第4話!?タクヤとナツミの迷子大作戦
第4話:大問題発生!?タクヤとナツミの迷子大作戦!
タクヤの暴走は止まらない。学園祭での一大騒動を終えた後も、その勢いは全く衰えることなく、ますますエネルギッシュに周囲を巻き込んでいった。そして、ついに二人の関係に新たな展開が訪れる。それは、タクヤとナツミが一緒に行くことになった旅行だった。
「よーし、ナツミ、準備は整ったか?」タクヤはバックパックを肩にかけ、完全にハイテンションで言った。今日は二人だけで旅行に行くことになったのだ。目的地はちょっと遠い観光地で、自然を満喫できるスポットを選んだのだが、タクヤの旅行にはいつもトラブルがつきものだ。
「準備はいいけど…本当に大丈夫?」ナツミは少し不安そうな顔をしながら答える。
「大丈夫だって!俺がいれば、どんなことだって問題ないさ!」タクヤは自信満々に言い放った。その言葉に、ナツミは少しだけ安心したが、やはり内心では不安を感じていた。
さて、二人は目的地に向けて出発した。新幹線での移動中も、タクヤは周りの人々に迷惑をかけることなくいられない。車内でタクヤはうるさくしゃべり続け、時折立ち上がっては奇妙なポーズを決めたり、周囲の乗客に話しかけたりしていた。それでも、ナツミは「まぁ、仕方ないか」と半ばあきらめた表情でタクヤを見守っていた。
目的地に着くと、景色は絶景だった。山々に囲まれた湖、清らかな川の流れが二人を迎えてくれる。だが、タクヤの無鉄砲な行動は、この美しい自然の中でも輝きを放つ。
「すごいな!この景色!」タクヤは湖のほとりに飛び込んで、まるで子供のようにジャンプして歓声を上げた。
「タクヤ、ちょっと…周りの人が見てるよ!」ナツミは急いでタクヤを止めようとするが、すでにタクヤは自分の世界に入り込んでいる。
その後、二人は観光地を歩き回ることにした。タクヤは周りを気にせず、地元の特産品を試食し、興味のある場所に飛び込んでいく。そして、ナツミはタクヤに引っ張られながらも、なんとかついていこうとしていた。
しかし、ここで問題が発生した。
「ちょっと待って、トイレに行きたくなったから、先に行ってて。」ナツミはタクヤに伝えた。
「了解!」タクヤは軽く手を振りながら、ナツミを置いて先に進んでいった。ナツミがトイレから出た頃、すでにタクヤの姿は見当たらない。
「え?タクヤ?」ナツミは周りを見渡すが、どこにもタクヤの姿はない。あたりは観光客で賑わっており、ナツミは少し焦り始める。
「まさか…また迷子になった?」タクヤはよく道に迷うタイプだった。しかも、ナツミが思わず「先に行ってて」と言ったその瞬間、タクヤはあっという間に姿を消していた。
ナツミは冷や汗をかきながら、急いで周囲を歩き回るが、タクヤはどこにも見当たらない。さらに焦りが募り、ナツミはついにタクヤの携帯に電話をかける。
「もしもし?タクヤ?」ナツミの声が少し震えていた。
「おう!ナツミ、俺は今、すごい場所にいるぜ!」タクヤの元気な声が電話越しに聞こえてきた。
「どこにいるのよ…!」ナツミは息を切らせながら尋ねる。
「いや、こっちにはすごい橋があってさ、その先には美味しい食べ物がいっぱいだって!」タクヤは興奮した様子で答える。
「だから、どこにいるの!?」ナツミは焦りを隠せず、ついに声を荒げた。
「うーん、どうだろうなぁ…ちょっとわからないけど、橋の近くだな!とにかく来てみろよ!」タクヤは楽しそうに言い放った。
ナツミは電話を切り、さらに心配が募った。彼女は周囲の人にタクヤの姿を見たかどうか尋ねるが、誰も見たことがないと言う。だんだんとナツミの不安は膨れ上がり、とうとう彼女はタクヤを探しに行くことを決意した。
ナツミはまず、観光地内のマップを手に取って、タクヤが言っていた「橋」の場所を確認した。その後、急いでその場所に向かうが、歩いているうちにどんどんと時間が経過していく。辺りは夕暮れ時になり、空はオレンジ色に染まり、観光地の雰囲気は少し静まりかけていた。
「タクヤ…本当に、どこに行ったんだよ…」ナツミはひとり呟きながら橋のたもとに到着したが、そこにもタクヤの姿は見当たらない。
しかし、その時、ナツミは遠くの方でタクヤが大声で叫んでいるのを聞いた。
「ナツミーーーー!!こっちだーーーー!!」
ナツミはその声を頼りに、駆け出した。すると、タクヤは橋の上で大きく手を振りながら、どこか楽しそうに立っていた。
「タクヤ!なんでこんなところに…!?」ナツミは息を切らしながら叫ぶ。
「おお!ナツミ!やっと見つけたな!こっちにすごい景色が広がってるんだぜ!」タクヤは全く悪びれもせず、満面の笑みを浮かべて言った。
「もう、どこに行くのかちゃんと教えてよ!」ナツミは心底ホッとしたものの、同時に怒りが込み上げてきた。
「でも、なかなか面白かっただろ?俺の無限のポテンシャルで道に迷って…なんか冒険っぽくて楽しかったぞ!」タクヤはまるでそれが計画の一部かのように言い放った。
「もう…本当に、あなたには手を焼くわ。」ナツミはため息をつきながらも、やがてタクヤの隣に立ち、一緒にその絶景を眺めた。
二人はその後、無事に帰路に着くことができたが、タクヤの無鉄砲さは相変わらず健在で、ナツミにとっては一生続きそうな冒険の始まりだった。