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第二話、、、
ポツンと雨が降ってきたのかと上を見上げると、髪の長い女が見降ろしていた。
「ヒィ」
大声ではなく、声が消え入りそうなネズミの鳴くような声だった。
逃げる場所などなく、ただ白田は女を見るしかなかった。
少しでも目を逸らすと、横に女が来るような気がして仕方なかった。
女の髪は異常に長く、目がちゃんとあるのか分からなかったが、
夜でも肌の色が白いとわかるくらい、人間ではない何かということはすぐわかった。
女は手に持っていた紙を白田の方へ落とすと、白田の方を見ながら後退りしていった。
紙はヒラヒラと白田の方へ落ち、白田は冷や汗を拭いながら恐る恐る紙を手に取った。
「あと三日」
血でおそらく手で書かれたその文字を見て、白田は腰を抜かしてしまい、後方の壁に頭をぶつけてしまった。
じんと響く痛い頭をすりすりしながら生の実感を感じつつも、非現実じみたこの状況に生を感じることは出来なかった。