第29話崩壊した東京
第29話: 崩壊した東京
タクヤと大田委員長が広島での任務を終え、ようやく東京へ戻ると、予想していた以上の光景が広がっていた。かつての賑やかな街並みは、もはや無惨に崩れ、荒れ果てた状態だった。高層ビルは一部崩れ落ち、道路には燃えた車や瓦礫が散乱し、空には煙が立ち込めていた。周囲には無数の避難民が逃げ惑い、助けを求めて叫ぶ声が響いていた。
「これが…東京…?」タクヤは呆然とした表情で街を見渡した。東京はもう、かつての面影をほとんど残していなかった。アキラ教の侵略は、ついに首都にまで及び、街は崩壊し、絶望的な状況に陥っていた。
大田委員長も無言で車を停め、外の状況を見つめていた。「まさか、ここまで…」
二人は、アキラ教が引き起こした大混乱の中で、東京の各所を調査するために動き始めた。途中、廃墟となった街並みを歩きながら、タクヤの胸には言いようのない怒りと深い悲しみが込み上げてきた。かつて栄華を誇ったこの街が、無惨に倒れたことを目の当たりにし、彼はどんな言葉も出なかった。
「こんな…こんなことが許されていいのか…?」タクヤはついに、感情を抑えきれずに怒鳴った。「一体、どれだけの人々が犠牲になったんだ…! こんな状況、誰が許したんだ!」
大田委員長はその言葉に何も答えなかった。ただ、深いため息をつき、タクヤを見守った。彼もまた、心の中で言葉にできない思いを抱えていた。だが、今はその怒りを行動に変えるしかないということは、二人とも理解していた。
彼らがさらに進むと、倒壊したビルの下から、かすかな音が聞こえてきた。タクヤが駆け寄ると、瓦礫の中から必死に手を伸ばしている一人の女性が見えた。彼女は辛うじて生きていたが、全身を覆う黒い斑点と、顔色の悪さが、バクテリアに感染していることを示していた。
「助けて…」その女性は弱々しく声を絞り出し、必死に助けを求めていた。
タクヤはすぐに彼女を助けようと手を伸ばしたが、その瞬間、彼の視界が暗くなった。過去の記憶が一気に蘇り、彼の心に深い痛みが走った。広島で目にした無惨な光景、そして、自分が守れなかった多くの命。彼の手が震え、何もできない自分が情けなく感じた。
「どうしてこんなことが起きてしまったんだ…?」タクヤは涙をこらえきれずにこぼした。「あのアキラ教の連中は、何を考えているんだ。なぜ、人々をこんな目に合わせなければならないんだ!」
その声に反応するように、女性が微かに首を振った。「私も…分からない。でも、あなたが止めてくれる…」
その一言が、タクヤの胸に火を灯した。彼はその場で強く息を吸い込み、怒りを込めて言った。「絶対に、俺が止めてやる。アキラ教に、この国を、こんなにした奴らに…必ず報いを与えてやる!」
その後、タクヤと大田委員長は再び日本を取り戻すため、アキラ教の本拠地を突き止め、残された希望を信じて戦い続ける決意を固めた。だが、東京でのその惨劇が、タクヤにとっては忘れられない痛みとして残り続けることとなった。
タクヤは涙を拭い、力強い決意を胸に前を向いた。日本を取り戻すための戦いは、まだ終わったわけではない。彼の心の中に、今も燃え続ける怒りと使命感が、次なる一歩を踏み出させた。
「絶対に、アキラ教を終わらせる。」タクヤは力強く呟き、東京の崩壊した街を背に、再び戦いの舞台へと足を踏み出した。




