告を発した。

地下に眠る旧アキラ教施設の一部――諏訪湖の下に沈んだ地下拠点が、再び“微弱な電波”を発しているというのだ。


> **「信仰は死なない。“神”は復活する。」**


端末に表示されたその言葉。

それは5年前、アキラが放送で最後に使った“決めゼリフ”だった。


タクヤは画面を見つめたまま、静かに言った。


「俺たちが終わらせたと思ってたものは、“終わらせる入り口”だったのかもしれない。」


「なら――続きを、始めようぜ。」


佐藤の声が、それに続いた。


太田は背後のラックから、古びたバックパックを取り出した。中には、5年前の戦いで使っていた武器が、静かに眠っていた。


タクヤは目を閉じた。


> **「未来のために。

もう一度、“人間”の力で終わらせる。」**


彼らの新たな戦いが、再び幕を開けようとしていた。


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