第15話突如の別れ、史上最悪の大ピンチ
第18話: 突如の別れ、史上最悪の大ピンチ
それは、普段と変わらぬ金曜日の夕方だった。タクヤとナツミは、大学の課題を終わらせた後、久しぶりに一緒に買い物をするために渋谷へ向かう予定だった。東急東横線の車内で、二人は自然に隣に座り、穏やかなひとときを過ごしていた。タクヤはナツミの手を握りながら、「今日のディナー、楽しみにしてるな。」と、いつもより少し嬉しそうに言った。
「うん、私も。何食べようかなぁ?」ナツミは目を輝かせながら、タクヤの顔を見つめた。
そしてその時、突然、車両全体が激しく揺れた。最初は、ただの車両の揺れかと思った。しかし、すぐにその揺れが異常であることに気付いた。車内のアナウンスが突然消え、乗客たちの間に不安が広がり、数秒後には恐ろしい音が響いた。それは、爆発音だった。
車内の中にいる全員が驚き、悲鳴が上がり、タクヤは瞬時にナツミを引き寄せて守ろうとした。しかし、その瞬間、ものすごい衝撃がタクヤの体を突き動かし、視界が一瞬暗くなった。爆発による圧力と煙、そして騒音。タクヤはすぐにナツミの姿を探したが、煙が立ち込めていて何も見えなかった。
「ナツミ!」必死に叫びながら、タクヤは周囲を見回し、もがきながらナツミを呼んだ。
痛みが体中に走り、混乱の中でタクヤはただ叫び続けた。「ナツミ!ナツミ!?」
煙が晴れると、車内は地獄のような光景となっていた。破壊された車両の中、倒れた人々と血が広がる光景が広がっていた。だが、タクヤの目に飛び込んできたのは、倒れたナツミの姿だった。
彼女は、倒れたまま動かない。タクヤの心臓は冷たい恐怖に震え、足元が崩れるような感覚に襲われた。ナツミの顔に駆け寄り、震える手で彼女を抱き起こすと、血が流れ出ているのが見えた。タクヤはナツミの名前を呼びながら、必死に彼女の肩を揺さぶった。
「ナツミ!目を開けて、お願い!」タクヤの声はかすれ、涙が溢れ出した。
しかし、ナツミの瞳はうっすらと開いたが、すぐに再び閉じられてしまった。その瞬間、タクヤは心の中で全てが終わったように感じた。これ以上の苦しみはないと感じた。
「ナツミ、お願い、目を覚まして…!」タクヤは涙をこらえながら彼女の手を握りしめた。しかし、彼女の手は徐々に冷たくなり、彼女の体温もどんどん奪われていった。
その後、救急隊員たちが現場に到着し、周囲を処理し始めたが、タクヤの心は完全に崩れ落ちていた。ナツミは、もう彼の前にはいなかった。彼女を守れなかった、彼女を救えなかった、その事実がタクヤを完全に打ちのめした。
数時間後、病院に運ばれたナツミは、命を落としてしまったと告げられた。タクヤはただ茫然と立ち尽くし、胸の中で無限の後悔と悲しみに襲われた。ナツミの笑顔、彼女と過ごした全ての時間が一瞬で消えてしまった。
その夜、タクヤは一人で病院のロビーに座り込んだ。涙が止まらなかった。彼の頭の中には、ナツミが言った「一緒に未来を見ようね」という言葉が繰り返し響いていた。自分の中で、あまりにも無力に感じ、心が引き裂かれるような痛みを感じていた。
「ごめん…ナツミ…俺、約束守れなかった…」タクヤは涙を流しながら呟いた。
その後も、タクヤは何度もナツミとの思い出を思い返し、彼女を失った現実を受け入れられないまま過ごしていくことになる。彼の世界は、彼女のいない空白だけが広がり、毎日が苦しみの連続だった。
ナツミの死から数ヶ月後、タクヤは一度、ナツミとの思い出が詰まった場所に足を運んだ。その場所で、タクヤはナツミの笑顔を思い出し、最後に彼女に伝えられなかった言葉を胸に誓った。
「ナツミ、絶対にお前の分まで生きるからな。お前がいない世界でも、俺は前に進む。お前と一緒に描いた未来を、俺一人で歩いていくから。」
その言葉とともに、タクヤは再び歩き出した。苦しみの中でも、ナツミとの絆を信じて。
そして、タクヤは今でもナツミとの約束を守り続け、彼女を失った悲しみと向き合いながら、自分の人生を精一杯生きることを誓っている。