第一話新学期の大暴走
第1話:新学期の大暴走!
春の風が心地よい中、新学期が始まった。佐藤タクヤはいつも通り、寝坊してしまった。
「ヤバい!やべぇ!遅刻だ!」
目覚まし時計の音が鳴り響く中、タクヤは何とか目を開ける。目の前にある時計を確認すると、すでに登校時間を20分過ぎている。慌てて布団から飛び起き、クローゼットの扉を開けて服を手当たり次第に取る。
「よし!これで間に合う!」
タクヤは適当な制服を着ると、何も考えずにカバンを肩にかけ、玄関に駆け出した。もちろん、家の玄関を出るときには靴を履き忘れていた。
「しまった!靴!靴を忘れた!」
タクヤは慌てて戻ろうとしたが、何故か家のドアを思いっきり蹴飛ばし、その反動でまた外に飛び出してしまう。まるで映画のスローモーションのように、タクヤは何度も宙を舞いながら転がり、最終的に家の門の向こう側まで転がって行った。
その後、地面に這いつくばっていたタクヤは、ふと我に返ると、道行く人々が彼を見て大笑いしていることに気づいた。
「なんだよ、なんだよ!みんなして笑うんじゃねぇ!」
タクヤは叫びながら立ち上がり、再び走り出す。
その姿を見て、近くのカズヤが呆れ顔で言った。
「お前、本当にどうしようもないな…」
タクヤはその言葉を全く気にせず、再び全力で走り始めた。途中で前方に見えたバス停を目指して突っ込むも、なぜかタクヤはバス停のポールに頭をぶつけて、そのままポールにしがみつくことになった。
「痛い痛い痛い!」
ポールに顔を埋めたまま、タクヤはようやく気づく。これでは登校時間に間に合わない…そう思って後ろを振り返ると、近藤先生がゆっくりと歩いてくるのが見えた。
「先生、遅刻しちゃうんで、ちょっと先に行っててください!」
タクヤは必死で叫んだ。しかし、先生はまるで聞こえていないかのように、タクヤに近づいてきた。すると、タクヤの頭を軽く叩きながら、こう言った。
「お前な、ほんとに毎回毎回…」
近藤先生は呆れ顔を浮かべたが、どこか安心したように続けた。
「まぁ、また後で話そうな。」
その言葉を聞いたタクヤは、安心したような顔をしたが、次の瞬間、バスの停留所に向かうべく走り出した。でも、また前に進めるわけもなく、ポールに頭をぶつけ、思わず後ろに転がってしまう。
「あっ、また転んだ!」
転がりながらタクヤは叫ぶが、そのまま近くのゴミ箱に激突し、ゴミ箱が見事に飛び散った。その様子に周りの人々はさらに爆笑した。
その瞬間、カズヤが近づいてきて、タクヤに向かって手を差し出した。
「お前、ほんとにどうしようもないな…でも、もう少しなんとかしろよ。いつも毎回こんなじゃ、心配だよ。」
タクヤは手を取らず、逆にカズヤの手を振り払って、立ち上がると勢いよく言った。
「心配無用!俺には無限のポテンシャルがあるから、必ず間に合うからな!」
その言葉を聞いたカズヤは、再び呆れた顔をして、ただ一言、「そうか…」と言うだけだった。
そして、タクヤは再び全力で走り出すのであった。