第34話アキラ教の陰謀
第34話:アキラ教の陰謀
大阪の戦いが終わり、街は一見、静けさを取り戻していた。だが、その静けさの裏にある無数の傷跡を、タクヤは感じ取っていた。グリコの看板は壊れ、道頓堀は消え、かつて賑わっていた大阪の街は、戦争の跡を残していた。戦いが終わり、目に見える復興の兆しはあったが、完全に元通りになるまでには、途方もない時間と努力が必要だろう。
「こんなに変わるなんて…」タクヤはつぶやいた。
隣で太田さんが頷く。太田さんは、命を落としたと思われていたが、奇跡的に回復し、歩けるまでになっていた。タクヤは、彼の元気な姿に胸が熱くなるのを感じた。太田さんは以前よりもさらに強くなったように見え、タクヤにとっては頼もしい存在だった。
「お前もよくやったな。」太田さんは、タクヤの肩を叩きながら言った。「あの戦いを乗り越えて、俺たちがこうして立っている。まだ終わってないが、次に進もう。」
タクヤはうなずきながら、心の中で決意を新たにした。「そうですね、あとはアキラを捕まえるだけ。彼を捕まえることが、これからの大阪にとっても、俺たちにとっても最も大切なことです。」
太田さんは力強く言った。「ああ、アキラを捕まえる。これでようやく、あの惨劇を終わらせることができる。」
二人は大阪の街を後にし、東京へ向かうために車を走らせた。途中、復興が進む街並みを見つつも、タクヤの頭の中は次なる敵、鈴木アキラのことでいっぱいだった。アキラの影がどこかに潜んでいることを感じながら、二人は高速道路を走り続けた。
そんな中、ラジオから突然、緊急速報が流れてきた。
「緊急速報です!上越新幹線、東北秋田北陸新幹線、そして東京メトロ銀座線で爆破テロが発生しました。現在、現場に警察と消防が駆けつけており、詳細はまだ不明ですが、負傷者が多く出ている模様です。目撃者によると、テロリストの関与が疑われています…」
タクヤはその言葉に耳を傾け、顔を見合わせた。「アキラの仕業か…。奴がまた、何かを始めたってことだ。」
太田さんは無言で頷く。「間違いないな。奴が今、また動いている。」
ラジオはさらに続けて報じた。
「さらに、同じ日のうちに、東海道新幹線で重大な事故が発生した模様です。新幹線のブレーキが故障し、最大速度で走行した結果、終点東京駅に衝突したとのことです。現在、現場では多数の負傷者が確認されており、救出作業が急ピッチで行われています…」
タクヤはその言葉を聞いて、瞬間的に体が硬直した。事故の発生時刻は、まさに自分たちが車で東京に向かっている時間帯だった。すぐに時計を確認したが、その時刻がまさに一致していた。
「ブレーキ故障?最大速度で走行?これは…故意に仕掛けられたことだ。」タクヤは震える声で言った。
太田さんもその言葉に深刻に反応した。「間違いないな。アキラの仕業だ。何かを起こすつもりで、奴はあの新幹線を操作していたんだ。」
タクヤはすぐにスマホを取り出し、事故の詳細を調べ始めた。事故の現場となった東京駅は、すでに大混乱に陥っていた。ラジオでは、東京駅に到着する前に新幹線が時速360キロで衝突したことが伝えられていた。
「360キロ?そんな速度でぶつかったら…」タクヤは言葉を詰まらせた。頭の中でその衝撃を想像するだけで、言葉が出なかった。
太田さんは冷静に運転を続けながら言った。「あの速度で衝突したら、どれだけの被害が出るか、想像もできない。それに、同じ時間に爆破テロが発生している。奴が同時に二つの事件を起こして、東京を混乱させるつもりだ。」
タクヤは急いでナビを確認し、東京駅に向かう道を選んだ。事故現場にはすでに救助隊が向かっているが、自分たちも現場に何かできることがあるかもしれないと思った。
「急ごう、東京駅に向かおう。」タクヤは言った。
太田さんはアクセルを踏み込む。「アキラがどこかで待っている。急げ。」
二人は車を飛ばし、混雑する東京の道路を走り続けた。途中、ラジオからはさらなる速報が流れてきた。
「速報です。東京駅での新幹線衝突事故の原因は、ブレーキ故障によるものであることが判明しました。しかし、故障の原因については、現在も調査中であり、テロリストの関与の可能性が強まっています。関係者によると、この事故は計画的に仕組まれた可能性があり、アキラ教の犯行であるとの見解が出ています…」
「やっぱりな。」タクヤは呟き、アクセルをさらに踏み込んだ。
やがて、東京駅に到着した。周辺は大混乱で、警察車両や救急車が行き交い、人々が避難していた。タクヤと太田さんは、事故現場に駆けつけ、警察官に事情を聞いた。
「アキラ教の仕業だと思いますか?」タクヤは直接尋ねた。
警察官は深刻な顔をして答えた。「現時点ではまだ詳細な証拠はありませんが、爆破テロと新幹線事故が同時に発生したことを考えると、アキラ教の可能性が非常に高いです。」
「奴の手がかりは?」太田さんは警察官に尋ねた。
警察官は黙って、事故現場の一角に目を向けた。「事故の調査は進めていますが、まだ確証は得られていません。しかし、アキラ教の痕跡が少しずつ浮かび上がってきています。今後の捜査が進むにつれ、明らかになるでしょう。」
二人はその場を後にし、さらにアキラ教の手がかりを追い求めることを決意した。東京駅周辺の混乱を目の当たりにしながら、タクヤは改めて思った。アキラを捕まえるまでは、戦いは終わらない。




