第14話新たなスタート
第17話: 新たなスタート、
タクヤとナツミは、ついに慶応義塾大学のキャンパスに足を踏み入れた。タクヤが合格したと聞いたとき、ナツミは本当に信じられなかったが、彼がここまで来たのはただの偶然ではなかった。タクヤはこれまでの努力とナツミの支えがあったからこそ、こんなにも大きな一歩を踏み出すことができたのだ。
春の陽気が心地よい午後、二人は一緒に大学の広大なキャンパスを歩いていた。タクヤはいつも通り少しカジュアルな服装で、ナツミはその隣を歩きながら、何度も周りを見回していた。大学の景色や雰囲気は、二人にとって新鮮で、少し緊張もしていた。
「こんな大きなキャンパスで、俺、ちゃんとやっていけるのかな…?」タクヤは少し不安そうに言った。
ナツミはその言葉に微笑んで答えた。「大丈夫だよ、タクヤ。ここまで頑張ってきたんだから、絶対に大丈夫。私も一緒にいるし。」
タクヤはナツミの言葉に少し安心し、肩の力を抜いた。「うん、ありがとう。でもさ、慶応ってすごいよな…俺みたいなやつが来る場所じゃない気がする。」
「そんなことないよ。」ナツミは強く言った。「タクヤは自分を信じて努力してきたんだから、ここにいる資格があるんだよ。」
タクヤはその言葉に少し照れた様子で笑った。「そうか、ありがとうな。」
二人はさらにキャンパス内を歩きながら、これからの大学生活について話し始めた。ナツミは将来の進路についても考え始めており、タクヤもまた自分の夢をどう実現していくかを模索していた。しかし、二人に共通していたのは、どんな未来が待っていようとも、二人で乗り越えていこうという強い気持ちだった。
新しい環境でのスタート
大学の生活が始まり、タクヤとナツミはそれぞれ新しいクラスやサークル活動に参加し始めた。タクヤはそのヤンキー気質を少しだけ残しつつも、周囲の人々ともうまく馴染んでいった。授業に出席する姿勢も真剣で、ナツミからはその姿勢を尊敬する声が上がった。
「タクヤ、意外と勉強できるんだね。」ナツミはある日、放課後に言った。
「え?そりゃ、勉強しないとここじゃついていけないしな。」タクヤは少し照れながら答えた。「でも、ナツミと一緒にいると、なんか頑張れるんだ。」
ナツミはその言葉を聞いて心の中で嬉しさを感じた。タクヤが成長し、少しずつ変わっていく様子を見ているのが、彼女にとって何よりも幸せなことだった。
二人は忙しい大学生活の中でも、週に一度は必ず会うようにしていた。お互いの近況を話し合い、どんな小さな悩みも分かち合ってきた。大学の授業やサークル活動で忙しくなる中でも、タクヤとナツミの絆は一層深まっていった。
夢を追いかける
大学に入ってから、タクヤはあることを決心していた。それは、暴走族との縁を完全に断ち切り、真剣に自分の未来を築いていくことだった。今の自分を支えてくれるのはナツミと、そして自分自身だということを、心から実感していた。
ある日、タクヤはナツミに言った。「ナツミ、俺、大学を卒業したら、何かビジネスを始めたいんだ。」
ナツミは驚きながらも微笑んだ。「ビジネス?それ、すごいじゃん!どんなことをしたいの?」
タクヤは少し照れくさそうに考えた後、答えた。「まあ、詳しくはまだ考えてないけど、俺、いろんな人と関わって、何かを作り上げていくのが楽しそうだと思うんだ。」
「いいね!」ナツミは明るく言った。「どんなことでも、タクヤならきっとできるよ。私も応援してるから。」
タクヤはその言葉を胸に、これからの人生に向けて一歩を踏み出す決意を固めた。そして、どんな困難が待っていようとも、ナツミと一緒に乗り越えていくことを心に誓った。
大学生活を送る中で、タクヤとナツミはお互いの成長を支え合いながら、明るい未来を見つめていった。タクヤが何度も口にしていたように、「お前と一緒に、これからもずっと笑っていられるように、頑張るからな」という言葉が、二人の心の中で確かな誓いとなっていた。
未来はまだ見えないけれど、二人の手をしっかりと握り合いながら、歩んでいくことを決めたのだった。