表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アホすぎタクヤくん  作者: 綾瀬大和
第1シーズン
60/66

第60話刻まれた呪い

**第60話:刻まれた呪い**


名古屋――。

かつて東海地方の中心として栄えた大都市。

その街もまた、アキラ教の狂気の炎に呑まれた。


午後2時43分。

**名駅タワーズが、光に包まれた。**


轟音もなく、空間そのものがねじれたような衝撃。

続く爆発は、街の骨格を破壊し、十数キロ圏内のすべてを焼き尽くした。


> 「信じなかった都市に、慈悲はない。」


それが、教団が全国へ発信した“宣告”だった。


───


廃寺の地下。

もはや絶句しかなかった。


太田が、地図の名古屋の地点に×を記す。

佐藤がつぶやいた。


「……これで、名古屋、東京、札幌、福岡、仙台、長野……主要都市のほとんどが“処刑”された。」


「やつらは都市だけを殺してるんじゃない。“国”そのものを一つずつ、削ってるんだ。」由紀子が言う。


「そして今度は……**“人”そのものを壊しにかかってきた。**」


───


全国の刑務所に、アキラ教が次々と“新しい管理者”を送り込んでいた。


その名も――**“信仰維持課”**。


囚人たちは一人ひとり拘束され、頭部の皮膚を切開された。

そして、脳幹に近い位置へ、**“忠誠維持用マイクロチップ”**が埋め込まれた。


表向きには、「再教育の一環」「更生プログラム」と説明されたが、実態は――**“即時処刑システム”**だった。



> **“アキラを冒涜する言葉”を発すると、即座に心拍が停止。**

> **“反抗的態度”を記録されれば、体温を急激に低下させ死亡。**



試験導入された東京湾沿いの監獄では、**3日で27人の受刑者が死亡した。**


ひとりは独り言で「信じられないな」と呟いた。

ひとりは、祈りの時間に目を閉じるのを忘れた。

ひとりは、「俺は殺してなんかない」と言っただけだった。



───


レジスタンスの拠点で、タクヤはチップの構造データを見ていた。


「こいつは……単なる拷問だ。『支配』じゃない。**“実験”だ。**」


「何の……?」由紀子が尋ねる。


「“国民全員をチップで縛れるか”って実験だ。」


タクヤの目は、焦りよりも怒りに満ちていた。


「つまり、これはただの序章だ。受刑者は最初の“サンプル”に過ぎねえ。成功すれば次は、一般人だ。学校に。会社に。病院に……」


「アキラ教の国じゃなくて、**アキラ教の“人体ネットワーク”になるってこと……?」佐藤が口を開いた。


「その通りだ。」


タクヤは、モニターの赤く点滅する“実験成功”のログをにらみつけた。


「……止めなきゃ、俺たちの“心”まで、乗っ取られる。」


───


そしてその頃、アキラ教の幹部は、静かに報告を受けていた。


「忠誠チップ、成功率は95%。現在、次の対象は――**高校生と自衛隊関係者**でございます。」


アキラは静かに微笑んだ。


「よい。では、次の祭壇を用意せよ。」


「次の爆破対象は?」


「……大阪だ。**“民衆の心”を折るには、まだ炎が足りぬ。**」


───


焼かれた名古屋の瓦礫の下。

祈りもなく、ただ崩れた街に吹く冷たい風。


その中に、抗う者たちの叫びが響き始めていた。


「チップなんかに、俺たちの心は奪えねえ。

……“自由”だけは、絶対に渡さねえからな――アキラ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ