第2話またまたしでかすタクヤくん
タクヤは意気揚々と、再び足を動かし始めた。周りの人々の視線が痛いことなど全く気にせず、全速力で学校へ向かって走り続ける。だが、前方に見えるものが次々に彼を試すように現れる。
「やっぱり今日もやることなすことおかしいな…」と、カズヤは呆れた顔でタクヤの後ろを追いながらつぶやく。
翌日の朝家を飛び出してタクヤが再び走り出した瞬間、突如として目の前に現れたのは、タクヤが通学路で必ず通るおばあさんの自転車。おばあさんは片手でカゴを持ちながら、ゆっくりと自転車を漕いでいる。しかし、タクヤの視界には何の前触れもなく、目の前にその自転車が現れる。
「タクヤ、どいけぇぇぇぇ!!!引かれ死にたくなければなぁ」
タクヤの叫び声が空に響く。その時、タクヤはまさにおばあさんの自転車に衝突し、勢い余って自転車ごと吹き飛ばされる。
「ぎゃぁあああああ!!!」
タクヤは空中でグルグルと回転し、最終的にド派手に地面に落ちた。しかし、そこにいたのはおばあさんではなく、さらに笑顔のカズヤだった。
「お前、アホで生きるのに本気でどうしようもないな、タクヤ…」
タクヤは半分顔を地面に埋めながら、体を起こすと、またもやカズヤに向かって叫んだ。
「でも、まだ間に合うから!おれには無限のポテンシャルがあるんだよ!」
カズヤはその言葉を聞いて、ため息をつきながら手を差し出した。タクヤはその手を勢いよく取ると、再び立ち上がり、全力で学校へ向かって走り出す。
だが、道を走る中でさらに予想外の出来事が待ち受けていた。
「待て、タクヤ!」
それは、学校の近くに住んでいるタクヤの幼馴染、ナツミだった。ナツミは元気に手を振りながらタクヤに声をかける。
「ナツミ!ちょっと待て!遅刻しちゃうんだよ!」タクヤは息を切らせながら叫ぶ。
「え、でも…あんたまた走ってるだけじゃん!そのままだと余計遅刻するよ!あんた、最近はその調子で本当に大丈夫なの?」ナツミはその様子を見て、少し心配そうな表情を浮かべた。
タクヤはその言葉に返す言葉が見当たらなかった。ただ、ナツミの言葉を無視して、再び走り始める。
「心配するな!無限のポテンシャルがあるから、絶対間に合うから!」
しかし、ナツミはその言葉を聞いても、呆れ顔でため息をつくと、思わず後ろから追いかけてきた。
そして、タクヤが登校を急ぐ途中で、もう一つの災難が待っていた。それは、急に道路に飛び出してきた、タクヤの近所の犬・モモだった。
「おっと、危ない!」タクヤは驚き、足を止めた。
モモはそのままタクヤの前を横切ろうとし、タクヤはその動きを避けようと右に飛び退いた。だが、何を思ったのかタクヤはそのまま突進し、横断歩道に設置されている大きな花壇の縁石に足を取られて見事に転倒。見事なまでにそのまま大回転しながら再び道路に倒れ込んだ。
「うわあああ、何回転すれば気が済むんだよ…」
タクヤは無様に花壇に顔を埋めながら言うが、カズヤとナツミは完全に呆れ顔だ。
「タクヤ、お前何回目だよ、この転び方!」カズヤは冷静に指摘する。
「でも、見てくれ!これが俺のポテンシャルだろ!転んでから立ち上がるスピード、俺が一番だ!」タクヤは鼻をピクピクさせながら、立ち上がると再び猛スピードで走り出す。
しかし、もはやそのポテンシャルに疑問を持たずにはいられなかった。
その後も、タクヤは次々と周囲の障害物を避けながら、家の近くの通学路を進み続けたが、結局そのまま走っても遅刻は避けられなかった。校門に到着した時点で、時計を見ると学校の始業時刻をとうに過ぎていた。
「遅刻だな、俺。」タクヤは肩を落としてつぶやいた。
その時、後ろから近藤先生がやってきた。彼は、タクヤの到着を待ち構えていたかのように言った。
「お前、また遅刻か。」近藤先生は目を細めながら言う。
タクヤはその一言にすぐに反応し、無理矢理笑顔を作って言った。
「いや!でも、先生、今日は一歩も無駄にしなかった!これでも成長してるんです!」
近藤先生は少しだけ微笑んだ。
「お前の成長の仕方も、よく分からんけどな…まぁ、また後で話そうか。」
タクヤは少しだけ安心した様子で、改めて教室に向かって歩き始めた。
その後もタクヤは、無限のポテンシャルを発揮しながら毎日を送り続けるのだった
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