第16話復讐の誓い
第16話: 復讐の誓い
タクヤが大学を卒業してから4年が経過した。ナツミの死後、彼の人生は一度も元の軌道を取り戻すことはなかった。毎日が苦しみの連続であり、彼はそれをひたすら耐え忍んでいた。ナツミを失った悲しみは深く心に刻まれ、しかしその感情の中に、次第に別のものが芽生えていた。怒り、復讐の炎が静かに燃え上がり、彼の心を支配していった。
そして、その怒りを抑えることなく、タクヤはある決意を固める。
爆破事件の犯人が、東急線の沿線に住んでいることが、ある日、警察の調査で明らかになった。タクヤはその報を聞いた瞬間、胸の奥に湧き上がる何とも言えない感情に身を震わせた。犯人が自分のすぐ近くにいる——それを知ったタクヤは、もうこれ以上の無力さを感じたくなかった。
彼は一度、ナツミと一緒に未来を描いた日々を思い出し、彼女の無念を晴らすために何ができるのかを考えた。そして、その答えに辿り着く。
「復讐を果たすためには、まずこの街で犯人を追い詰める必要がある。」
タクヤは思い切って、東急の運転士に応募し、その職に就くことに決めた。運転士になることで、彼は東急線の内情を知り、犯人に近づくことができる。仕事をしていれば、偶然にも犯人の居場所を突き止めることができるかもしれない——その可能性に賭けたのだ。
運転士としての訓練
運転士としての訓練は、決して簡単なものではなかった。タクヤは毎日、昼も夜も働きながら、運転技術を学び、車両のメンテナンスや路線の知識を吸収していった。彼はナツミを失った悲しみを胸に、ひたすら耐え続けた。その訓練の日々は厳しく、時には辛さが込み上げて涙がこぼれそうになることもあったが、彼はそれでも諦めなかった。
タクヤの心の中には常に、ナツミの笑顔が浮かんでいた。そして、ナツミがあの日言った「一緒に未来を見ようね」という言葉が、何度も何度も彼の耳に響いていた。その言葉を胸に、タクヤは運転士としての仕事を始める日を待った。