第26話広島の死神
第26話: 広島の死神
タクヤと大田委員長が福岡での混乱を追い、アキラ教の陰謀を暴こうとしていたその矢先、広島で新たな恐怖が広がり始めた。深夜、タクヤの携帯電話が鳴り響く。画面に表示されたのは、広島からの緊急速報だった。
「広島市内で爆弾が爆発。多数の死者が確認され、死因は不明。」
タクヤは一瞬、言葉を失った。すぐに次の情報が届いた。爆発の中から、まるで病魔のように広がる死の兆候が見つかった。それは単なる爆発ではなく、恐ろしい生物兵器が仕込まれていたのだ。
「殺人バクテリア…?」大田委員長が驚愕しながら呟いた。「アキラ教が、こんなことを考えているとは…」
タクヤの心に怒りが込み上げた。この恐ろしい兵器を使って、無差別に命を奪うことが彼らの目的であった。爆発によって放出されたバクテリアが広島市内に拡散し、すでに多くの人々が感染し、命を落としていた。
「広島へ向かおう。」タクヤは決然とした声で言った。「今すぐに。」
二人はすぐに車を飛ばし、広島へと向かった。道中、タクヤの胸中には恐怖と決意が交錯していた。アキラ教は、もはや単なる破壊活動にとどまらず、人々の命そのものを奪おうとしている。広島での爆発はその象徴に過ぎない。もしこのまま放置すれば、次はどこで、どんな手段が取られるのか、全く予測がつかない。
広島に到着した時、すでに市内は壊滅的な状況に陥っていた。街の中心部は煙と粉塵に包まれ、異常なほどの静けさが漂っている。どこを見ても人々が倒れており、車道には無数の避難民が溢れていた。空気には異臭が漂い、目の前に立つだけで体調に異変を感じる者が続出していた。
「感染者が急激に増えている。」タクヤは警察官から聞き取った情報を聞いて顔を強張らせた。「バクテリアが空気中に漂っている可能性もある…。」
大田委員長も冷静に指示を出す。「警察はもちろん、感染拡大を防ぐために軍も動員している。しかし、すでに手遅れのようだ。」
二人は感染の拡大を防ぐために、まず避難所を回ることにした。市内の病院や避難所には、すでに多数の患者が運ばれていたが、感染拡大を防ぐ手立てはほとんど無いに等しい。急激に悪化する症状と、全身に広がる黒い斑点、さらには呼吸困難に陥る人々の姿を目の当たりにし、タクヤは次第に焦りを感じた。
「これはただの爆弾じゃない。」タクヤは無言で手にしていたマスクをしっかりと付け直しながら言った。「バクテリアを拡散させるために仕掛けられたものだ。」
大田委員長は静かに頷いた。「恐ろしい兵器だ。アキラ教はこれで、何百人、何千人もの命を奪うつもりだったんだ。」
二人は再び爆発現場に向かう。周囲には火災と煙が立ち込め、爆風で吹き飛ばされた建物の瓦礫が散乱していた。警察と消防のチームは懸命に作業を続けていたが、感染拡大の危険が迫っているため、感染者の発見と隔離が最優先されていた。
「爆弾の中身を調べる必要がある。」タクヤは言った。「この事件がアキラ教の仕業であるなら、その証拠を見つけ出さなければ。」
現場を調べていくうちに、爆発の中心に近い場所で、異常なほどに無数の細菌が検出された。感染者がすでに市内全域に広がっているため、爆発地点近くでも多くの人々が命を落としていたことがわかった。その時、警察官から新たな情報が入った。
「爆弾の内部に、アキラ教の関与が示唆する証拠があった。」警察官は緊急で伝えた。「リーダーの指導者とされる人物の名前が記載されたメモが爆弾の中に紛れ込んでいた。」
タクヤの顔が険しくなる。「ついに、アキラ教の手がかりを掴んだか。」
大田委員長も目を見開いて言った。「これで彼らの計画が一歩ずつ明らかになる。だが、広島での犠牲はあまりにも大きすぎる。」
二人は、アキラ教の本拠地を突き止めるべく、更なる情報を求めて捜査を続けることを決意した。広島の惨劇を終わらせるために、アキラ教の計画を暴き、これ以上の犠牲を防ぐために動き続ける覚悟を新たにした。
「絶対に、この恐怖を止める。」タクヤの声は、揺るぎない決意に満ちていた。




