第20話同時多発テロ発生タクヤの会社の大ピンチ
第20
話: 同時多発テロ発生タクヤの会社の大ピンチ
タクヤは爆破事故の後、身を切るような痛みを抱えていた。だが、その痛みの中で一つ確かなことがあった。それは、犯人が再び動き出したという事実だ。あの桜新町駅での爆発が、ただの偶然ではなく、計画的に仕組まれたものだと確信した。
そして、休養日を迎えたその日、タクヤは予感を感じていた。自分の目の前に立ちはだかる敵、それが一人ではなく、集団であることを。無数の疑問と恐怖が彼の中に湧き上がる。
その日の午後、タクヤが自宅で過ごしている最中、突然の衝撃的なニュースが飛び込んできた。ニュース速報が画面を占め、その内容は、東急全線で同時多発的に爆破テロが発生したというものだった。
同時多発テロ
「東急池上線、東横線、大井町線、目黒線、多摩川線、新横浜線、田園都市線で爆破テロが発生。複数の爆発が同時に起き、乗客の安否は不明。死者数は未確定だが、爆発の規模から推測すると甚大な被害が予想される。現在、警察と消防が対応中…」
テレビの画面に映し出されるのは、焼け落ちた車両や壊滅的な駅の構造、混乱に陥る人々の映像だった。タクヤの心臓は一瞬で停止したかのように感じられ、彼の頭の中に浮かぶのはあの犯人の顔だった。
「まさか…奴らがまた動き出したのか…」
タクヤは慌てて財布を持ち、すぐに外に飛び出した。犯人が再び動き出し、複数の路線で大規模な爆破が行われた。その全ての場所で、彼がかつてナツミと共に戦った記憶が蘇る。
タクヤは、すべてが計画的に仕組まれたものだと感じた。犯人は、ただ単に一度の爆破を起こしたわけではない。彼は全線を巻き込んだ大規模な破壊を目的としており、その狙いはますます不明確になっていた。
事故調査委員会への報告
タクヤは、すぐに事故調査委員会へと足を運んだ。真実を掴むためには、自分が感じていることを伝えなければならない。彼が体験した桜新町駅の爆発から数年の時を経て、再び犯人の足音が近づいてきた今、その情報を一刻も早く報告し、犯人の集団についての解明を急ぐ必要があった。
委員会の部屋に到着すると、すでにいくつかの調査関係者が集まっており、忙しそうに話し合っていた。タクヤはその中に割り込む形で、責任者である大田調査委員長に声をかけた。
「大田さん、どうしても伝えなければならないことがある。今回の爆破事件、桜新町の爆発と同じ犯人の仕業だと思う。」
大田委員長は驚いたようにタクヤを見つめたが、冷静に言葉を返した。「タクヤさん、君が言っていることが本当だとしたら、これは非常に重大な情報になる。だが、証拠はあるのか?」
タクヤはしばらく黙っていた後、言葉を選んで続けた。「僕が乗務していた桜新町の爆破事件と、今回の同時多発テロの間に何かしらの共通点がある。奴らが再び計画的に動き出したのは間違いない。桜新町の爆破の時も、犯人はあらかじめ慎重に計画を練っていた。そして今、東急全線で同じように爆破を起こしている。」
「その共通点を示す証拠があるのか?」
タクヤは、自分の推測と感じた直感を信じ、さらに言葉を続けた。「犯人は一人ではない。複数の人物が関わっている集団だと思う。そして、これまでにない規模での攻撃を仕掛けている。桜新町の事件と同じように、今回の爆発もその計画の一環だろう。」
大田委員長はしばらく黙って考え込んだ後、深いため息をついた。「君が言う通り、今回のテロが計画的なものであることは明らかだ。しかし、証拠がなければこの先の捜査は進められない。君の話だけでは信じることができない。だが、君がここまで確信を持っているなら、一度だけ君の話を真剣に考えることにしよう。」
タクヤはその言葉を受け、さらに深く考えた。今、ここで犯人の集団を暴かない限り、次の爆発がどこで起こるか分からない。それこそが、彼の最も恐れることだった。
「お願いします。今回の爆破事件は、何としてでも犯人を捕まえなければなりません。」タクヤの目は強い決意を帯びていた。
大田委員長はしばらく黙ってうなずき、タクヤに手を伸ばした。「分かった。君の話を受け入れる。そして、私たちも君の協力を頼むことになるだろう。」
タクヤは深く息を吸い込み、再び心を引き締めた。犯人の集団を追い詰め、ナツミの無念を晴らすためには、この戦いを止めるわけにはいかなかった。
「必ず捕まえます。必ず。」タクヤの言葉には、かつてないほどの覚悟が込められていた。
復讐の炎が、再び燃え上がる。それが、タクヤの最後の戦いの始まりだった。




