第37話乗っ取るようになったアキラ教いったい何をしてくる?
第37話:乗っ取るようになったアキラ教いったい何をしてくる?
タクヤと太田さんは、四国の無事な地域でひとまず安心し、アキラの動向を探るために更なる情報を集め始めていた。しかし、心の中には、アキラの計画がまだ完全に終わっていないという確信があった。愛媛県と高知県が幸運にも爆発の影響を免れたとはいえ、アキラの手はまだ遠くに伸びており、次なる攻撃がどこで、どんな形で待ち受けているのか、全く予測がつかなかった。
「次はどこだ?」タクヤが携帯電話を手に取り、最新の情報を求めてスクロールしていた。
「まだ情報は入っていない。」太田さんが静かに言った。「でも、アキラが列車や交通網を狙っている可能性が高い。過去の爆破事件を考えると、次の標的も鉄道である可能性が高い。」
その時、突然、緊急速報の音が鳴り響いた。
「緊急速報です!東京、三河島駅で大規模な列車事故が発生しました。常磐線普通列車高萩行きと衝突した貨物列車が脱線し、隣を走る特急『ときわ12号』と衝突。現在、現場は大混乱に陥っており、複数の死傷者が出ている模様です。緊急救助が行われていますが、状況は非常に危険です。」
タクヤと太田さんは顔を見合わせ、息を呑んだ。アキラが仕掛けた新たな爆破攻撃が、今度は東京の鉄道網に向けられたのだ。
「やっぱり、奴は鉄道を狙っていたんだ…」タクヤが言った。 「でも、どうして貨物列車が?もしかして、何か仕掛けがあったのか?」
太田さんは素早く電話をかけ、情報を集めようとしたが、その手が震えているのを感じた。彼の心の中では、何か直感的に嫌な予感がしていた。アキラが何か大きな罠を仕掛けている、そう思わずにはいられなかった。
「常磐線、か…。」太田さんはつぶやいた。「あの路線も重要な交通路だ。アキラが狙ったのは、あの貨物列車に仕掛けられた爆弾だろう。」
タクヤは何かに気づいたように目を見開いた。「貨物列車?そしてその後ろに走っていたのが…特急『ときわ12号』だ。」
太田さんも瞬時にその計算を理解した。「もしも、あの貨物列車が爆発し、その衝撃で特急列車に連鎖的な衝突を引き起こしていたとすれば…」
その言葉を発するのと同時に、二人の心に冷たい恐怖が走った。アキラは、列車事故を起こし、大量の犠牲者を出すことで、さらに社会を揺さぶり、混乱を広げようとしていた。しかも、ただの事故ではない。彼の狙いは、すでに計画的に設計された大惨事だった。
「急ぐぞ。」太田さんは車を発進させると、急いで東京の三河島駅へと向かうことを決めた。
その間、ラジオからは次々と衝撃的な情報が流れ続けた。
「現場は予想以上に混乱しています。常磐線高萩行きの普通列車は貨物列車に衝突し、その後、隣を走る特急『ときわ12号』とも衝突。多くの乗客が乗ったままで、脱線事故が発生しています。現在、救助活動が行われていますが、現場の状況は非常に悪化しており、未だに事故の全容は不明です。」
タクヤと太田さんは、次々と事故の詳細が伝えられる中、三河島駅へと近づいていった。しかし、その胸の内にはある確信があった。それは、この事故が単なる偶然ではなく、アキラの計画によるものだということだ。
「アキラが仕掛けた罠だ。」タクヤは顔を引き締めて言った。
「そうだ。」太田さんは深く頷いた。「奴の目的は、単なる爆破じゃない。社会の動揺を引き起こし、混乱を広げることだ。そして、それを大規模に仕掛けてくる。」
二人は無言で目的地に向かい続けた。三河島駅に到着した時、現場は想像を超えるほどの惨劇が広がっていた。脱線した列車は、完全に車両がねじ曲がり、火花を散らしながら煙を上げていた。周囲には多くの乗客が取り残され、必死に救助隊が活動していた。
「すぐに現場に向かう。」太田さんは言った。「奴の仕掛けた爆発物がまだ残っている可能性がある。」
タクヤは頷き、急いで現場へと向かった。幸い、鉄道警察や救助隊が先に到着しており、救出活動が行われていた。しかし、タクヤと太田さんは、彼らがただの事故ではないことを感じていた。
「この事故、ただの衝突じゃない。」タクヤは警察に問いかけながら、現場の周囲を観察した。「爆弾が仕掛けられている可能性は?」
警察の担当者は一瞬躊躇し、そして顔を引き締めた。「まだ確認はできていませんが、もしそれが事実なら、早急に調査を行わなければなりません。」
その言葉がタクヤの胸を締め付けた。事故そのものが恐ろしい規模であることに加えて、アキラがまだどこかで次の仕掛けを準備しているという恐怖が、ますます現実味を帯びてきた。
「急がなきゃ。」太田さんは、警察と協力しながら、列車の周囲に設置されている可能性がある爆発物の位置を突き止めるべく動き出した。
タクヤもまた、何か手掛かりを掴もうと、事故現場を慎重に調べていた。その瞬間、彼の目の前に、ひとつの小さな装置が視界に入った。明らかに爆発物に見えるそれは、列車の車両の近くに隠されていた。
「見つけた…」タクヤは震える声で言った。
太田さんが駆け寄り、その装置を見つけると、すぐに専門の爆発物処理班を呼び寄せた。無事に爆発物が無力化されると、二人はほっと胸をなでおろした。
「今回は、何とか間に合ったな。」太田さんが言った。
「でも、アキラの計画は終わらない。」タクヤは冷静に答えた。「奴の狙いはまだ続いている。次はどこだ?」
その問いに答えるように、ラジオから再び緊急速報が流れた。
「緊急速報です!新たな爆破の情報が入っています。今度は、中央本線上で…」
タクヤと太田さんは、再び新たな戦いへと向かう覚悟を決めた。




